BLACK SABBATHを終結させ、フェアウェル・ツアーの相棒に盟友ザック・ワイルドを指名した2017年のオジー・オズボーン。その再会初日を極上体験できるライヴアルバムが新発掘です。そんな本作に吹き込まれているのは「2017年7月14日オシュコシュ公演」。“Rock U.S.A. Festival”に出演した際の極上オーディエンス録音です。近年のオジーと言えば『ORDINARY MAN』をリリースし、更なる新作(エリック・クラプトンやジェフ・ベック、トニー・アイオミも参加)も制作中。入ってくるニュースからは順風満帆のようにも見えますが、実はライヴ事情はかなりお寒い。フェアウェル・ツアー“NO MORE TOURS II”が中断したまま、延期に次ぐ延期なのです。その辺の事情を把握する意味でも、ザック復帰以降の歩みを振り返ってみましょう。2017年・サバス:1月17日ー2月4日:THE END(9公演)《5月1日:ザック・ワイルド復帰》・7月14日ー11月4日:北米#1(8公演)←★ココ★ 2018年 “NO MORE TOURS II”・4月27日ー7月8日:北米#2/南米/欧州#1(26公演)・8月30日ー10月4日:北米#3(17公演)《10月6日:手の手術のために入院》・12月31日:オズフェスト(1公演)2019年 2020年《2月21日『ORDINARY MAN』発売》2021年 2022年・1月26日ー3月14日:欧州#2(19公演)これが現在までに公表されているスケジュール。2017年の“THE END Tour”終了をもってサバスは封印され、ソロ活動を再開。翌2018年から“NO MORE TOURS II”を開始したわけですが、秋には手の小さな傷から起きた感染症のためにツアーは中断。その後はインフルエンザの合併症やら自宅での転倒(古傷が悪化)やら新型コロナ・パンデミックやら……で何度も何度も延期が発表され、遂には全米ツアーの中止に追い込まれました。現在のところ、最新の復帰予定はJUDAS PRIESTとのカップリング・ツアー「欧州#2」。もし、これが実現すれば実に3年ぶりというステージ復帰になるのです。この波瀾万丈な中で、本作の“Rock U.S.A. Festival”は「北米#1」の初日。ザックが復帰しての最初のステージなのです。そんなショウで記録された本作はごく最近になって公開された新音源なのですが、とにかくパワフルでダイレクト感たっぷり。ヘッドフォンで聴いてもディテールを曇らせる鳴りが感じられず、距離感もまるでなしに微細部まで超ビビッド。それもそのはず、“Rock U.S.A. Festival”は広大な広場に立てられた特設ステージで行われるフェスティバル。ヴァッケンやドニントンのような感じでして、最初から壁も天井もなく、反響ゼロなのも当然。もちろん、PAから遠ければ音もボケてしまうわけですが、本作にその心配はなし。恐らくは会場に立てられたPA塔に向かって真っ直ぐに録っているのでしょう。熱狂も遙か遠く、極太の演奏音がすべてを支配しているのです。ただし、完璧ではない。1曲目の「Bark at the Moon」か始まると冒頭はあまりのパワフルさに音が歪んでおり、バスドラの打音ピークもビビッているのです。テーパーの失敗か……と思いつつ、どうやらこれは現場PAが原因。テーパー側で再調整している様子もないのに、1分ほどでスッキリ・サウンドに化けるのです。実のところ、開演前から様子がおかしい。オープニングの「Carmina Burana」からして安定していませんし、オジーがかけ声を入れると急いで消したり、戻したり。久々の初日だけあって、リハーサルが上手く行っていない様子がリアルに分かるのです。もちろん、そんなグダグダは「Bark at the Moon」最初の1分間だけ。その後は極太サウンドでキャリアを総括するフルショウが炸裂します。ただし、“NO MORE TOURS II”とはまたひと味違ってもいる。ここではツアー本編と比較しながらセットを整理してみましょう。パラノイド(4曲)・Fairies Wear Boots/War Pigs/Iron Man/Paranoid ブリザード・オブ・オズ(4曲)・Mr. Crowley/I Don't Know/Suicide Solution/Crazy Train ノー・モア・ティアーズ(4曲)・Desire(★)/No More Tears/I Don't Want To Change The World/Mama, I'm Coming Home その他(3曲)・Believer(★)/Bark At The Moon/Shot In The Dark ※注:「★」印は“NO MORE TOURS II”本編で演奏していない曲。……と、このようになっています。3大名盤『PARANOID』『BLIZZARD OF OZZ』『NO MORE TEARS』にキャリアを象徴させるバランス感覚は“NO MORE TOURS II”に通じつつ、名曲「Road To Nowhere」や名曲圧縮メドレーで話題になったザックのソロタイムがないプロトタイプです。代わりにツアー本編では演奏していない「Believer」「Desire」がセレクトされているわけですが、両方とも1回限りの復活。特に「Desire」は19年ぶりというレア・ナンバーなのです。来年1月には再開されるであろう“NO MORE TOURS II”。『ORDINARY MAN』には不参加だったザックも、来る新作ではギターを弾いているそうですし、きっと叔父の側らでワイルドに弾き倒してくれることでしょう。かつてないブランクを経た73才のオジーが戻ってくるまで、あと少し。尽きぬ心配の中で待ちわびる現在にピッタリの1作。ザック・ワイルドが正式復帰した初日「2017年7月14日ROCK USA フェスティバル」の極上オーディエンス録音。ごく最近になって公開された新音源なのですが、とにかくパワフルでダイレクト感たっぷり。野外の特設ステージだけに壁も天井もなく、PAから吐き出される出音を反響ゼロでダイレクトに拾っている。冒頭「Bark at the Moon」最初の1分だけ現場の出音が乱れますが、それ以降はまさに極上。NO MORE TOURS II本編では聴けなかったレアな「Believer」「Desire」も美味しい初日ョウをフル体験できます。Ford Festival Park, Main Stage, Oshkosh, WI, USA 14th July 2017 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(50:03) 1. Carl Orff: Carmina Burana 2. Bark at the Moon 3. Mr. Crowley 4. Desire (first time live since 2003 5. I Don't Know 6. Fairies Wear Boots 7. Suicide Solution 8. No More Tears 9. Believer
Disc 2(54:00) 1. Band Introductions 2. War Pigs 3. Drum Solo 4. Iron Man 5. Shot in the Dark 6. I Don't Want to Change the World 7. Crazy Train 8. Mama, I'm Coming Home 9. Paranoid Ozzy Osbourne - Vocals Zakk Wylde - Guitar Rob "Blasko" Nicholson - Bass
Tommy Clufetos - Drums Adam Wakeman - Keyboards