イングヴェイ・マルムスティーンのギター革命を全世界に知らしめつつ、瞬く間に解体してしまったオリジナルALCATRAZZ。その最終盤の現場を体験できる新発掘マスターが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1984年6月29日ムージック公演」。その極上オーディエンス録音です。1984年と言えば、イングヴェイからスティーヴ・ヴァイへの交代や二度にわたる来日も実現した時期。その忙しない中で本作はどんなポジションになるのか。まずは、当時のスケジュールから振り返ってみましょう。1983年・9月1日+12日:ロサンゼルス(2公演)《10月15日『NO PAROLE FROM ROCK 'N' ROLL』発売》・10月31日:ロサンゼルス公演 ←※DEFINITIVE RESEDA・11月18日:サンフランシスコ公演・12月21日:ハンティントン・ビーチ公演・12月26日:ミルウォーキー公演 1984年・1月24日ー29日:初来日(5公演)←※公式映像・2月19日ー4月21日:北米#1(11公演)・5月23日ー7月8日(?):北米#2(19公演)←★本作★《イングヴェイ脱退→ヴァイ加入》・7月13日:カリフォルニア公演・10月3日ー11日:日本(5公演)これが1983年/1984年のALCATRAZZ。毎度の言い訳で恐縮ですが、ALCATRAZZやイングヴェイはマニアのリサーチが遅々として進まず、公演データもあやふや。上記も矛盾のある複数の資料を組み合わせていますので、公演数などの細部は信用できない。とは言え、大まかな流れはご理解頂けると思います。正直、イングヴェイの最終公演もハッキリしないのですが、恐らくは「1984年7月上旬」。本作のムージック公演は「6月末」ですから、まさに脱退直前だったわけです。そんなショウで記録された本作は、ド肝を抜かれる極上オーディエンス。ごく最近に新発掘されたアナログ・マスターからダイレクトにデジタル化されているのですが、その発掘を担ったのは名門「Krw_co」。まさにお墨付きの銘品なのです。何より、サウンド自体がその血筋を物語る。ホール鳴りも吸い込んでいるためにサウンドボードと間違えはしませんが、その芯は極めてオンでディテールも超繊細。しかも、ダビング痕もヨレもまったく感じられない鮮度は、確かに大元マスター以外の何物でもない。瑞々しく一点の曇りもない鳴りは、芯丸出しのサウンドボードより遙かに美しく、気品さえも宿っている。「下手なサウンドボードより遙かに良い」「オーディエンス録音ならではの美」といった定型句がありますが、ここまでピタッとハマるサウンドはそうそうありません。恐らくはフル収録だと思われるのですが、ショウ自体がテッド・ニュージェントの前座だったために短いのです。ここで約46分の持ち時間に濃縮されたセットも整理しておきましょう。NO PAROLE FROM ROCK 'N' ROLL
・Too Young To Die, Too Drunk To Live/Jet To Jet/Island In The Sun/Kree Nakoorie その他・レインボー:Since You Been Gone/All Night Long・ソロ:Night Games……と、このようになっています。さすがにレア曲の類はないのですが、実は演奏そのものが超貴重。ショート・セットなせいか、凄まじいほどに絶好調なのです。若きイングヴェイならいつでも、何時間演奏し続けても凄かったのでしょうが、本作はグラハムも凄い。当時は飲酒癖もあって当たり外れの大きかったのですが、この日は大当たり。良く伸びるヴォーカリゼーションはスタジオ版にも匹敵し、ステージならではのテンションはそれ以上。いつもはヒヤヒヤな難曲「Jet To Jet」もビッシビシと決めていく歌声にはウットリしてしまう。このコンディションで『METALLIC LIVE』を撮っていてくれたら……などと、思わず37年前の愚痴まで脳裏をよぎってしまう名唱・大名演なのです。それにしても素晴らしいサウンドとショウ。最悪な人間関係はすでに公然の秘密となり、崩壊間際だった1984年の6月。そんな時期にもかかわらず、ここまで凄いショウを繰り広げていた……その事実にさえ衝撃を覚えるライヴアルバムです。そんじょそこらのサウンドボードより強力なサウンドで素晴らしいライヴが詰まった新名盤。「1984年6月29日ムージック公演」の極上オーディエンス録音。名門「Krw_co」による新発掘マスターは芯が極めてオンでディテールも超繊細。しかも、ダビング痕もヨレもまったく感じられない鮮度は、瑞々しく一点の曇りもない。「下手なサウンドボードより遙かに良い」「オーディエンス録音ならではの美」といった定型句がありますが、ここまでピタッとハマるサウンドはそうそうありません。テッド・ニュージェントの前座というショート・セットのためにプレス化は逃しましたが、短いからこそグラハムも大絶唱の大熱演。サウンドも内容も特級な新名盤の誕生です。Rocky Glen Park, Moosic, PA, USA 29th June 1984 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND (46:16)
1. Intro 2. Too Young To Die 3. Jet To Jet 4. Island In The Sun 5. Night Games 6. Kree Nakoorie 7. Guitar Solo 8. Since You Been Gone 9. All Night Long Graham Bonnet - Vocal Yngwie Malmsteen - Guitar Gary Shea - Bass Jan Uvena - Drums Jimmy Waldo - Keyboards