1972年、8月から9月にかけて、10カ国17公演というスケールで行われたヨーロッパ・ツアーより、3公演目にあたる8月16日のブリュッセル公演を高音質ステレオ・オーディエンス録音で全曲収録。10年以上前、「Killing Floor」レーベルからリリースされた「Summertime Mods」に音源を提供したヨーロッパのマスターテープ保持者から譲り受けた、正真正銘のマスター・テープ・ヴァージョンをダイレクト収録。1972年ツアーではクオリティと録音時間の長さの点からも、最良の記録と評価の高いこのブリュッセル公演。微妙に高域が荒かったりと、完全無欠の高音質というわけではないのですが、この時代の観客席録音としては、音のスケール・情報量ともに優秀で、ファン・コレクターにはマストの音源であることは間違いありません。今回は、由緒正しいマスターを使用したことで、音のクリアーさ・鮮度に確かな違いが確認でき、ファンはこのたび登場した「ブリュッセル1972」のアッパー版に狂喜するとともに、歴史的にも非常に重要な一作となることでしょう。初登場部分は、Won't Get Fooled Againの5:35から5.41における中間のインストジャムパート5秒と、Naked Eyeの1:43から1:47で、ロジャーの「Must be something wrong」と歌われる4秒で、それぞれ既発には未収であり、短いながらも、今回のマスター・ヴァージョンを証明できる重要パートであります。更にコンサート・エンドの歓声部分は何と既発盤より1分近く長く収録されています。この時期のセットは基本的には前年を踏襲したものですが、SubstituteとAmazing Journeyが落ちており、全体的にやや短めの内容になっています。1曲目のI Can't Explainの後に、通常のSubstituteの代わりにShakin' All Overを演奏。2曲目にShakin' All Overが演奏されているのは、2日目のハンブルグとこの日のみで、翌日のアムステルダム公演からは初日のフランクフルト同様にこの位置はSummertime Bluesになっています。しかし2曲目に披露されるShakin' All Overの強烈なグルーブを効かせた演奏はこの位置にハマっており、特にそのワイルドなプレイから、バンドの好調さが伝わってくる感じです。3曲目にロジャーが「My Wife!」とコールするものの、ピートが「Watch this foot! This foot here!」とふざけたMCを発し、キースがそれに合わせてワルノリしたドラムを奏でます。楽曲がスタートしてからは途中フレーズの回数が怪しくなったりしますが(1:10)、演奏は豪快そのもので、後半、ピートは強烈なロングソロを聴かせます。キースの雷鳴のようなドラミングが凄い迫力で、展開に次ぐ展開の中、WHOのライブバンドとしての魅力が炸裂する瞬間瞬間を実にリアルなサウンドで堪能することができます。ストレートな演奏のSummertime Bluesに続いては、シンセを同期させながらのBaba O'Riley。曲終了後、ピートが「俺たちがここで演奏するのは1966年以来だが、相変わらず、つまらない所だな!前に俺達が演奏したのはテントの中だった。誰かそれを見たやつはいるか?お前か?そうだろうな」とふざけたMCをしますが、その後のBehind Blue Eyesは感動的でダイナミックな演奏が楽しめます。迫力ある演奏が聴けるBargainは1972年ツアー以降はセットから外されてしまいます。Won't Get Fooled Againは既発では5:37でカットがあり、更に5:40のカットからいきなり中間パートのシンセになりますが(その間4秒)、本盤では5:33で同じようにカットがあり、更に5:41のカットからこちらも同じようにシンセになりますが、時間データで判る通り、こちらはその間8秒間の収録で、実際既発より5秒弱長く収録しています。Magic Busは14分ものロング演奏で、ピートの変幻自在のソロを含め、全体の中でも最大の聴き所になっています。ディスク2に入ってからの、この時期しか演奏されていないRelayのキースの紹介MCがまず面白く「次のアルバムに収録されてる曲で、ピートが書いたシンセをフィーチャーしたナンバーだ。テープレコーダーっていう、もっともチープなメンバーによるものだ。こいつはなにせ酔わないからな」と滅茶苦茶な事を言っています。Relayの、その実験的で強烈なカオスとヴァイブレーションに満ちた演奏はこれまた聴きごたえ満点。Pinball Wizardはギターイントロで一瞬中断、直ぐに弾き始めます。See Me, Feel Meでは感動的な名演奏を堪能できます。終演後、観客席から万雷の手拍子が自然に沸き起こります。ピートの軽快な紹介でMy Generationが迫力満点に演奏され、曲後半では、ダイナミックな盛り上がりを体感できます。続くSparksは1972年ツアーでは、前日のハンブルグと翌々日のコペンハーゲンの3公演でしか演奏が確認されていないこの年のレアナンバー。曲はメドレーでNaked Eyeへ。既発は1:43でノイズと共にカットがありますが、本盤は同じ箇所で欠落があるものの、欠損は短く、ロジャーの「Must be something wrong」と歌われる初登場パートを聴くことができます。ラストナンバーLong Live Rockも完全収録で最後まで音質・音像ともに揺るぎません。既発盤は演奏終了後、40秒程のアンコールを求める手拍子でフェイドアウトしますが、本盤は何とそれより1分近く長い1分35秒に渡って終演の様子を捉えています。延々と続く観客の手拍子、そして、コンサートの終演を知った客席の様子がクリアーに最後まで記録されています!WHOの演奏とは関係ない部分ですが、ドキュメントとして非常に重要でしょう。
Live at Forest National, Brussels, Belgium 16th August 1972 TRULY AMAZING SOUND(from Original Masters)
Disc 1 1. Intro. 2. I Can't Explain 3. Shakin' All Over 4. My Wife 5. Summertime Blues 6. Baba O'Riley 7. Behind Blue Eyes 8. Bargain 9. Won't Get Fooled Again 10. Magic Bus
Disc 2 1. MC 2. Relay 3. Pinball Wizard 4. See Me Feel Me 5. My Generation 6. Sparks 7. Naked Eye 8. Long Live Rock Roger Daltrey - Vocals, Harmonica Pete Townshend - Guitar, Vocals John Entwistle - Bass, Vocals Keith Moon - Drums, Vocals