格別な情熱で王者IRON MAIDENを支持してきた南米。その人気を確立した1992年のフルショウを伝えるサウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「1992年10月10日カラカス公演(ベネズエラ)」のサウンドボード録音です。『ROCK IN RIO』『EN VIVO!』等が示すように、現在では「南米=親MAIDEN」は半ば常識。しかし、その人気が確立したのは他国よりやや遅れた90年代。ブルース・ディッキンソン脱退直前の『FEAR OF THE DARK』時代でした。彼らにとっての初南米は1985年の“第一回ROCK IN RIO”だったものの、その後は政情もあってツアーは実現せず、再び南米を訪れるようになったのが1992年だったのです。しかも、1985年にはブラジルのフェス出演だけだったのが、7年後には南米各国を単独でサーキット。その後の絶大な支持基盤を築きました。その辺の事情をイメージするためにも、当時のスケジュールから振り返ってみましょう。1992年“FEAR OF THE DARK Tour”
《5月11日『FEAR OF THE DARK』発売》・6月3日+5日:英国(2公演)・6月8日-7月17日:北米(25公演)・7月25日-8月4日:中南米#1(5公演)・8月15日-9月19日:欧州#1(18公演)←※公式LIVE AT DONINGTON・9月26日-10月10日:中南米#2(6公演)←★ココ★
・10月20日-11月4日:オセアニア/日本(10公演)《ブルース・ディッキンソン脱退を表明》1993年”REAL LIVE Tour”・3月25日-6月4日:欧州#2(44公演)・8月27日+28日:英国(2公演)←※公式RAISING HELL これが1992年/1993年のIRON MAIDEN。2回に分けてラテンアメリカを訪れており、南半球では冬だった「中南米#1」ではチリ・アルゼンチン・ウルグアイ・ブラジルを、春の「中南米#2」ではプエルトリコ・メキシコ・ベネズエラを巡りました。その中で本作のカラカス公演は後者「中南米#2」の最終日にあたります。ちなみに南米シーンは「ブラジル・アルゼンチン・チリ」が三大国とされ、海外バンドのツアーも国産バンドの数もケタ違い。IRON MAIDENも例外ではなく、ベネズエラ公演はこれまで1992年・2009年での合計3回だけでした。そんな貴重なショウは、以前から傑作サウンドボードが残された事でも知られ、本作はそのベスト・マスターをCD化したものなのです。実際、そのサウンドは絶品。遠く遠くに囁くような大歓声が聞こえるバランスは卓直結系のようにも感じますが、均整の取れたミックスはオフィシャル風。南米放送にありがちなスペイン語DJなども入りません。そもそも、肝心の公式品『LIVE AT DONINGTON』『A REAL LIVE DEAD ONE』がオフィシャルとは思えないほど生々しいこともあり、「A REAL 南米 ONE」といった感じのサウンドボード・アルバムなのです。そして、その準公式サウンドで描かれるのは、初ベネズエラに沸き立つフルショウ。ぶっちゃけセットは『LIVE AT DONINGTON』と同一だったりもしますが、良い機会ですのでここで整理しておきましょう。
・鋼鉄の処女:Iron Maiden/Sanctuary/Running Free・キラーズ:Wrathchild・魔力の刻印:The Number Of The Beast/Run To The Hills/Hallowed Be Thy Name・頭脳改革:The Trooper・パワースレイヴ:2 Minutes To Midnight・サムホエア・イン・タイム:Heaven Can Wait
・第七の予言:Can I Play With Madness/The Evil That Men Do/The Clairvoyant・ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング:Tailgunner/Bring Your Daughter...To The Slaughter・フィア・オブ・ザ・ダーク:Be Quick Or Be Dead/From Here To Eternity/Wasting Love/
Afraid To Shoot Strangers/Fear Of The Dark ……と、このようになっています。『LIVE AT DONINGTON』はMAIDEN史上でも屈指と言われるバランスの良いセットだけに、本作も定番とレア曲を織り交ぜながら見事に黄金時代を総括している。そして、肝要なのはそのセットを綴る演奏そのもの。とにかくハイテンションでノリが良い。1992年の南米は大観衆のラテンノリに燃えまくるショウが多く、この日も初ベネズエラに臨む勢いが凄い。しかも、大規模ツアーでこなれにこなれたアンサンブルは勢い余っても崩れることがなく、まだ脱退を決めていないブルースの全力投球も素晴らしい。残念ながら歓声が遠く遠く小さいタイプのサウンドボードだけに大観衆の爆ノリは感じられませんが、ところどころで「ベネズエラ!」「カラカス!!」と叫ぶブルースの声色や凄まじい反応に笑う声からもムードが透ける。特に凄いのが「Fear Of The Dark」。すでに歌い始めているブルースが押し寄せる観客に向かって「押すな、下がれ。下がってくれ、頼む」と語りかける。その後もなかなか収まらなかったのか、半インスト・バージョンになってしまう異常事態なのです。その後、欧州や北米はHR/HMの大暗黒時代へと突入。別の音楽に活路を見出そうとしたブルース・ディキンソンを失ったIRON MAIDENは、ブレイズ・ベイリー時代へを歩みを進める事になりました。そんな苦境の中でも王者IRON MAIDENが生き抜けたのは、南米人気があったからこそ。本作に収められているのは、その絶大な支持を創り上げた大熱演なのです。いわゆる「南米クオリティ」とはかけ離れたサウンドで黄金時代最後の輝きをたっぷりと味わえるサウンドボード・アルバム。「1992年10月10日カラカス公演(ベネズエラ)」のサウンドボード録音。南米放送にありがちなスペイン語DJはなく、均整の取れたミックスはオフィシャル風。そもそも肝心の公式品『LIVE AT DONINGTON』『A REAL LIVE DEAD ONE』がオフィシャルとは思えないほど生々しいこともあり、「A REAL 南米 ONE」といった感じのサウンドボード・アルバムです。肝要なのは初ベネズエラに臨むハイテンションな演奏。大規模ツアーでこなれにこなれたアンサンブルは勢い余っても崩れることがなく、まだ脱退を決めていないブルースの全力投球も素晴らしい。「Fear Of The Dark」ではブルースが押し寄せる観客に向かって「押すな、下がれ。下がってくれ、頼む」と語りかけ、半インスト・バージョンになってしまう異常な盛り上がりも楽しめます。Poliedro de Caracas, Caracas, Venezuela 10th October 1992 SBD
Disc 1 01. Intro 02. Be Quick Or Be Dead 03. The Number Of The Beast 04. Wrathchild 05. From Here To Eternity 06. Can I Play With Madness 07. Wasting Love 08. Tailgunner 09. The Evil That Men Do 10. Afraid To Shoot Strangers 11. Fear Of The Dark
Disc 2 (51:23) 01. Bring Your Daughter...To The Slaughter 02. The Clairvoyant 03. Heaven Can Wait 04. Run To The Hills 05. 2 Minutes To Midnight 06. Iron Maiden 07. Hallowed Be Thy Name 08. The Trooper 09. Sanctuary 10. Running Free
Bruce Dickinson - vocals Steve Harris - bass Dave Murray - guitar Janick Gers - guitar Nicko McBrain - drums SOUNDBOARD RECORDING