偉大なグループにはオフィシャルのライブアルバムでは伺い知れない絶頂期パフォーマンスのラジオ放送というものが存在するものです。ローリング・ストーンズのブリュッセルなどはその最たる例でしょう。オアシスにも人気が頂点を迎えた1996年で圧巻のライブを披露した一日を捉えた最高のラジオ放送というのが存在します。彼らの場合は96年3月にヨーロッパとアメリカでそれぞれに横綱的存在のラジオ放送が実現、前者は「J.I.L.Y.」などでおなじみカーディフ公演ですが、後者で揺るぎない地位を築いているのがフェアファクス公演。ひと月で二つのラジオ音源が存在し、なおかつどちらでも凄まじい演奏が聴かれるという事実、それは1996年3月のオアシスがいかに絶頂にあったかを雄弁に物語るもの。ラジオ音源ということから完璧なステレオ・サウンドボード録音であることはもちろん、何より最高の演奏を捉えていたことからどちらの放送も数多くのアイテムを生み出してきたものです。フェアファクスに関しては「PATRIOT GAME」や「TALLER THAN JESUS CHRIST」といったところが代表格と言え、それらを所有されている方も多いかと。大元になった「LIVE FROM THE PIT」というラジオ放送用ディスクがリアタイで広く流通しており、それをコピーするだけでも最高音質のサウンドボード・アルバムがリリース可能であったのでした。ただし放送用ディスクにはありがちな現象としてトラックごとの振り分けがなく、リリースに際して演奏曲にトラック分けが施されただけでもアイテムとして成り立つほどだったのです。これまでリリースされた名盤群はそうした処理が施されていたのですが、それ以外にも無視できない問題がおざなりにされていたのです。放送用ディスク「LIVE FROM THE PIT」はライブ開始前に流されるオープニングやコマーシャルのパートの音量レベルが大きい一方、オアシスのライブ本編が始まると音量がシュンと落ちてしまい、再生する際には音量を上げなければいけないという問題があったのです。ひと昔のテレビ放送ではCMになると音量が大きくなるという現象がみられましたが、それはラジオでも同様。この音量差というのはかなりのものでして、オープニング・セクションの後でライブ本編が始まった際のもどかしさといったら、まるで初期のCDのような音量の低さを彷彿とさるレベル。それだけではありません、ライブ本編でも「Hello」の途中で何故か音量の下がる個所があり(ただでさえ低い音量がさらに下がってしまう結果に)、さらにノエルのアコースティック・コーナーも音量の低さが気になったものです。何しろ音が良いので、フツーに出しても十分に成り立ってしまう音源だったことから、そうした問題が今までおざなりにされてきた訳ですが、今回のリリースに際しては、最後の一手とも言うべきこれら音量差を緻密にアジャスト。何よりオープニングの後で音量がガクッと落ちず、そのままライブ本編を聞き通せるという状態が遂に!そしてライブ全編を通してのハイテンションなパフォーマンスぶりも非常に際立った挙句、放送禁止用語を連発。そのせいでブザー音の代わりに「ジリジリ」という音で問題の場面を隠蔽していたのも印象的でした。中でも最高傑作だったノエルの「Cats! Cats! Mouse! Dog!」という「Supersonic」の前に放った絶叫。これはアメリカでコンサート楽屋のケータリングを請け負っていた会社「Cat and Mouth」の名前でした。96年にもなるとオアシスのアメリカでの人気は一気に上昇、実際アリーナでツアーできるようになり、その成功ぶりを物語るように楽屋でケータリングを設けられるところまで出世していたのです。そしてこの日のライブは放送用の収録が行われたことから、それを意識したノエルがケータリング会社の宣伝を兼ねて機転を利かせた(といっても真意を理解できなかった人がほとんどでしょうが)叫びがこの場面だったのです。よって今回は短いながらも忘れ難いこの場面にもチャプターを設けました(笑)こうした愉快な場面は言わずもがな、全編を通して気持ちいがイイくらい声の出まくるリアムの頼もしいこと。96年の夏における大一番であり、この秋に晴れてオフィシャル・リリースが実現するネブワースを前に上昇気流に乗っていたオアシス最高の演奏は掛け値なしにすべてのファンに自信を持って推せる素晴らしさ。ラジオ放送のいいところは、オフィシャルのライブアルバムほど音が作りこまれず、それでいてノエルとボーンヘッドのギターが解りやすく分離され、しかも生々し質感で捉えてくれたことも大きな魅力でしょう。もちろん今回も先の理由からライブだけでなく番組全体を収録しており、盛り込まれていたコマーシャルもノーカット。もちろんオアシスの演奏とは関係のないパートですので、ライブだけを聞きたい方など飛ばしていただければ。しかし放送中盤ではノエルとボーンヘッドのインタビューが登場し、そこで過去の名盤のタイトルとなったノエルの発言が聞かれるなど、番組全体の面白さは96年当時の空気感まで伝えてくれるので聞き逃せません。そして唯一のネックであった音量差が解消され、全編をストレスなく聞き通せるようになった96年オアシスの稀代の名演ラジオ放送の決定版が遂にリリース!
GMU Patriot Center, Fairfax, VA, USA 7th March 1996 STEREO SBD
Disc 1 (57:54) 01. Opening 02. CM #1 03. CM #2 04. CM #3 05. The Swamp Song 06. Acquiesce 07. MC "Cats! Mouse! Dog!" 08. Supersonic 09. Hello 10. Some Might Say 11. Roll With It 12. CM #4 13. CM #5 14. Shakermaker 15. Morning Glory 16. Cigarettes And Alcohol
17. Champagne Supernova 18. CM #6 19. CM #7
Disc 2 (44:03) 01. Interview #1 02. Whatever 03. Wonderwall 04. Slide Away 05. CM #8 06. CM #9 07. Interview #1 08. Don't look Back In Anger 09. Live Forever 10. I Am The Walrus 11. CM #10 12. CM #11 13. Advertisement 1:34 14. Advertisement with Noel #1
15. Advertisement with Noel #2 16. Advertisement with Noel #3 Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Paul Arthurs - guitar Paul McGuigan - bass Alan White - drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING