ALCATRAZZでギター大革命を起こし、早くもソロへの転身を図った若干二十歳のイングヴェイ・マルムスティーン。その若さ溢れる熱気が噴き出すオフィシャルの秘宝盤がリリース決定です。そんな本作の正体とは、POLYDORレコードが制作した公式プロモーションLP『RADIO SPECIAL(MI 4137)』。その極上クオリティ盤からダイレクトにCD化したものです。このLPはソロ・デビュー作『RISING FORCE』のリリース時に制作されたインタビュー・アルバム。『RISING FORCE』のスタジオ・トラック(5曲)を流しつつ、合間に日本人ギタリストのT○K米持氏を聞き手として若きイングヴェイが語っていくのです。聴きどころはもちろん、二十歳で血気盛んだったイングヴェイのコメント。それでは、インタビュー内容をかいつまんでご紹介しましょう。---『RISING FORCE』の出来はどう? 一番気に入ってる曲は?YM:全部、最高だ! すべて自分の思い通りに出来たし、ある意味では予想以上だ。中でも特別なのは「Far Beyond The Sun」「Black Star」は特別かな。でも全曲好きだ。---どんな風に作曲するの? 何にインスピレーションされる?YM:本や映画からインスピレーションを受けるよ。でも大半はギターを弾いてる時に自然と浮かぶんだ。---ニューグループもRISING FORCEなんだよね? スウェーデン時代のバンドの再結成?YM:スウェーデンでも同じ名前でやっていたけど、ニューグループさ。メンバーの何人かとは地元でもやってたけど、時期がズレてたしね。ヤンス・ヨハンソンはとにかく物凄いキーボーディストさ。彼とは一緒にやれて本当に楽しい。彼の兄アンダースがドラマーなんだ。ヴォーカルのジェフ・スコット・ソートはMTVを通じて探し出した。すごく若くて歌が巧い。マルセル・ヤコブは昔RISING FORCEで2年くらい一緒にやったベーシストだ。---ニューグループRISING FORCEとどんな音楽をやっていきたい?YM:ツアーを始めたら、本当にヘヴィでメロディアスなものをやろうと思ってる。洗練されてるけどエネルギッシュなヘヴィロックと言うか……1stアルバムとは雰囲気が違うかも知れない。『RISING FORCE』は完全にインストとして考えていたからね。それほどコマーシャルじゃないし。でも、バンドのアルバム(その後の『MARCHING OUT』)用の曲はもう練ってあるし、そこに面白いギターソロを乗せた感じさ。乾杯!(と言ってビールをグビ)---特別な練習法ってある? 音楽理論の勉強とかした?YM:練習なんかしないよ! ただ楽しくて弾いてるだけさ。作曲もそうだよ。弾いて弾いて弾いてるうちに出来上がるんだ。トレーニングも受けた事ないし、学校に行ったこともない。でも、聴くものはクラシックばかりだ。アルバムのクラシック曲も独学。クラシックギターのような演奏もできるけど、俺のスタイルはヴァイオリンに近いんじゃないかな。本当のヴァイオリンは弾けないけどさ。譜面も読めるけど、基礎が必要になるのは作曲の時かな。ハーモニーとか構成とか、クラシカルな雰囲気を出すためには必要だから。---ソロは練るタイプ? それとも即興?YM:完全にインプロヴァイズ! リハーサルでも同じソロは弾かないよ。だからレコーディングも新鮮でね。(1stアルバム)も90%がファースト・テイクなんだ。アルバムを改めて聴き直した時に気に入ったソロをまたやりたいと思う時もあるけど、それもステージで一部やるくらい。全部同じように惹くことは絶対にない。そんなのクリエイティヴじゃないからね。--ギターを始めたきっかけは?YM:母が5才の時にギターをくれたんだ。7ー8歳まで弾かなかったけど、TVでジミヘンを観て「ボクも弾こう。ボクもギターをぶっ壊すんだ!」って思ったんだよ。ジミの他にはリッチー・ブラックモアが好きだったね。でも似ていないだろ? 良い悪いは別にして、似てないよな? 一番影響を受けたのはクラシックなんだ。最近好んで見に行くなら巧いヴァイオリニストがいるバンドだ。ジャン・リュック・ポンティとか。あと最近大人しいけどキース・エマーソンかな。最近はギタリストを気に入ることはないね。全文を書き起こすと膨大なのでかなり意訳に留めましたが、このような感じです。当時のメンバーを絶賛する内容にしても、初めてのソロ・アルバムに高揚する声色も、強烈なまでに「1984年」の薫りを発散している。そして、そのコメントと絡めながら流されると、『RISING FORCE』の名曲群がさらに力強く聞こえてくるのです。ALCATRAZZでの「ギター奏法の革命」も衝撃でしたが、『RISING FORCE』での「ネオクラシカル音楽の創出」はさらに強烈でした。フレーズではなく作曲レベルでロックとクラシックを融合させ、楽器を弾かない人間にも感動できるほどのインスト曲が詰まりに詰まった大名盤。そんな大革命の真っ直中にいたイングヴェイのパッションをリアルに感じられる1枚。
Taken from the original Japanese promotional record "Radio Special" (Polydor, MI 4137)(38:11)
1. Yngwie Malmsteen Interview 2. Black Star 3. Yngwie Malmsteen Interview 4. As Above, So Below 5. Yngwie Malmsteen Interview 6. Evil Eye 7. Yngwie Malmsteen Interview 8. Icarus' Dream Suite Op.4 9. Yngwie Malmsteen Interview 10. Far Beyond The Sun
Yngwie Malmsteen - guitar, bass Jens Johansson - keyboards Barriemore Barlow - drums Jeff Scott Soto - vocals