ギグジーが戻って元の鞘に収まった1995年11月のオアシスはアールズ・コートで栄光の二日間のギグを開きました。よって一般的にはビッグネームの仲間入りした印象の強い時期(日本でもアールズ・コート二日間については大々的に報じられていました)と思われがちですが、それはあくまでイギリス国内での話。世界規模で言えばまだまだ、という状態でして、実際にアールズ・コートから10日後にはフランスでシアタークラスの会場でギグを行っています。今となってはアールズ・コートの印象が強すぎて95年11月の音源と言えばアイテムもそれら二日間に集中している感すらありました。リアルタイムではいくつかアールズ・コート後の音源を収録したアイテムもリリースされていましたが、それも今は昔。今回「BALTIMORE 1995 DAT MASTER」の初回納品分に付く貴重音源は何と!フランスのナントで(すいません苦笑)行われたシアターギグのオーディエンス録音を収めているのです。いかにも当時のカセット・ウォークマンで録られたようなオーディエンス録音であり、当時台頭していたDATオーディエンスのようなクリアネスは望むべくもありません。ちょっと荒くれ録音だと言ってもいいかもしれません。ところが意外なほど音像が近く、中でもリアムの声とノエルのギターは驚くほどオンな音像ですので、マニアならむしろ楽しんでいただけるのでは。何よりあのアールズ・コートから10日足らずというタイミングに、ここまでアットホームな雰囲気のギグを行っていたというのがとても面白い。オープニングからしてノエルが「最初の曲は’Swamp Song’だ」と曲名を紹介してからインストゥルメンタルを始めるという場面が珍しいもの。その反面「Cast No Shadow」では既にノエルとオーディエンスがコールアンド・レスポンス状態となっており、アルバム「MORNING GLORY」がリリースされて一か月以上が経過し、ファンの間に浸透していた様子を伺わせてくれる。しかし曲間ではしつこいくらい絶叫する(というか悲鳴レベル)女性ファンもいて会場自体は盛り上がっていたようです。「ようです」と申し上げたのも、先のような兄弟が出す音のバランスが大きくて演奏中は周囲の音がまったく拾われないところからすると、一見「盛り上がっていないのでは?」と錯覚しそうになってしまうから。それにしても「MORNING GLORY」リリースにアールズ・コート二日間といった栄光に溢れた時期の中、ここまでハコっぽい雰囲気のライブを繰り広げていたというのが本当に面白い。よってあの時のようなハイテンション・パフォーマンスとは違うのですが、バンドも程よい大きさの会場でくつろぎながらステージに挑んでいる様子が伺え、冒頭で聞かれたノエルの曲紹介の場面などはその最たる例でしょう。そしてリアムもこの日は絶好調で、やはりくつろいだ雰囲気の中で伸びやかな歌声を聞かせてくれます。正に「MORNING GLORY」モードの歌声で攻めまくる。やはり同アルバムリリース後、1995年の残り数か月というのは特別な時期だったように思えます。このカッコイイ歌声を前にしてナントに集まったオーディエンスは絶叫で応えているいるのかもしれません。確かにDAT録音的な優等生オーディエンスとは違う荒くれ録音(AMラジオ的と言えるかも)ではあるものの、先のような音像の近さが功を奏して十分に楽しめる1995年11月のレア・ライブ音源。よってマニア向け音源ではありますが内容は最高!
La Trocardiere, Nantes, France 14th November 1995 TRULY AMAZING SOUND (80:00)
01. The Swamp Song 02. Acquiesce 03. Supersonic 04. Hello 05. Some Might Say 06. Shakermaker 07. Roll With It 08. Cigarettes & Alcohol 09. Live Forever 10. Champagne Supernova 11. Wonderwall 12. Cast No Shadow 13. Morning Glory 14. Don't Look Back In Anger
15. Whatever 16. I Am The Walrus Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Paul Arthurs - guitar Paul McGuigan - bass Alan White - drums