公開されているミラード・マスターはZEPやフロイドといった彼の王道をいくアーティストだけでなく、意外なアーティストも数多く録音してくれていたことが明らかとなっていますが、この日曜に公開されたのは1981年のジェイムス・テイラー。名作「DAD LOVES HIS WORK」を引っ提げて行われたツアーの記録。元々テイラーと言えば最低限のバンドをバックに従え、あくまでアコースティックなサウンドを貫いてきた人。それだけに今回発掘されたミラード・マスターもいつもの彼の録音とはちょっと違ったテイストが楽しめます。普段のミラードはアリーナでクローズな音像の録音を記録することに長けていましたが、この日はテイラーらしくシアターでのリラックスしたステージ。よってミラードの録音もいつものようなオンなバランスの代わりに、程よい距離感がある。とはいってもそれはあくまでミラードの感覚からすれば、ということ。というのも、この音像がシアターでのご機嫌なショーにぴったりはまっており、極上なレベルのオーディエンス録音であることには変わりない。しかも鮮度がまた絶品で、そもそも純度の高いシンプルなバンドサウンドを届けるテイラーのステージングが余すことなく捉えられている。試しにヘッドフォンで聞いてみてください、その透き通った質感にうっとりさせられること請け合い。1981年にもなるとテイラーのアメリカでの人気や地位というものは揺るぎないものがあり、「DAD LOVES HIS WORK」のリリースを区切りとしてレコーディングのペースが下がります。その代わりに力を入れたのがライブ活動だった訳ですが、このツアーにおける構成というのは、正にそれまでのテイラーのキャリアを振り返るような堂々たる選曲。もはやベスト盤ライブかと。そうなると観客の反応も一曲ごとに熱狂的で、なおかつシアターならではのあたたかな臨場感として返ってくるのだから、いつもと違ったミラード録音の魅力が新鮮。「How Sweet It Is (To Be Loved by You)」が始まった時に訪れる和やかさの極みのような盛り上がりなど、ショーはテイラー一人の弾き語りで幕を開けますが「Stand And Fight」からベースのリー・スクラー、ギターのワディ・ワクテルといったおなじみのミュージシャンたちが揃ってフルバンド・フォーメーションでの演奏。それがまたシアタークラスの会場に映える。そして2時間を超す長丁場のステージでありながら、それでいてまったく聞き疲れしないのもテイラーのリラックスしたステージぶりと最強のセットリストならでは。「Her Town Too」ではレコーディングに参加していたJD・サウザーが登場してアルバムと同じデュエットを再現した後、彼も持ち歌を披露するといったサプライズまであり、聞きどころも盛りだくさん。テイラーならではの飽きの来ない最高のアコースティック・シアター・ショーもミラードが素晴らしいクオリティで録音してくれました!Wilshire Theatre, Beverly Hills, CA, USA 3rd May 1981 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1 (75:34) 1. Introduction 2. You Can Close Your Eyes 3. Mona 4. Wandering 5. Sweet Baby James 6. Riding On A Railroad 7. How Sweet It Is (To Be Loved By You) 8. Stand And Fight 9. Brother Trucker 10. Hey Good Lookin' 11. Walking Man 12. B.S.U.R. 13. Hard Times
14. It's Gonna Work Out Fine 15. Up On The Roof 16. Fire And Rain
Disc 2 (37:29) 1. Carolina In My Mind 2. Millworker 3. Twelve Gates To The City 4. Streamroller Blues 5. I Will Not Lie For You 6. Daddy's All Gone 7. Handy Man
Disc 3 (42:57) 1. Introduction of J.D. Souther 2. Her Town Too 3. You're Only Lonely 4. Faithless Love 5. Your Smiling Face 6. Mexico 7. Country Road 8. Money Machine / Band Introduction 9. You've Got A Friend
James Taylor - vocal, guitar Dan Dugmore – banjo and pedal steel Waddy Wachtel – electric guitar Leland Sklar – bass Rick Marotta – drums Billy Payne – keyboards Arnold McCuller – backing vocals David Lasley – backing vocals