ローリング・ストーンズ1975年ツアーの初日であったバトン・ルージュ公演はこの日に限って一日二公演が行われた強行軍であっただけでなく、初日にして既に激しい演奏を聞かせたことでマニアの間で伝説的な日とされてきました。特にファーストショーはツアー最初のステージということもありレアなレパートリーも大量投入。こうした要素が重なってストーンズのツアー初日史の中においても特異な名演とされてきたもの。そんな伝説のファーストショーを伝えてくれたオーディエンス録音は二種類が存在。コントラ・バンドの「RECORDED LIVE AT BATON ROUGE LOUISIANA JUNE 1 1975」とTAKRLの「FIRST NIGHT STAND」というリアタイ・リリース系に使われていた「recorder 1」、その後1980年代になって登場した「CAJUN QUEEN'S AFTERNOON DELIGHT」で「recorder 2」が発掘。前者はモノラルでなおかつビンテージ・オーディエンスの典型といった音質でしたが、後者はなかなかの良好オーディエンス。よってバトン・ルージュのファーストショーはLPアイテムで音源が発掘されていた公演だったのです。ところがどちらもトレーダー間に元テープが流通してくれなかったというのが困りもの。ビンテージ・オーディエンスな「recorder 1」ならまだしも、80年代に登場した「recorder 2」のテープソースが出回らないとは意外な事態。こちらを録音したのは同年のZEPバトン・ルージュ公演を録音したのと同一人物によるものであり、ZEPのそれは彼の録音としては珍しくテープソースがトレーダー間に流通した数少ない例でした。その点ストーンズの方は2000年初頭に「Dance Little Sister」を始めとしたわずか数曲だけのテープソースが小出しされたものの、その後は音沙汰なし。そんな状況に業を煮やしてマニアが丁寧なアナログ復刻を実現させた2007年の名盤が同名「CAJUN QUEEN'S AFTERNOON DELIGHT」でした。同アナログ最大の欠点であった曲間における音量の上下動を緻密にアジャスト、高めだったピッチも修正、そしてLPへ振り分ける際に収録時間の調整から変えられてしまっていた曲順まで正されていたという決定版でした。その後DACレーベルから同様のコンセプトで作られた「SOMEWHERE OVER THE RAINBOW」などもリリースされましたし、1990年代初頭にはIMPレーベルの「BATON ROUGE 75」という懐かしいタイトルで初めてバトン・ルージュ初回ステージを垣間見たマニアも少なくなかったかと。このような過去にリリースされたアイテムはどれも「CAJUN QUEEN'S~」LPからトレースされたものでして、結果としてオリジナルLPの価値が保たれるという状況にもつながってしまいます。それが昨今のアナログ復権の機運と相まって、本LPが最近のネットオークションでも二万近い価格にまで達してしまったほど。本タイトルのレーベルは表ジャケにストーンズの写真を使わないという独自なセンスが裏目に出て、リアタイではあまり評価されなかったのですが、こうした状況と時の流れの中で名盤へと昇格したのでした。こうした状況がこれからも変わらないのか…とマニアが半ばあきらめていた中、近年バトン・ルージュのテープソースが突如ネット上に登場。遂に幻のテープが?と世界中のマニアが色めきだったのですが、いざ蓋を開けてみれば例の曲間の音量の変動は変わらず、それどころかLPより余計な曲間カットが増えてしまうという残念な状態。せっかくの音源もギフトCD-R扱いとなってしまったのは記憶に新しいところですが、その状態から先のLP用に編集されたマスターのコピーではなかったか?と推測されます。ところがこの10月、新たなバトン・ルージュのテープソースがネット上に出土。今回は「ロージェネ」という触れ込みで登場しただけのことはあり「CAJUN QUEEN'S~」LPはもとより、例のギフトCD-Rに使われたバージョンの音質をも軽く凌駕する素晴らしいクオリティで当然MCの間で生じた音量やカットの問題もありません。それどころか過去にリリースされたLP復刻タイトルのクオリティまでも一蹴してしまうレベル。やはりロージェネの威力は流石としか言いようがなく、ナチュラルでウォーミー、おまけに広がりのある音質は過去のアイテムで伝えきれなかった真の音質を生々しいまでに感じさせてくれる。元々オンな音像というよりは、むしろ程よい距離感こそ魅力のオーディエンス録音だった訳ですが、その独特な感触がロージェネ発掘によってさらにマシマシ。さらに特筆すべきはLPで聞かれなかったり、あるいはカットされてしまっていた個所までばっちり聞けるというのもテープソース、しかもロージェネならではの威力。もっとも顕著なのはLPだとエンディング直前でフェイドアウトされていた「You Gotta Move」が今回は演奏が終わるところまで完全に収録されました。その直後にテープチェンジのカットが入っており、なるほどLPではココを隠蔽すべくフェイドアウトさせていた訳だ。他にも各所で初登場パートがある点に関しては別項をご覧いただくとして、LPにおいてビリー・プレストンの「Outa Space」はセカンドショーからの使いまわしだったことも判明しましたので、同曲は今回含まれておりません(今回の別格なロージェネ・マスターを尊重しました)。そしてツアー最初のステージからキレッキレで飛ばしまくるのが1975年ツアーらしいところ。いつものストーンズのツアー初日にありがちな「手探り感」がまるでないというのもこの時ぐらいでしょう。ミックを中心に既に飛ばしまくりなテンションの中、数回のでセットリストから落とされてしまうレア・レパートリーも大量投入という攻めの姿勢。その最たる例が「Dance Little Sister」だった訳ですが、演奏の完成度は十分に高い。またミック・テイラー期の忘れ形見とでも言うべき「Rocks Off」に至ってはこの回だけの披露という超短命だったわけですが、これもミックの75年モードの歌い方と相まって十分に魅力的。おそらくは「曲が多すぎる」ということで過去のレパートリーが真っ先に切り捨てられてしまったのでは?と推測されます。極めつけはライブの締めくくりとしてワイルドに演奏された「Midnight Rambler」。この時点ではフィナーレ用にリプライズするアレンジを盛り込んで演奏されていたというインパクトは大きい。このようにライブ全体がツアー初日らしかぬ名演というだけでなく独特の聞きやすさが大きな魅力なオーディエンス録音のテープソース、しかも「ロージェネ」という見事なコンディションで発掘されたのです。そのクオリティは本当に素晴らしいものですし、何と言っても2021年になって遂に「CAJUN QUEEN'S AFTERNOON DELIGHT」LPがお役目御免となる日が来るとは!75年北米ツアー初演。ロニー・ウッド加入後初のストーンズ公演(この日はロンの誕生日)(リマスター・メモ)アナログブート「CAJUN QUEEN'S AFTERNOON DELIGHT」の原音テープで間違い無し。テープソース最良版
アナログ盤と左右逆転してるが今回盤はそのまま。音質はアナログ盤とはかなり違う。今回版の方が良質 Disc1 1trk - 4trk迄のピッチがとてもランダムに狂っているのでなるべく修正しました。既発のOuta SpaceはLate Showのテイクなので今回盤にはあえて未収録
Dunkirk Hall, Louisiana State University Assembly Center, Baton Rouge, LA, USA 1st June 1975 Early Show (UPGRADE)
Disc 1 (59:24) 1. Fanfare For The Common Man ★イントロ4秒長い 2. Honky Tonk Women 3. All Down The Line 4. If You Can't Rock Me / Get Off Of My Cloud 5. Rocks Off 6. Ain't Too Proud To Beg 7. Star Star 8. Gimme Shelter 9. You Gotta Move ★演奏最後から50秒程長い。終演まで入っているのが偉い。 10. You Can't Always Get What You Want 11. Band Introductions 12. Happy 13. Tumbling Dice ★演奏最後から50秒程長い。
Disc 2 (62:12) 1. Luxury 2. Fingerprint File 3. Angie 4. That's Life ★終演から8秒長い 5. Brown Sugar 6. Dance Little Sister ★MC前の8秒間長い 7. It's Only Rock'n Roll ★MC前の8秒間長い 8. Jumping Jack Flash 9. Rip This Joint 10. Street Fighting Man 11. Midnight Rambler ★前曲演奏からハープが入るまでの40秒程長い。/ エンディングが45秒程長い。