【全世界初演の『狂気』で知られる伝説のブライトン公演】ロック史に残るコンセプト大曲「狂気」。その全世界初演で知られる歴史的な最重要録音が登場。ベスト・マスターを2CDでリリース決定です。そんな本作に収められているのは「1972年1月20日ブライトン公演」。“DARK SIDE OF THE MOON Tour 1972-1973”の初日で記録された極上オーディエンス録音です。このショウは、もはやフロイド史の伝説ですらある。世紀の名盤『狂気』は、ステージ現場で育てられた事でも有名。1971年末に概要が固まったところでツアーが開始、約1年に渡って毎日演奏と練り上げを繰り返されながら完成形へと成長していきました。本作のブライトン公演は、その第一日目。将来、ロックの最高傑作とまで呼ばれる楽曲が(プロトタイプながら)初めて人前で披露された刹那だったのです。これだけでも歴史的ですが、この日はそれだけで終わらなかった。「マネー」に差し掛かったところで機材にトラブルが発生し、そこで「狂気」の演奏は中断。結局は完全演奏にはならなかった(ちなみに初の完全演奏は翌日のポーツマス公演)のですが、その代わりに何事もなかったかのように予定外「原子心母」を演奏。ライヴバンドとしての実力と機転が露わになった激レア演奏ともなったのです。
【歴史的な現場を肌感覚で味わえる最高峰マスター】そんな歴史的なショウが伝説となり得た最大の要因は、オーディエンスの名録音が残された事でもありました。ショウ内容もさることながらサウンド・クオリティが素晴らしく、古くから名作と呼ばれる既発が幾つも誕生。オフィシャル名盤と同様、時代の流れに沿ってアップグレードも繰り返されてきたのです。そして、現在まで最高峰として君臨するマスターが登場したのは2016年。名作『BRIGHTON JANUARY 1972』でした。当店では、それまでも1stジェネ盤など、各時代で最高のマスターを追求してきましたが、『BRIGHTON JANUARY 1972』は次元が違いました。そのアップグレードぶりは、長さとサウンドの両面に及んだ。特に「マネー」 での機器トラブル発生から「原子心母」開始までの時間が長く記録され、チューニングを含めた当時の時間経過がよりリアルに感じられたのです。そして、それ以上なのが全編を貫くサウンド。古くから力強い芯の間近感や細やかなディテールが有名だったわけですが、『BRIGHTON JANUARY 1972』はその美点が更に鮮やかで、その上で無音部までもが段違いに深かった。ヘッドフォンで耳を澄ませても感じ取れないようなヒスの少なさは漆黒の深みを湛え、そこに浮かび上がる1音1音は輪郭までクッキリと浮き立ち、伸びる鳴りは照りと艶に輝いていたのです。全曲・全ノートが生まれ変わっていたのですが、やはり特筆したいのは「マネー」でのトラブル・シーン。1つ前の「The Mortality Sequence(虚空のスキャットの原形)」の途中からハム・ノイズが発生し、その波長が徐々に高まって「マネー」でやむなく中断してしまう。その不気味なノイズの高まりや各楽器の音の散り方もまるで目の前で行われているように超リアル。しかも、この日は誰もが楽曲本来の姿を知らない初演。心臓の鼓動やレジスターのSEまで駆使されたパフォーマンスだけに、観客にとってはけたたましいノイズも音楽の一部なのかトラブルなのか判然としない。「マネー」が中断されても怪訝な様子ながら喝采が沸き上がり、まるで最初から予定されていたかのように始まる「原子心母」……その現場感が異様なリアリティで描かれるのです。思わずトラブルの話ばかりになってしまいましたが、他のパートも初演ならでは。歌詞も旋律も不安定な「生命の息吹き」、インストジャム的な「The Travel Sequence(走り回っての原形)」、アラームのSEがない「タイム」、まだ歌詞がない「ブリーズ(リプライズ)」、マイナー調のオルガンをバックに,聖書の朗読SEが流される「The Mortality Sequence」などなど、大名盤の原初の姿が興味深い。そして「原子心母」で第一部を締めると、クラシックスを披露する通常コンサート形式の第二部へ突入。ここでも歴史に名高い名演の数々が最高峰の美音で描かれていくのです。
【これ以上は望めない究極サウンドを永久保存】やたら余談が長くなってしまいましたが、『BRIGHTON JANUARY 1972』とはそこまで画期的な伝統録音の最高峰マスターでした。そして、その素晴らしさ故に発表から間もなく完売・廃盤。長らく入手不可の状況が続いていました。本作は、その伝説的マスター2CDなのです。実のところ「BRIGHTON JANUARY 1972と完全に同じ?」というと、そうではありません。最近、当店では伝統録音のブラッシュアップ盤をご紹介しており、本作もそのプロジェクトの一環としてリマスターが試みられました。これまでの諸作をご存知の方ならピンと来ると思いますが、微に入り細まで穿って精度を極めたマスタリングを施して来たのですが、本作に関しては「まるで別物!」とはなりませんでした。『BRIGHTON JANUARY 1972』時点での仕上がりがあまりにも完璧であり、ほとんど変えられなかった。物理的・音響学的に言えばマスタリング作業で向上しているのですが、聴覚上は「トータルで音圧の安定感が増したかな?」くらいにしか感じられないかも知れません。もちろん、ムリヤリ派手に仕上げる事も不可能ではないのですが、最重要音源を汚すマネはしたくない。あくまで精度アップにこだわって永久保存に臨んだのです。FLOYDコレクションに欠くことの出来ない「全世界初演の狂気」。あの伝説のショウを最高峰クオリティで味わえる永遠の超名盤です。数々の名録音をブラッシュアップしてきたノウハウでも超えることの出来なかった“頂の音”。『狂気』の全世界初演で知られ、機材トラブルによって途中から「原子心母」に切り替えられた伝説のショウ「1972年1月20日ブライトン公演」の極上オーディエンス録音。伝説的な名録音の最高峰マスターで、輪郭の鮮やかさも、1音1音の艶も、無音部の深みも従来盤とはケタ違いに素晴らしい。「マネー」で不気味に轟く機材トラブルのハム・ノイズや中断も楽曲の一部と思って拍手が沸く現場ムードなど、唯一無二の現場を超リアル体験できる。FLOYDコレクションに欠くことの出来ない超名録音を最高峰クオリティで永久保存した2CDです。The Dome, Brighton, East Sussex, UK 20ht January 1972 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1 (46:44) The Dark Side Of The Moon 1. Speak to Me 2. Breathe 3. The Travel Sequence 4. Time 5. Breathe (Reprise) 6. The Mortality Sequence 7. Money 8. Atom Heart Mother
Disc 2 (65:24) 1. "One, Two" 2. Careful With That Axe, Eugene 3. One Of These Days 4. Echoes 5. A Saucerful Of Secrets