今回登場するのは通称ロスト・クインテットと呼ばれるマイルスの“ジャズ時代”最強のクインテットによる貴重な1969年3月のライヴ音源。この時期既にスタジオ・セッションでは『イン・ア・サイレント・ウェイ』が録られており、夏にはジャズ史上最大の問題作(大傑作です)『ビッチェズ・ブリュウ』が生まれるという所謂“エレクトリック・マイルス”へと変わって行く過渡期です。このクインテット編成は1969年いっぱいは続いていくわけですが、セット・リストは夏から冬へと徐々に“エレクトリック・マイルス”のロック色を強めていきます。しかし本タイトル収録の3月の段階でのセット・リストはまだジャズ色がかなり残っており、中でも『オン・グリーン・ドルフィン・ストリート』はこのメンバーで演奏されたのはこの一回だけという激レアトラック。演奏は非常に激しいもので、この後変わっていくであろう片鱗が随所に聴き取れます。叩きまくるデジョネットにうごめきのたうつチックのエレピは最高です。楽曲が完全収録でなかったり音質的にもピカピカのサウンドボードとはいきませんが、現存するマスターの中では最良のものを用いリマスタリングしています。ジャズ・ファンには最果ての断崖絶壁まで来た“ジャズ”を、“エレクトリック・マイルス”ファンには創世記を体験できる貴重なアイテムです。
Recorded Live at Duffy's Backstage, Rochester, NY, March 11-17, 1969 Soundboard Recording // Original Remastered by VDD 2021.
DISC 1 (Concert 1) 01. cut in - ON GREEN DOLPHIN STREET 02. SO WHAT 03. NEFERTITI - fade out 04. fade in - FOOTPRINTS 05. NO BLUES - THE THEME
DISC 2 (Concert 2) 01. fade in - THIS 02. PARAPHERNALIA 03. NO BLUES - THE THEME Miles Davis - trumpet Wayne Shorter - soprano saxophone, tenor saxophone Chick Corea - electric piano Dave Holland - bass Jack DeJohnette - drums