とにかく音源に恵まれないオアシス1995年の来日公演。何しろ音源に恵まれない95年来日だけのことはあり、こちらに収録された音源もテーパーではなくファンが当時のカセットウォークマンから収録したような質感を偲ばせるオーディエンス録音。音像自体はかなり近いのですが、それでいてリアムの歌声は遠め。なおかつ音が割れ気味という荒くれクオリティ。これはライブハウスにおけるステージかなり前の方で録音されたのではと推測されます。中でも演奏にボーカルの音が押され気味という独特なバランスがそれを物語っている。またトレーダー間で広まっているバージョンはピッチが高めで、それがまたリスニング上のハードルを上げてしまっていた。実際に本音源は今まで「SPLENDER 1」といったリリースに留まっていたのも致し方ないレベルだったのです。その「SPLENDER 1」などはこの荒くれクオリティを少しでも緩和しようとイコライズを加えていたのですが、今回初回納品分に付属するのはそのような手が加えられておらず、ピッチだけをアジャストしたバージョン。元がカセットによる録音ですので、このイコライズのないバージョンのナチュラル感というのは悪くない。ましてや元がギンギンに歪んでいるのでなおさらかと。間違ってもヘッドフォンで聞いてはいけない音源であることも確かなのですが、一方で会場の盛り上がりが素晴らしく、95年の来日公演ではベストかと思えるほどの盛り上がり。それに加えて一聴して解るほどハコっぽいアットホームな盛り上がりでもある。これもまた会場の前方で録音されたことを偲ばせる場面でしょう。演奏の方もノエルのアコセットになると一気に聞きやすくなり、しかも「Cast No Shadow」では「OSAKA 1995 2ND NIGHT DAT MASTER」のようなディレイを使った演出はなく、以降のライブバージョンと同じようにノエルがシンプルに弾き語るという大きな違いもある。極めつけは永遠の名曲「Don't Look Back In Anger」がリリース前らしくこじんまりと演奏されているだけでなく、最後の歌詞がアドリブで変えられていた(恐らくノエルが忘れてしまったのでしょう)というのもリリース前ならではのレアな光景。そして「Live Forever」からステージに戻ったリアムは声の調子がイマイチで、そこから踏ん張ってライブの最後まで歌い終えるのが微笑ましい。文字通りDATを用いて録音された「OSAKA 1995 2ND NIGHT DAT MASTER」と比べるとマニア向けな録音状態であることは否めませんが、演奏内容や会場の雰囲気がそれとはまったく異なった貴重なドキュメントであることも確か。そして過去にリリースされていたCDも入手困難な2021年。95年来日公演の貴重音源をお試しください。でも、ヘッドフォンで聞いちゃダメよ!
Liquid Room, Shinjuku, Tokyo, Japan 23rd August 1995 TRULY AMAZING SOUND
Disc 1 (45:44) 1. The Swamp Song 2. Acquiesce 3. Supersonic 4. Hello 5. Some Might Say 6. Shakermaker 7. Roll With It 8. Slide Away 9. Cigarettes & Alcohol 10. Rock 'N' Roll Star
Disc 2 (35:01) 1. Fade Away (acoustic) 2. Cast No Shadow (acoustic) 3. Whatever (acoustic) 4. Talk Tonight (acoustic) 5. Don't Look Back In Anger 6. Live Forever 7. I Am The Walrus Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - lead guitar, vocals
Paul Arthurs - rhythm guitar Paul McGuigan - bass Alan White - drums