ダスティ・ヒルの訃報を受けてか、コレクター界で急速に再評価の機運が盛り上がっているZZ TOP。その最新作にして“2010 World Tour”を極上体験できるライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「2010年9月4日デル・マー公演」。その極上オーディエンス録音です。彼らは『MESCALERO』を一区切りにしてスタジオ作品からは距離を置くようになっており、毎年ツアー三昧の日々を送っていました。まずは、そんな当時のスケジュールを振り返ってショウのポジションを確かめてみましょう。・4月23日ー5月14日:北米#1(12公演)・5月18日ー26日:南米(5公演)
・5月28日ー6月26日:北米#2(16公演)・7月2日ー24日:欧州#1(17公演)・7月31日ー10月2日:北米#3(36公演)←★ココ★・10月14日ー29日:欧州#2(11公演) これが2010年のZZ TOP。何一つ作品をリリースすることなく、ひたすらライヴ・ライヴ・ライヴ。特に大票田の北米はじっくり三周しており、本作のデル・マー公演はその終盤。「北米#3」の20公演目にあたるコンサートでした。そんな現場で記録された本作は、秋祭りのような清々しさたっぷりのオーディエンス録音。とにかく素晴らしいのは、クッキリと鮮やかで距離感のない芯。サウンドボードと間違えるほどド密着でもないのですが、だからと言って遠さもまったくない。スネアの鳴りに客録感を宿しつつ、ディテールまで克明な芯が真っ直ぐ届き、ボケも曇りもまったくない。まるでレーザー光線のような鮮やかさで耳元に飛び込んでくるのです。その要因は、恐らく会場。現場となった“デル・マー・インフィールド”はいわゆる競馬場でして、広々とした野外トラックに特設されたステージで演奏されている。そのため、音を反射する壁も天井もなく、PAが吐き出す出音を反響ゼロで拾っている。だからこそ、まるでサウンドボードのような力強くビビッドな演奏と歌声をたっぷりと味わえるのです。演奏音がサウンドボード的である一方、本作はオーディエンスの旨みもたっぷり。それは、会場の開放感。特殊な現場なこともあってか、観客のノリは完全にお祭りモード。絶大な人気に裏打ちされた歓声が各所から沸き立ちつつ、その雰囲気は気の触れた狂乱と言うよりは、どこかワイワイとしている。演奏を聴かずに会話するほどではないのですが、繰り出される1曲1曲やZZ TOPの一挙手一投足に笑い、ツッコミ、声援を送る。その声が大空に吸い込まれていくような開放感がたまらなく気持ちイイのです。そんなクッキリ爽やかサウンドで描かれるのは、長いキャリアで愛されてきた名曲選。当時は『LIVE FROM TEXAS』から2年。セットは基本こそ通じるものの、ディテールも変化していました。ここでは公式ライヴ作と比較しながら整理してみましょう。LONDON RECORDS時代(8曲)・ファースト・アルバム:Brown Sugar(★)・リオ・グランデ・マッド:Just Got Paid・トレス・オンブレス:Waitin' for the Bus/Jesus Just Left Chicago/La Grange・ファンダンゴ!:Tush・その他:Future Blues
(★:ウィリー・ブラウン)/Hey Joe(★:THE LEAVES)WARNER RECORDS時代(9曲)・皆殺しの挽歌:I'm Bad, I'm Nationwide/Cheap Sunglasses・エル・ロコ:Party On The Patio(★)・イリミネイター:Got Me Under Pressure/I Need You Tonight(★)/Gimme All Your Lovin'/
Sharp Dressed Man/Legs・リサイクラー:My Heads In Mississippi(★)※注:「★」印は『LIVE FROM TEXAS』では観られない曲。……と、このようになっています。大定番音大盤振る舞いのようでありつつ、デビュー作の「Brown Sugar」や大ヒット時代の「I Need You Tonight」、それに貴重なカバーなどが要所を押さえる。自在なショウ運びと集中力を切らさない構成の妙が素晴らしく、気ままに楽しんでいる観客たちも1曲1曲と重ねるほどに飽きるどころかグイグイと引き込まれているのがよく分かる。百戦錬磨の大ベテランらしいフルショウなのです。オーディエンス・サウンドで『LIVE FROM TEXAS』を現場体験しているようでもあり、レア曲のアクセントや開放的なムードも素晴らしいライヴアルバムです。アメリカではいかにZZ TOPの音楽が根付き、広く愛されているかがよく分かる。そんな本場の薫りを胸いっぱいに吸い込める1本。「2010年9月4日デル・マー公演」の極上オーディエンス録音。クッキリと鮮やかでディテールまで克明な芯が距離感もなく真っ直ぐ届き、まるでレーザー光線のような鮮やか。現場は競馬場のレーストラックに特設されたステージで、音を反射する壁も天井もなく、PAが吐き出す出音を反響ゼロで拾っています。その一方、野外の開放感たっぷりなムードも素晴らしく、たまらなく気持ちイイ。「Brown Sugar」や「I Need You Tonight」、貴重なカバーの数々など、『LIVE FROM TEXAS』では聴けない名曲群も美味しいライヴアルバムです。Del Mar Infield, Del Mar, CA, USA 4th September 2010 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND
Disc 1(48:00) 1. Got Me Under Pressure 2. Waitin' For The Bus 3. Jesus Just Left Chicago 4. I'm Bad I'm Nationwide 5. Future Blues 6. Cheap Sunglasses 7. My Head's In Mississippi 8. I Need You Tonight 9. Hey Joe 10. Brown Sugar 11. Party On The Patio
Disc 2(34:57) 1. Just Got Paid 2. Gimme All Your Loving 3. Sharp Dressed Man 4. Legs 5. La Grange 6. Tush Billy Gibbons - Guitar & Vocal Dusty Hill - Bass & Vocal Frank Beard - Drums