メンバー各人のソロ活動も活発化しつつ、ファミリーで音楽業界を席巻し始めた1983年のGENESIS。その本体ツアーを極上体験できるライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1983年12月11日グリーンズボロ公演」。『GENESIS』に伴う“THE MAMA Tour”の一幕で記録された絶品オーディエンス録音です。前述の通り、この時期はフィルのソロ活動が活性化しつつ、トニー・バンクスもソロ作をリリース。徐々に活動が複雑&過密になってきた時期でした。その辺の事情も含め、まずは当時のスケジュールからショウのポジションを確かめてみましょう。1983年・1月22日ー2月20日:フィルのソロツアー《4月/6月『THE WICKED LADY』『THE FUGITIVE』発売》《10月3日『GENESIS』発売》・11月6日ー12月17日:北米#1(35公演)←★ココ★ 1984年・1月6日ー2月20日:北米#2(31公演)・2月25日ー29日:英国(5公演)←※公式映像《5月『NO JACKET REQUIRED』製作開始》これが1983年/1984年のGENESIS。“THE MAMA Tour”は体裁としてはワールド・ツアーではあるものの、実際には英・米・カナダの3ヵ国限定でした。北米ツアーは年末年始を挟んだ二部構成になっていたわけですが、本作のグリーンズボロ公演は前者。「北米#1」の30公演目にあたるコンサートでした。このショウは以前から録音が知られてきましたが、本作はその中でもベストとして知られるもの。「Marantzレコーダー+shureマイク」セッティングで録音された大元マスターからデジタル化された銘品で、ショウを完全収録しつつ、サウンド面でも群を抜く最高峰版なのです。実際、そのサウンドは端正・クリア・鮮やかの三拍子揃った美録音。テーパーによるとステージからわずか6メートルという直近ポジションから録音したらしく、そのダイレクト感は絶大。ヘッドフォンで耳を済ませば空間感覚もあるのも分かるものの、それも音色止まり。微細部まで透き通った空気感にはホール鳴りもほとんど感じられず、人気絶頂の大歓声も背中から背負う立体感で演奏との間に入ってこないのです。しかも、この録音家はダイレクト感を活かすもう一工夫も凝らしている。本作は極太の演奏音がすべてを支配するタイプなのですが、録音段階では鉄壁とは行かず、周囲の喧騒に煩わされるパートもあったそう。開園間もない「Dodo」やハイライトの「Turn It On Again」「Misunderstanding」といった曲の一部では雑音も多かったそうですが、そうしたシーンはソニーのウォークマンで同時録音していた別録音で編集。2時間37分に及ぶフルショウを万全の体制で記録したライヴアルバムになっているのです。そのフルショウは、大ヒット真っ最中だからこその堂々たるもの。このツアーの象徴と言えば、その名もズバリの公式映像『THE MAMA TOUR』ですが、当時の映像作にありがちな不完全収録でもありました。ここで比較しながらセットを整理してみましょう。アバカブ・Dodo/Lurker(★)/Abacab/Man On The Corner(★)/Who Dunnit?(★)/Keep It Dark ジェネシス・That's All/Mama/Illegal Alien/Home By The Sea/Second Home By The Sea/It's Gonna Get Better その他・眩惑のブロードウェイ:The Carpet Crawlers(★)・トリック・オブ・ザ・テイル:Los Endos(★)・そして3人が残った:Follow You, Follow Me(★)・デューク:Misunderstanding(★)・その他:Eleventh Earl Of Mar Medley(★)/In The Cage Medley/Turn It On Again Medley ※注;「★」印は公式映像『THE MAMA TOUR』では聴けない曲。……と、このようになっています。公式作『THE MAMA TOUR』は新曲のフィーチュアを狙っていたわけですが、本作はフルショウをあるがままに収録している。とは言え、ショウ自体も明らかに最新ヒット重視でして、近2作『ABACAB』『GENESIS』を徹底的にフォロー。このツアーだけの限定曲「Illegal Alien」「Keep It Dark」「It's Gonna Get Better」の他、その後は演奏されなくなる「Dodo/Lurker」「Man On The Corner」「Who Dunnit?」、さらには3つのメドレーもたっぷりと楽しめるのです。そんなフルショウの後、ライヴを告知するラジオCM「WKZL-FM Commercial」で幕を閉じる本作。1983年ならではのムード満点の3枚組です。長い歴史をかけてポップ化を推し進めていったGENESISですが、開き直ったように加速したのはヒュー・パジャム三部作『ABACAB』『GENESIS』『INVISIBLE TOUCH』時代だったでしょう。本作は、そんな絶頂に向けて一気に駆け上がっていった“THE MAMA Tour”を絶品体験できる娯楽大作。「1983年12月11日グリーンズボロ公演」の絶品オーディエンス録音。大元マスターからデジタル化された銘品で、ショウを完全収録しつつ、サウンド面でも群を抜く最高峰版。端正・クリア・鮮やかの三拍子揃った美音で、ステージからわずか6メートルという直近ポジションから録音したダイレクト感も絶大。微細部まで透き通った空気感にはホール鳴りもほとんど感じられず、人気絶頂の大歓声も背中から背負う立体感で演奏との間に入ってきません。公式映像『THE MAMA TOUR』は聴けない名曲群もたっぷり収録され、『ABACAB』『GENESIS』の大ヒット曲満載なフルショウを絶品体験できる超大作です。Coliseum, Greensboro, NC, USA 11th December 1983 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(44:45) 1. Dodo / Lurker 2. Abacab 3. That's All 4. Mama 5. MC 6. Eleventh Earl Of Mar / Squonk / Firth Of Fifth
Disc 2(41:27) 1. MC 2. Illegal Alien 3. Man On The Corner 4. Who Dunnit? 5. Phil Talking 6. Home By The Sea 7. Second Home By The Sea 8. Carpet Crawlers
Disc 3(70:38) 1. MC 2. Keep It Dark 3. It's Gonna Get Better 4. Follow You, Follow Me. 5. Happy Birthday Chester 6. In The Cage Medley 7. Los Endos 8. Misunderstanding 9. Turn It On Again 10. WKZL-FM Commercial
Phil Collins - Vocals, Drums & Percussion Mike Rutherford - Bass & Guitar Tony Banks - Keyboards Chester Thompson - Drums & Percussion Daryl Steurmer - Guitar