ニール・ヤングとクレイジー・ホースの1976年ツアーはロックファンに愛されている絶頂期。春の初来日公演に秋のアメリカ・ツアーそれぞれで音質の非常に優れたオーディエンス録音が存在しますが、秋のアメリカの横綱音源といえば11月22日のボストン・ミュージック・ホールで行われた昼夜二回公演。どちらも最高級レベルの音質を誇るオーディエンス録音が残されており、そこから数々の名作がリリースされてきました。ところが2013年、ボストン夜の部のステレオ・サウンドボード録音が「CONCERT VAULT」サイトから公開されて世界中のマニアに衝撃を与えました。PAアウトのサウンドボードとは一線を画すマルチトラックを用いたステレオ録音がもたらす抜群の音質はエレクトリック・セットだけの収録という状態がまったく問題にならないほどの衝撃だったのです。あれほど極上音質に思えたオーディエンス録音が霞んで聞こえてしまったほど。まず何といっても76年秋のアメリカというだけで演奏が悪いはずもないのですが、その中でも名演たるボストンが抜群の音質を誇るマルチトラック録音のおかげで演奏の素晴らしさがさらに際立って聞こえるという。歓声も当然バランスよく捉えられており、広がりのある臨場感がまた抜群。もはや普通にオフィシャルのライブアルバム感覚で76ボストン夜の部が楽しめてしまうという絶品音源だったのです。2013年のリアルタイムにこの音源をすかさずリリースして大ベストセラーとなったのが「ELECTRIC BOSTON」。「Cowgirl In The Sand」と「Bite The Bullet」の間、さらにライブ後半「Cortez Killer」の終盤から「Cinnamon Girl」の序盤にかけてカットが生じていましたが、これらを例のオーディエンス録音にて緻密にアジャスト。おまけに音源公開時に低かったピッチもしっかりとアジャストしてまとめあげた名盤です。当然Sold Outとなってしまった上、時間の経過によってアイテムそのものが入手困難になって久しいという状況が続いていました。それに加えてリリースから8年もの歳月が経過し、現在のテクノロジーで新たなリマスターを加えれば当時より音質や状態が向上したアイテムとして出し直せるのは明白。そこで単なる再発にとどまらない最新のオーバーホールを加えた上でマニア待望の再リリースが遂に実現いたします。元がマルチトラック録音ですので基本的に音質クオリティが高いのですが、元がネット配信経由の音源でしたので2013年盤と比べ、今回はよりナチュラルでマイルドさを際立たせるイコライズを敢行。さらにカットの生じていたライブ後半二曲へオーディエンス録音を補填した箇所ですが、若干ながらつなぎの違和感がありました。それ以上にオーディエンス録音の左に寄っていた音像を中央へとバランス替えしたことで、より落ち着いて聞きこめる仕上がりへと進化。どちらの点に関してもヘッドフォンにて聞き比べていただければ一目瞭然かと。それにしても2013年に流出したマルチトラック録音がマニアにこよなく愛されたボストン夜の部というのは本当にラッキーでした。何しろこの回は先の「Cowgirl In The Sand」だけでなく、秋のアメリカだけではこの回でしか演奏されなかった「Southern Man」まで聞けてしまう日。おかげで夜の部のオーディエンス録音アイテムは名盤揃いだったのですが、それらの価値を半減させてしまうマルチトラックの威力。ただでさえ秋のアメリカはニールとホースの演奏レベルが高くてマニアに大人気な訳ですが、この日は一日二回公演だったにもかかわらず、まるで疲れ知らずの絶好調な演奏ぶりと最高の選曲は今も本当に魅力的。「Cowgirl In The Sand」は特に素晴らしい。世界中のマニアが待ち望んだ「NEIL YOUNG ARCHIVES VOL.II」が昨年リリースされ、そこには1976年ツアーから日本とイギリスでの録音をまとめた「ODEON BUDOKAN (1976)」というライブアルバムが含まれていました。ところが、いざ蓋を開けてみればディスク一枚の収録時間はたった45分、おまけに武道館のテイクが採用されて日本のマニアを喜ばせた「Cowgirl In The Sand」は短縮編集されていたという落ち。極めつけは76年ツアーのライブアルバムだというのに、あろうことか「Like A Hurricane」が含まれていない!これは「The Song Remains The Same」のないZEP「LISTEN TO THIS, EDDIE」を聞かされるに等しい行為。76年ツアーから初めて実現したオフィシャル・リリースは何とも残念な仕上がりだったのです。ところが「ELECTRIC BOSTON」には先の二曲だけでなく「Like A Hurricane」も最高の音質にて収録。この回のテイクがまた素晴らしい出来で、ニールのギターが荒れ狂う様子がリアルに捉えられている。やはり76年はこうでないと。さらに「Cortez The Killer」でもニールのギターがキレッキレ。それだけに今回のアジャストでオーディエンス録音へと切り替わる個所が2013年盤よりなめらかになったポイントも高い。同じく76年ツアーを一枚のディスクに切り取ったアルバムでありながら、「ODEON BUDOKAN (1976)」よりもはるかに充実した内容で再リリース&リマスターが実現する名盤。一枚の中に76年ツアーのキラーチューンが詰め込まれ、なおかつ最高の音質のマルチトラック録音となれば、ニールファンならずとも一家に一枚!(リマスター・メモ)前回盤は全体にリミッター掛かってたので、今回は今風の波形が上下に張り付かないレンジ重視のリマスターにしてます。波形的には全体の音量は僅かに下がってますが、低域を僅かにブーストしてますので音が小さくは感じないはずです。
位相修正。右寄りのボーカルが補正されています 終盤部Cortez~CinnamonのAud補填部は、左寄りの音像をなるべくセンター補正。補填の切り替わり部も、補正かけてます。Music Hall, Boston, MA, USA 22nd November 1976 Late Show STEREO SBD(UPGRADE) (70:02)
1. Country Home 2. Don't Cry No Tears 3. Drive Back 4. Cowgirl In The Sand 5. Bite The Bullet 6. Lotta Love 7. Like A Hurricane 8. After The Gold Rush 9. Are You Ready For The Country? 10. Cortez The Killer 11. Cinnamon Girl 12. Encore 13. Homegrown 14. Southern Man
STEREO SOUNDBOARD RECORDING Neil Young - Vocals, Guitar Frank Sampedro - Guitar, Keyboards, Vocals Billy Talbot - Bass, Vocals Ralph Molina - Drums, Vocals