今となっては懐かしさも込み上げる“CHINESE DEMOCRACY TOUR”。その2006年編初日を真空パックした極上ライヴアルバムです。本作に収められているのは「2006年5月12日ニューヨーク公演」。とにかく“CHINESE DEMOCRACY TOUR”とひと口に言っても、丸10年に及ぶ長大な期間。まずは、そのポジションを時系列の中で確認してみましょう。・2001年1月&12月:4公演・2002年8月-12月:23公演 ー4年後ー・2006年5月-12月:75公演 ←★ココ★・2007年2月&6月-7月:20公演 ー1年半後ー《2008年11月『CHINESE DEMOCRACY』発売》 ー1年後ー・2009年12月-2010年12月:76公演・2011年10月-12月:41公演 以上、全239公演。長い長い10年でしたが、大雑把に「2001年-2002年」「2006年-2007年」「2009-2011年」に大別できる。本作のニューヨーク公演は、その「2006年-2007年」でも初演にあたる。つまり、一度は動き出した“21世紀GUNS N' ROSES”がまた沈黙し、4年の期間を経て再始動した第一発目になるのです。今となっては歴史の1ページですが、当時“4年ぶり”のインパクトは絶大でした。何しろ、再沈黙の間にスラッシュ&ダフ・マッケイガンのVELVET REVOLVERがシーンを席巻しながらも、本家は『CHINESE DEMOCRACY』が発表される見込みも一向に見えない。そうこうしているうちにバケットヘッドが去り、“知る人ぞ知るスゴ腕”と言われたロン・サールが加入。まったくもって“次どうなるのか”が分からない中での再始動……。そんな初演を捉えた本作は、いち早く“生の音”で確かめたいファンの方々に大人気で迎えられたのです。もちろん、注目のショウというだけでは大人気とまではならない。当時でも別格のサウンドこそが大絶賛を博しました。「まるでサウンドボード」というタイプでこそないものの、その楽音の逞しさ、クリアっぷりはオーディエンス離れしている。高音は真っ直ぐに届き、中音域の“鳴り”は艶やかリッチ。オーディエンス録音のウィークポイントになりがちな低音も手応えたっぷりに録音されているのです。その楽音に加えて、リアルに吸い込まれた喝采も素晴らしい。1人の声が大きく入るような録音では(決して!)ないのですが、現場に広がる熱狂が端正なサウンドで描かれる。このムードが実に美味しい。先述した通り、“4年ぶり”の再始動に立ち会う喜びが溢れ出し、次々に披露される大代表曲を大いに歌い、新曲にどよめく。まさに“その場に立つ”感覚をたっぷりと味わう事ができるのです。そして、その観客を前にしたGUNS N' ROSESもまた素晴らしい。絶好調と言うよりは“4年ぶり”の緊張感が先立ちますが、だからこその丁寧な演奏ぶりが瑞々しい。そして、長い休息を終えて(やっと)ヤル気を起こしたアクセルの歌声も気持ちよーく伸びる。今となってはお馴染みのセットリストでもありますが、その1曲1曲を確かめるように歌い、噛みしめるように味わえるライヴアルバムなのです。スラッシュ&ダフが復帰した現在となっては、この熱演も歴史の1ページ。しかし、確かに存在した1ページなのです。本作は今聴いても良い音・良い曲・良い演奏のそろった銘品ではあります。しかし、それでは終わらない。VELVET REVOLVERの活躍を横目で見ながらも、それでもアクセルを待っていたあの頃。それが遂に叶った時代の空気感。その音楽とムードをハイクオリティ・サウンドで描ききった傑作ライヴアルバムなのです。
Live at Hammerstein Ballroom, New York, USA 12th May 2006 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Disc 1 1. Intro. 2. Welcome to the Jungle 3. It's So Easy 4. Mr. Brownstone 5. Live and Let Die 6. Ron Thal Guitar Solo 7. Knockin' On Heaven's Door 8. Better 9. Robin Finck Guitar Solo 10. Sweet Child O' Mine 11. Something (Dizzy Reed Piano Solo) 12. The Blues 13. Out Ta Get Me
14. Richard Fortus & Robin Finck Guitar Solo 15. Rocket Queen 16. My Michelle (with Sebastian Bach)
Disc 2 1. Madagascar 2. You Could Be Mine 3. November Rain 4. I.R.S. 5. Richard Fortus Guitar Solo 6. Nightrain 7. Patience 8. Chinese Democracy 9. Member Introduction 10. Robin Finck Solo 11. Paradise City
Axl Rose - Vocals Robin Finck - Guitar Ron Thal - Guitar Richard Fortus - Guitar Tommy Stinson - Bass Dizzy Reed - Keyboards Chris Pittman - Keyboards Brain - Drums