黄金時代の中でも秘境で知られる“ASSAULT ATTACK Tour”。その現場を伝える新発掘マスターがリリース決定です。そんな本作に封じられているのは「1982年12月1日エディンバラ公演」。その絶品オーディエンス録音です。“ASSAULT ATTACK Tour”と言えば、ウォームアップ・ギグでのグラハム失踪とゲイリー・バーデンの電撃復帰から始まったわけですが、さすがに違うシンガーでのプロモーションに限界があったのか、短期間で終了。早々に次作『BUILT TO DESTROY』の制作医へとシフトしていきます(もっとも次作も難産になってしまうわけですが)。本作は、そんな貴重なショウを現場体験できるライヴアルバム。まずは、その歩みを振り返りショウのポジションを確かめてみましょう。1982年・8月24日:シェフィールド大学(グラハム失踪)《8月27日:ゲイリー・バーデンとリハーサル》・8月29日:レディング・フェス出演 ←※公式BBC RADIO ONE・9月4日+5日:ゴールデン・サマーナイト(西独2公演)
《10月『ASSAULT ATTACK』発売》・10月31日:ブリストル公演・11月21日-12月13日:英国(14公演) ←★ココ★ 1983年・1月13日-20日:日本(6公演)《『BUILT TO DESTROY』制作へ》 これが『ASSAULT ATTACK』にまつわる活動概要。MSGは資料によって細かい日付があやふやだったりするので、公演数など厳密ではありませんが、おおよその流れとスケール感はご理解いただけると思います。グラハム失踪から1週間弱でバーデンとレディング・フェスティバルに出演する離れ業をこなしたわけですが、ツアー本編が始まるのはその約3ヶ月後。英国と日本だけの極々限られたステージだけでした。その中でも本作のエディンバラ公演は序盤。「英国」ツアー6公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、今話題のコレクションから飛び出した新発掘マスター。そのコレクションとは「G.Mann」。そう、ACCEPTの『MONSTERS OF ROCK 1984』やゲイリー・ムーアの『MONSTERS OF ROCK 1984』、MOTLEY CRUEの『NUREMBERG 1984』といった名盤を筆頭にさまざまなバンドの傑作を送り出している2021年の名門。先日もMSGの4枚組『MANCHESTER 1982』が大好評となりました。本作は、その『MANCHESTER 1982』の続編ともいうべきライヴアルバムなのです。今回も『MANCHESTER 1982』と同じく「G.Mann」本人の録音ではないようですが、クオリティは流石。何よりも素晴らしいのはオンな芯と艶やかな鳴り。冒頭のヴィンテージな音色に「普通録音かな?」と思わせつつ、演奏が始まると力強くディテールまでクッキリとした演奏音が飛び込んでくる。実のところ、ベースはやや引っ込み気味ではあるものの、他は満点。特に素晴らしいのは主役マイケルのフライングVでして、チョーキングやヴィブラートの幅は勿論、ピックの持つ角度まで伝わって来そうな繊細さです。そのサウンドで描かれるのは、バーデン&テッド・マッケンナも揃ってユニットとして完成したMSGの姿。ここでセットも整理しておきましょう。
・現象:Doctor Doctor/Rock Bottom(★)・神:Cry for the Nations/Bijou Pleasurette/Victim of Illusion(★)/Lost Horizons/Armed and Ready・神話:Attack of the Mad Axeman/Let Sleeping Dogs Lie/Looking For Love/Are You Ready to Rock・黙示録:Ulcer(★)/Rock you to the Ground
・その他:Courvoisier Concerto/Scotland the Brave(★)※注:「★」印は『BBC RADIO ONE』『ROCK WILL NEVER DIE』を合わせても聴けない曲。……と、このようになっています。残念ながら中盤のテーチェンジで「Into the Arena」「Desert Song」が録音漏れになってしまったものの、“ASSAULT ATTACK Tour”の証である「Ulcer」から始まる初期の名曲選はやはり格別。アンコールスタートで披露される「Scotland the Brave(勇敢なるスコットランド)」は”非公式なスコットランド国歌”とも言われる愛唱歌のこと。ただしバンド演奏ではなく、バーデンと観客による大合唱のかけ合いです。しかし、ただの遊びというわけでもなく、散々盛り上がったところで「Are You Ready to Rock」のリフが轟く流れは非常にカッコイイのです。ライヴ数自体が少なく、秘境になるのも必然な“ASSAULT ATTACK Tour”。そのコレクションを豊かにしてくれるだけでなく、本作自体が素晴らしいサウンドのライヴアルバムです。『MANCHESTER 1982』の続編としては勿論、『MANCHESTER 1982』の4枚組というボリューム気後れされている方のお試し盤としても最高な1本。Playhouse, Edinburgh, Scotland 1st December 1982 TRULY AMAZING / PERFECT SOUND
Disc 1(41:38) 1. Intro. 2. Ulcer 3. Cry for the Nations 4. Attack of the Mad Axeman 5. Rock you to the Ground 6. Bijou Pleasurette 7. Victim of Illusion 8. Courvoisier Concerto 9. Lost Horizons
Disc 2(44:27) 1. Let Sleeping Dogs Lie 2. Looking For Love 3. Armed and Ready 4. Doctor Doctor 5. Scotland the Brave 6. Ready to Rock 7. Rock Bottom Michael Schenker - Guitars Gary Barden - Vocals Chris Glen - Bass Ted McKenna - Drums Andy Nye - Keyboards