トニー・マーティンを迎えたBLACK SABBATHの1987年ヨーロッパツアーから、ツアーも終盤に当たる12月6日のイタリア・トリノ公演の模様を高音質オーディエンス録音で余さず活写した、ファン注目の一本が登場です。 この「THE ETERNAL IDOL」ツアーは、優れたオーディエンス録音が幾つか知られています。それでも本作は以下の三つの事柄より、これまでの傑作音源に劣らないくらい、大いにオススメできる作品だと断言します。まず第一に、この日はツアー中でも屈指の安定した好ライヴが繰り広げられた事です。この「THE ETERNAL IDOL」リリースに伴うヨーロッパツアーは、わずか1ヶ月弱の13~14公演しか行われず、ほとんど新人の状態でバンドに入ったトニー・マーティンは、初期の数公演を手探りの状態でこなさねばなりませんでした。さらにリズムセクションは臨時雇用のテリー・チャイムズ(Dr)とジョー・バート(B)で、彼らのプレイは堅実ではあるものの、従来のSABBATHとは印象の異なるサウンドを放っていました。その彼らが本来の実力を充分に発揮でき、さらにぐっとSABBATHらしいプレイを表現できるようになったのは、ツアー開始から10公演近くの場数を踏んだこの辺りからで、特にマーティンのパフォーマンスはオープニングの「Neon Knights」からアンコールの「Paranoid」に至るまで、随所で後の「HEADLESS CROSS」ツアーを連想させる素晴らしいものになっています。確かに「Neon Knights」ではコーラス部分のメロディをフェイクするなど、つい数日前まで聴かせたものとは異なっているのですが、それも「音が出ない」というよりは意図的に伏せ、ニコルズとのデュオで「新しいニュアンスを作った」といった趣き。「Children Of The Sea」や「Die Young」さらに「Heaven And Hell」といった、後々までマーティンが得意とするロニー時代のナンバーはもちろん、「Black Sabbath」さらに「Children Of The Grave」では持ち前の瑞々しさを上手くSABBATHサウンドへ溶け込ませた、絶品のパフォーマンスを楽しめます。「Born To Lose」や「The Shining」といった新作からのレパートリーはもはや言わずもがなで、この時だけの絶品パフォーマンスを披露しています。手探り状態のマーティンが大器の片鱗を見せて、会心の特大ホームランをかっ飛ばしたショウが「SAKUNTALA」だとすれば、本作は早くもプロフェッショナルらしい技巧の冴えを感じさせた極上のライヴで、これを終始安定したクリアさや見通し、優れたバランスの録音で堪能できるのは、SABBATHファンだけでなく、多くのハードロック・ヘヴィメタルファンにとって大変嬉しい事です。そして第ニに、良質な音源が多いイタリア・ツアーの欠落を補える事です。このイタリアツアーは以前から、12月5日に行われたミラノ公演を高音質で記録したアナログブート「APOCALYPSE」や、「GLORY RIDE」のメインとして収録された12月7日のレッジョ・エミリア公演など、それぞれ第一級の音源が存在しています。ここに12月6日・トリノ公演を収めた本作が加わる事で、イタリアツアーの主要なライヴが3連続で楽しめる形になります。ただでさえ希少な'87年ツアーが3日分続けて揃うのは、従来のSABBATH関連のコレクターズ音源でも画期的な事で、これはマーティン時代を知る上でも大変重要な出来事だと言えるでしょう。また、普段はアンコールの「Paranoid」に「Heaven And Hell」のテーマリフがリプライズしてショウが終わりますが、この日は「The Shining」のサビがリプライズします。このアレンジは本公演を含め3公演しか確認されておらず、もう1つの「GLORY RIDE」収録のレッジョ・エミリア公演と比較して聴くのも面白いでしょう。そして最後に挙げる理由が、今までほとんど知られていなかった1988年のSABBATHライヴを、過去最高のクオリティで楽しめる事です!Disc2のラスト4トラックは、'88年5月29日にイギリス・オールドベリーで開催されたチャリティギグにBLACK SABBATHが特別出演した際の模様を収録したものです。この時期はバンドにコージー・パウエルが加わる直前の過渡期に当たり、バンドのラインナップはギターのアイオミとヴォーカルのマーティンに、ドラムは'87年と同じテリー・チャイムズが務めています。最大の特徴は普段ならキーボードを担当しているジェフ・ニコルズがベースをプレイしている事で、この日はキーボードレスの4ピース編成のショウになっています。(裏ジャケには当日の写真も掲載してます。)音質的にも充分なクリアさと安定したバランスで、ジェフのベースが比較的良く聴き取れる低音の強さは、スペシャルな演奏の、そのさらに聴くべき場所へ的確にスポットライトを当てているかのようです。「Neon Knights」から「Paranoid」、そして最後が「SEVENTH STAR」からの「Heart Like A Wheel」というセットも非常に特異なもので、このサプライズに観客も大いに盛り上がっています。オープニングから終演の司会者MCまで含めても約18分間と、時間はごく限られたものですが、この4トラックを聴くためだけに本作をゲットしても何ら損はしない、いやむしろSABBATHの歴史に関心を持つ人がこの特別なライヴを聴かなくてどうするのか、とすら言いたい、超破格のレアテイクです!本作は112分にわたる収録時間の全てがマスターダイレクト使用の特上クオリティであり、ナチュラルなサウンドと素晴らしい録音状態で、これら歴史的な演奏を満喫できます!'BLACK SABBATHの姿を捉えたミッシング・リンクとして、これ以上ない極上の音源と言えるでしょう。高い資料性と優れたパフォーマンス、そして高品位な録音と三拍子そろった本作は、SABBATHファン必携必聴です!Live at Palasport, Torino, Italy 6th December 1987 TRULY AMAZING SOUND
Disc 1(57:58) 1. Supertzar 2. Neon Knights 3. Children Of The Sea 4. War Pigs 5. Die Young 6. Drum Solo 7. Iron Man 8. Born To Lose 9. Black Sabbath 10. Glory Ride
Disc 2(53:55) 1. Heaven And Hell 2. Guitar Solo 3. Sabbath Bloody Sabbath/Heaven And Hell(reprise) 4. Children Of The Grave 5. The Shining 6. Paranoid/The Shining(reprise) Tony Iommi - Guitar Tony Martin - Vocal Jo Burt - Bass Terry Chimes - Drums Geoff Nicholls - Keyboards
Live at Top Spot Club, Oldbury, UK 29th May 1988 7. Introduction 8. Neon Knights 9. Paranoid 10. Heart Like A Wheel Tony Iommi - Guitar Tony Martin - Vocal Geoff Nicholls - Bass Terry Chimes - Drums