ロバート・フリップがプロデュースした『PETER GABRIEL (SCRATCH)』でソロとしての地保を固めた1978年のピーター・ガブリエル。その現場を伝えるマイク・ミラードの秘宝録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1978年9月30日ウェスト・ハリウッド公演(レイト・ショウ)」。伝説的なクラブ“THE ROXY”で記録された極上オーディエンス録音です。当時の象徴と言えば、名物番組“ROCKPALAST”に出演した際のプロショットも有名。そこを足がかりに、当時のスケジュールでショウのポジションをイメージしてみましょう。《6月3日『SCRATCH』発売》・8月23日ー9月16日:欧州#1(17公演)←※ROCKPALAST・9月29日ー11月24日:北米(39公演)←★ココ★・11月30日ー12月24日:欧州#2(22公演) これが1978年のピーター・ガブリエル。全米ツアーを中心に2つの欧州レッグが挟み込むスタイルで、大定番の“ROCKPALAST”は序盤「欧州#1」の記録でした。それに対し、本作のウェスト・ハリウッド公演はその約2週間後となる「北米」レッグの3公演目。“THE ROXY”では「9月30日/10月1日」の2日間で合計4公演が行われたわけですが、本作は「初日の2公演目」にあたるコンサートでもありました。「ミラード+THE ROXY」と言えば、GENESISの名作『THE ROXY 1980(Amity 621)』も浮かびますが、本作も負けず劣らずの銘品。何と言っても素晴らしいのは、“THE ROXY”ならではの密室感。常に極太の芯と詳細なディテールで圧倒するミラード録音ではありますが、本作はいつになく「近い」。とにかく出音と鳴りにタイムラグがなく、丸出しの芯が目の前で鳴る……いや、その次元を超えて「肌感覚」で感じられるほどなのです。それもそのはず、実は本当に間近で録音されている。“THE ROXY”もミラードの庭とも言うべき会場なのですが、ここで1日2公演が行われる際、2公演分のチケットを購入すると2回目ステージで座席が優遇されるというサービスがあったそう。もちろん、ミラードは両公演で観覧して両方録音するのが慣例だったわけですが、レイト・ショウの方が音が良かったのです。そして、この日の優遇席は(比喩ではなく文字通り)手を伸ばせばピーターに触れるほど近いポジションだったのです。その一方で、ミラード作品にしては熱狂も多めに吸い込んでいるものの、それもまた“THE ROXY”ならではの密室感。伝説クラブに居合わせている現実感、地肌でバンドを感じるようなダイレクト感をたっぷりと味わえる希代のライヴアルバムなのです。そんな密着サウンドで描かれるのは、“ROCKPALAST”ともひと味違ったフルショウ。ここでは比較しながらセットを整理しておきましょう。1stアルバム:CAR(7曲)
・Moribund The Burgermeister/Humdrum/Waiting For The Big One/Slowburn(★)/Solsbury Hill/Modern Love/Here Comes The Flood 2ndアルバム:SCRATCH(9曲)・On The Air/Perspective/A Wonderful Day In A One-Way World(★)/Home Sweet Home(★)/D.I.Y.(★)/
Mother Of Violence(★)/Flotsam And Jetsam(★)/Animal Magic(★)/White Shadow その他(3曲)・3rdアルバム(MELT):I Don't Remember ・その他:A Whiter Shade Of Pale(★:PROCOL HARUM)/The Lamb Lies Down On Broadway(GENESIS)※注:「★」印は大定番プロショット“ROCKPALAST 1978”で聴けない曲。……と、このようになっています。当時のピーターは1日2公演で大きくセットを変えていたわけですが、そのせいもあってか“ROCKPALAST”とはだいぶ異なる。何よりも目立つのは『SCRATCH』新曲群で、「A Wonderful Day In A One-Way World」「Home Sweet Home」「Flotsam And Jetsam」「Animal Magic」など、このツアーだけの限定曲がたんまりと楽しめるのです。もちろん、新曲だけではありません。前作の「Slowburn」やGENESISの「The Lamb Lies Down On Broadway」はこのツアーまでで演奏されなくなってしまいますし、さらに貴重なのがPROCOL HARUMのカバー「A Whiter Shade Of Pale」。この超有名局をピーターが歌ったのは、後にも先にも1978年だけ。その貴重な現場をミラード・サウンドで味わえるのです。伝説のクラブで体験する、初期ソロのピーター・ガブリエル。この醍醐味に尽きます。ミラード録音とは言っても、本作から吹き出すのは大会場でのスペクタクルや均整の美ではなく、密室感と秘匿感。そのため、万人向きな永久保存プレス化は見送られましたが、逆に言えば超リアルな現場感覚を愛する方にはこの上なく素晴らしいライヴアルバムの大傑作なのです。「1978年9月30日ウェスト・ハリウッド公演(レイト・ショウ)」の極上オーディエンス録音。絶対名手マイク・ミラードのマスター・コレクションで、伝説クラブ“THE ROXY”ならではの密室感・秘匿感が素晴らしい。実際に手を伸ばすとピーター・ガブリエルに触れるほどの間近席で録音されており、いつになく「近い」。ホール鳴りのタイムラグもない超ダイレクト・サウンドで、『SCRATCH』ナンバーの数々や「The Lamb Lies Down On Broadway」、PROCOL HARUMの「A Whiter Shade Of Pale」など、貴重ナンバーの数々を極上体験できます。The Roxy, West Hollywood, CA, USA 30th September 1978 (Late Show) PEREFECT SOUND
Disc 1 (46:44) 1. On Presuming To Be Modern 2. On The Air 3. Moribund The Burgermeister 4. Perspective 5. Humdrum 6. A Wonderful Day In A One-Way World 7. Home Sweet Home 8. D.I.Y. 9. Waiting For The Big One 10. band introductions 11. A Whiter Shade Of Pale
Disc 2 (49:37) 1. Mother Of Violence 2. Slowburn 3. Flotsam And Jetsam 4. I Don't Remember 5. Solsbury Hill 6. Modern Love 7. Here Comes The Flood 8. The Lamb Lies Down On Broadway 9. Animal Magic 10. White Shadow
Peter Gabriel - Vocals Timmy Capello - Saxophone, Keyboards Larry Fast - Synthesizers Tony Levin - Bass, Chapman Stick, Backing Vocals Sid McGinnes - Guitar, Backing Vocals Jerry Morrata - Drums