フォークロック三部作を締めくくる『STORMWATCH』を送り出し、ターニングポイントとなるワールド・ツアーに乗り出した1979年のJETHRO TULL。その現場を伝える絶対名手ミラードの銘品が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1979年11月16日サンタモニカ公演」。その極上オーディエンス録音です。“STORMWATCH Tour”と言えば、『STORMWATCH』40周年盤で公式化されたデン・ハーグ公演もありますので、それも含めて当時のスケジュールからショウのポジションを探ってみましょう。1979年・4月1日ー5月1日:北米#1(25公演)《9月14日『STORMWATCH』発売》・10月5日ー11月18日:北米#2(40公演)←★ココ★ 1980年・3月13日ー4月4日:欧州(20公演)←※公式デン・ハーグ公演・4月8日ー5月4日:英国#1(8公演)《5月16日ー6月6日『A』制作→8月29日発売》・10月4日ー11月12日:北米#3(35公演)・11月20日+21日:英国#2(2公演)これが1979年/1980年のJETHRO TULL。「北米31」は“BURSTING OUT Tour”で、「北米#3」以降が“'A' Tour”。その間が『STORMWATCH』時代です。公式化されたデン・ハーグ公演は1980年に入ってからですが、本作のサンタモニカ公演はアルバム発売直後の「北米#2」。その38公演目となるコンサートでした。この日は通常のショウとはちょっと違い、ユニセフ主催のチャリティ・コンサートでもありました。そんなステージを記録した本作は、これまで通りの超・極上。現場となった“シヴィック・オーディトリアム”は3000人クラスで普段のミラード作品より狭いのですが、しっかりとスウィート・スポット(ピット直近となるセクションCの2列目)を確保。いつもミラードに同行していたジムRをして「理想的な音」とまで言わしめた音響をたっぷりと味わえるのです。実際、その言葉に偽りなし。実のところ、この日はチャリティという事もあってラジオ放送も行われ、そのFMサウンドボードも定番。さらにミラードとは別のオーディエンス録音も残されています。しかし、本作はそのどちらよりも素晴らしい。今回は大元マスターではなく「1stジェネ」なので究極ではないものの、これ以上が想像できないほど艶やかでオンでダイレクトな名録音なのです。そんなリッチ・サウンドで描かれるのは、『BURSTING OUT』はおろか公式化されたデン・ハーグ公演とも異なるフルショウ。ここでは公式サウンドボードと比較しながら整理しておきましょう。アクアラング・Wond'ring Aloud(★)/Aqualung/Cross-Eyed Mary/Locomotive Breath 逞しい馬・Heavy Horses/One Brown Mouse(★)/No Lullaby(★)ストームウォッチ・Dark Ages/Home/Orion/Dun Ringill/Elegy/Something's on the Move その他・ジェラルドの汚れなき世界:Thick As a Brick・天井桟敷の吟遊詩人:Minstrel in the Gallery・ロックンロールにゃ老だけど:Too Old to Rock 'n' Roll: Too Young to Die!・神秘の森:Songs From The Wood・その他:King Henry's Madrigal/Jams O'Donnell's Jig/The Dambusters March
※注:「★」印は公式化されたデン・ハーグ公演で聴けない曲。……と、このようになっています。『BURSTING OUT』では聴けない『STORMWATCH』の新曲群が貴重なわけですが、それも冒頭に集中。「Dark Ages」で開園し、「Wond'ring Aloud」を挟みつつ一気に6曲も畳みかける前半部の聴き応えは満点です。その「Wond'ring Aloud」だけでなく、「One Brown Mouse」「No Lullaby」といったナンバーも美味しい。そのすべてをミラードのミラクル・サウンドで楽しめるのです。2年以上も名作・超傑作を送り出し続けてきたミラード・コレクション。これま何度も「そろそろ息切れか?」と思わせつつ、その都度、目も醒めるような大傑作で驚かされてきました。本作も、そんな傑作の1本。2021年の締めくくりに相応しい美のライヴアルバム。「1979年11月16日サンタモニカ公演」の極上オーディエンス録音。絶対名手マイク・ミラードの1stジェネ・マスターから起こされた銘品です。この日はチャリティという事もあってラジオ放送されたのですが、本作はその定番FMサウンドボードよりも素晴らしい。40周年盤『STORMWATCH』で公式化されたデン・ハーグ公演がツアーの象徴として君臨しておりますが、そこでは聴けない「Wond'ring Aloud」「One Brown Mouse」「No Lullaby」や貴重な『STORMWATCH』ナンバーもたっぷりのフルショウを極上体験できます。Civic Auditorium, Santa Monica, CA, USA 16th November 1979 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1 (56:50) 1. Intro 2. Dark Ages 3. Home 4. Orion 5. Wond'ring Aloud 6. Dun Ringill 7. Elegy 8. Something's On The Move 9. Aqualung 10. King Henry's Madrigal / Drum Solo 11. Heavy Horses
Disc 2 (51:25) 1. One Brown Mouse 2. No Lullaby + Flute Solo 3. Songs From The Wood 4. Jams O'Donnell's Jigs 5. Thick As A Brick 6. Too Old To Rock 'N' Roll 7. Cross-Eyed Mary 8. Guitar Solo 9. Minstrel In The Gallery 10. Locomotive Breath 11. The Dambusters March
12. Minstrel In The Gallery (Reprise) Ian Anderson - vocals, flute, guitar, mandolin Martin Barre - lead guitar, mandolin, lute Dave Pegg - bass, mandolin, backing vocals Barriemore Barlow - drums, percussion John Evan - keyboards, piano, backing vocals David Palmer - keyboards, piano