コアなコレクター間でのみ流通し、存在だけが噂されていた幻録音が緊急浮上。リリース決定です。そんな本作に吹き込まれているのは「1975年4月20日テンピ公演」。“WISH YOU WERE HERE Tour”の一幕で記録されたヴィンテージ・オーディエンス録音です。その気になる内容の前に、まずはショウのポジション。良い機会でもありますので、当時のスケジュールから紐解いてみましょう。・4月8日ー21日:北米#1a(8公演)←★ココ★・4月23日ー27日:北米#1b(LA5公演)・6月7日ー28日:北米#2(15公演)・7月5日:ネブワース・フェス出演《9月12日『WISH YOU WERE HERE』発売》これが1975年のPINK FLOYD。4月と6月に北米を2周しており、4月のハイライトはLAでの5連続公演。本作のテンピ公演は、その直前となる「北米#1」の7公演目にあたるコンサートでした。このショウの記録はコア・トレーダーのリストにはあったものの、長年、実際の音としては流通してこなかった。一部で「日付の記録ミスか?」との憶測も飛んだほどの幻音源でした。ところが、その幻が遂に浮上した。最近になってあるコレクターが自分のコレクションの中に偶然トレードしていたDATを見つけ、それをデジタル化して公開したのです。そのサウンドは、何とも力強くパワフルなヴィンテージ録音。さすがに長年に渡って幻だっただけにツアー代表作の座を競うようなタイプではないのですが、かと言ってノイズの中から頼りない演奏音を探すタイプでもない。密度と突進力のある芯がグイグイと迫り、ホール鳴りを容赦なく突き破る。演奏が熱を帯びると割れ気味になることもあるものの、その感触でさえナチュラルでマスタリングに失敗したラウドネス・ウォーとは違って突き刺さってこない。このニュアンスを喩えるなら(バンドは違いますが)KING CRIMSONの『EARTHBOUND』が近いでしょうか。もちろん、本作の方がさらに一歩粗めではありますが、ワイルドだけど聞き苦しくはなく、「荒いからこそのロックなパワー」が瑞々しく溢れ出すサウンドなのです。これまで知る由もなかった1975年のトロントの夜。その全貌を伝えてくれる幻音源の発掘です。世紀の大名盤と喧伝するタイプではありませんが、単に歴史の1ページを埋めるだけでは済まない力強い演奏がたっぷりと楽しめるのも間違いない。初体験ショウの喜びに取り憑かれたコレクター諸兄はもちろん、「ローファイなフロイド」の魅力を体験されたい方にも全力でお薦めしたいライヴアルバム。コアなコレクターだけが秘匿していた幻のオーディエンス録音がリリース。KING CRIMSONの『EARTHBOUND』のような力強くローファイなサウンドで“WISH YOU WERE HERE Tour”を現場体験できる貴重なライヴアルバムです。
Live at ASU Activity Center, Tempe, AZ, USA 20th April 1975 AMAZING SOUND
Disc 1 (26:07) 1. Intro/Soundcheck 2. Raving And Drooling 3. Soundcheck 4. You Gotta Be Crazy
Disc 2 (62:02) The Dark Side Of The Moon 1. Speak To Me 2. Breathe 3. On The Run 4. Time 5. Breathe (Reprise) 6. The Great Gig In The Sky 7. Money 8. Us And Them 9. Any Colour You Like 10. Brain Damage 11. Eclipse 12. Audience 13. Echoes