名作『FROM NOW ON...』で復活を果たした1994年のグレン・ヒューズ。ソロ・シンガーとしての魅力を叩きつけた来日現場を体験できるオリジナル録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1994年5月23日:名古屋公演」。その一部始終を伝えるオーディエンス録音です。1994年のソロ初来日と言えば公式ライヴアルバム『BURNING JAPAN LIVE』が真っ先に浮かびますが、本作はまったくの別公演。その辺の状況を把握するためにも、1994年の来日スケジュールを振り返ってショウのポジションを確かめてみましょう。《2月23日ー28日:プロモ来日》・5月21日:大阪モーダホール・5月23日:名古屋ボルムライン ←★本作★・5月24日:クラブチッタ川崎 ←※公式BURNING JAPAN LIVE・5月25日:クラブチッタ川崎 ←※公式BURNING JAPAN LIVE これが1994年のグレン来日。2月にはプロモーション来日も行い、その3ヶ月後には本格的にジャパン・ツアーも実施。『BURNING JAPAN LIVE』は最終の川崎2公演から制作されましたが、本作の名古屋公演はその直前にあたる3日連続公演の初日コンサートでした。そんなショウで記録された本作は、強力な芯がグイグイ迫る強力オーディエンス。サウンドボードと間違えるような密着感とも違うのですが、空間を突き抜けて手元に飛び込む芯の突進力が凄い。演奏音も、ヴォーカルも、鳴りが広がってボケる間もなく叩きつけるようなダイレクト感。そして、それだけ直球だからこそディテールも細部まで鮮やかなのです。正直なところ、あまりにパワフルで中域が歪みそうになるシーンも結構あるのですが、それさえもクラブ規模も狭さと密室感を描き出しているのです。そんな秘匿サウンドで描かれるのは「日本が望むグレン・ヒューズ像」を見事に体現したフルショウ。ここでは公式作『BURNING JAPAN LIVE』と比較しながらセットを整理しておきましょう。70年代:ディープ・パープル・紫の炎:Burn・嵐の使者:Lady Double Dealer/Stormbringer・カム・テイスト・ザ・バンド:This Time Around/Owed to "G"/Gettin' Tighter/You Keep On Moving 80年代:プロジェクト・ヒューズ/スロール:Muscle and Blood/Coast to Coast/I Got Your Number・フェノメナ:Kiss of Fire(★)90年代:ソロ・フロム・ナウ・オン:The Liar/Walkin' on the Water(★)/From Now On.../Lay My Body Down/Into the Void/Pickin' Up the Pieces(★)※注:「★」印は公式ライヴアルバム『BURNING JAPAN LIVE』では聴けない曲。……と、このようになっています。CD1枚に収めるためかショウの不完全収録となっていましたが、本作は終始一貫のオーディエンス録音。『FROM NOW ON...』でもグレン復活の狼煙となった「Pickin' Up the Pieces」やFENOMENAの「Kiss of Fire」など、貴重な名曲が楽しめます。そして、そんなセットを綴るパフォーマンスが素晴らしい。グレンのソロと言えば、いつもロックとファンクのバランスが話題になってきたわけですが、日本で人気が高いのはロック・サイド。それもDEEP PURPLE起源の様式美ハードロックが求められてきました。そして、『FROM NOW ON...』こそがその結晶。単にロックなのではなく、EUROPEの面々も従えた美しいメロディとロマンティシズムが溢れ出す。後のHTPや『SONGS IN THE KEY OF ROCK』でも70年代的なハードロックを聴かせてくれましたが、こと美旋律という意味では1994年のソロ初来日が頂点でした。DEEP PURPLEやHTPとは違ってグレン独りが歌い、近年の“CLASSIC DEEP PURPLE LIVE”ツアーとは違って新曲もたっぷり。本作は、そんな「グレン流の様式美ハードロック」をたっぷり味わえたソロ初来日を現場体験できるライヴアルバムです。彼のキャリアで最も美しかったフルショウ。公式『BURNING JAPAN LIVE』の前日「1994年5月23日:名古屋公演」の強力オーディエンス録音。密着感とは違うのですが、空間を突き抜けて手元に飛び込む芯の突進力が凄い。演奏音も、ヴォーカルも、鳴りが広がってボケる間もなく叩きつけるようなダイレクト感。そして、それだけ直球だからこそディテールも細部まで鮮やかです。『BURNING JAPAN LIVE』では聴けない「Kiss of Fire」「Walkin' on the Water」「Pickin' Up the Pieces」も収録し、「様式美なグレン」をフル体験できます。
THE BOTTOM LINE, Nagoya, Japan 23rd May 1994 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (52:26) 1. Intro 2. Burn 3. The Liar 4. Muscle and Blood 5. Walkin' on the Water 6. From Now On... 7. Lay My Body Down 8. Into the Void 9. Coast to Coast
Disc 2 (49:43) 1. This Time Around 2. Owed to "G" 3. Band introductions 4. Gettin' Tighter 5. You Keep On Moving 6. Lady Double Dealer 7. Kiss of Fire 8. I Got Your Number 9. Pickin' Up the Pieces 10. Stormbringer
Glenn Hughes - Vocals Thomas Larsson - Guitar, Backing Vocals Eric Bojfeldt - Guitar, Backing Vocals John Leven - Bass Ian Haugland - Drums Mic Michaeli - Keyboards, Backing Vocals