チャーリー・ワッツ亡き後、初めてのステージということで世界中のファンが固唾をのんで見守ったツアー初日であるセント・ルイスは「ST. LOUIS 2021」にて先行リリース済ですがバージョンアップが実現いたします。程よい距離感を保ちつつ、ミックの歌声を中心に演奏のディティールもちゃんと伝えてくれるクリアーな録音状態。それに輪をかけて聞きやすくしてくれていたのが、周囲の観客の声をほとんど拾っていないという奇跡的なバランス。おかげでスティーブ・ジョーダンを迎えて行われたストーンズ最初のステージの様子をじっくり味わうことの出来る優良音源。気になるスティーブのドラミングですが、もちろんチャーリーと異なるニュアンスがあるのは当然のこと。それでも圧倒的に好意的な声が占めているのは、スティーブが完全にチャーリーをリスペクトしたドラミングを披露してくれたことでしょう。オープニングの「Street Fighting Man」からして、オリジナルのスタジオ・バージョンを彷彿させるリズムが新鮮。もちろん違和感の拭えない曲があるのは事実で、その最たる例が「Start Me Up」。この曲だけは、あのチャーリーの跳ねたドラミングとスティーブのどっしりとしたリズムの違いが大きく、改めてチャーリーのドラミングの個性あふれたプレイを再認識させられる思いがします。ところが全体的にはスティーブのドラミングが上手く溶け込んだレパートリーばかりであり、それが好意的な評価が大多数を占めるに至っているのでしょう。確かに彼のドラミングは素晴らしいものがある。チャーリーより年齢が10歳以上も離れているということから、彼の参加によってタイトさや勢いが出るレパートリーが増えることは容易に予想できましたが、やはり60年代のナンバーになるとスピード感が俄然増している。この日に関して言えば、スティーブが参加したからこそ「Under My Thumb」と「19th Nervous Breakdown」というブライアン期の曲を二つも続けて演奏することができたのでしょう。正にオリジナル・バージョンの勢いやスピード感が蘇っており、それでいてちゃんとチャーリーのテイストを感じさせてくれるのがお見事。それ以上にスティーブの最大の功績と呼んでも過言ではないほど息を吹き返したのが「Paint It Black」。チャーリー在籍時のストーンズにとってラスト・ツアーとなってしまった2019年のステージにおいて、この曲は日によって止まってしまいそうなほどテンポがもたついてしまっていたものでした。ところが、この日のスティーブのドラミングはオリジナル・バージョンにあった、あの攻撃的な雰囲気を蘇らすかのように叩いてくれており、ここ数年は精彩を欠いた感を否めなかった同曲が一気に息を吹き返したのです。この曲や先の二曲など、彼のプレイが60年代レパートリーと相性抜群であることは明確かと。そして近年のステージにおいてチャーリーのドラムが他のメンバーを煽ることで演奏の展開を左右させ、なおかつ白熱させていた「Midnight Rambler」ですが、ここでのスティーブのプレイはまだ他のメンバーと化学反応を起こすまでには至らず。それでも十分に期待を抱かせる展開が垣間見られたのも事実であり、こちらはステージを重ねるごとに良くなる気がしてなりません。そしてこの夜、「Vote Song」に選ばれたのは「Wild Horses」。今なお新たな一歩を踏み出した彼らの歴史的な一日を捉えた音源がバージョンアップ。単なる最新ツアーの初日ではなく、チャーリー亡き後のローリング・ストーンズ初めてのショーです。心して聞いてください!The Dome At America's Center, St. Louis, Missouri, USA 26th September 2021 TRULY PERFECT SOUND(REMASTERED)
Disc 1 (74:57) 01. Intro 02. Street Fighting Man 03. It's Only Rock 'n' Roll 04. "Here's To You Charlie" 05. Tumbling Dice 06. Under My Thumb 07. 19th Nervous Breakdown 08. Wild Horses 09. You Can't Always Get What You Want 10. Living In A Ghost Town 11. Start Me Up
12. Honky Tonk Women 13. Band Introductions 14. Happy 15. Slipping Away
Disc 2 (61:13) 01. Miss You 02. Midnight Rambler 03. Paint It Black 04. Sympathy For The Devil 05. Jumping Jack Flash 06. Gimme Shelter 07. Satisfaction
Mick Jagger - vocals, harmonica, rhythm guitar Keith Richards - guitars, vocals Ronnie Wood - guitars Chuck Leavell - keyboards, backing vocals Bernard Fowler - backing vocals, percussion Matt Clifford - keyboards, French horn Darryl Jones - bass, backing vocals
Tim Ries - saxophone, keyboards Karl Denson - saxophone Sasha Allen - backing vocals Steve Jordan - drums