大成功の年となったオアシス1995年のキャリアの中にあってアイテムの数が限られてしまいがちな時期の一つがこの年最初のアメリカ・ツアー。間に二週間のオフを挟んだ形で行われたスケジュールだったのですが、序盤のバンクーバーのラジオ放送以外ではアイテムが少なく、リアタイでリリースされたいくつかのB級オーディエンスが辛うじて存在するといった状況でしかありませんでした。実際には非常に良好なオーディエンス録音がいくつも存在しており、その好例を示すべく画期的なリリースだったのが2月のギグを極上音質のオーディエンス録音にて捉えた名盤「DALLAS 1995 DAT MASTER」でしょう。これはツアー全体からすると序盤に位置する時期でして、あの定番バンクーバーからほぼ二週間後に行われていたギグ。そのラジオ音源からは伝わらなかったような、アメリカ(さらには南部の)観客に向かっての挑戦的ですらあったギャラガー兄弟の様子まで感じられたのが極上オーディエンスの面目躍如といったところ。そのリリースによってアイテム空白地帯であった95年2月と言う時期が埋められた訳ですが、今度は3月。この月はと言うと「LIVE FOREVER」や「BRITISH LADS IN BOSTON」といったベテラン・マニアには懐かしさの極みのようなリアタイ・タイトルがぽつぽつと生み出されただけ、なおかつ音質がB級のオーディエンス録音という状況でした。当然それらのアイテム、今となっては入手困難。それに血眼になって探すほどのクオリティを兼ね備えたタイトルでもない。むしろ時間の経過によって「DALLAS 1995 DAT MASTER」と同じような極上オーディエンスが出回っており、それらこそ現在の耳で聞くに足るクオリティを持ち合わせていた。そんな典型的な音源が3月24日のミネアポリスはファースト・アベニューで行われたギグ。同会場と言えばプリンスとゆかりの深い名ライブハウスですが、オアシスも95年に出演を果たしています。そんな由緒ある会場でのギグというだけでも注目に値するのですが、その模様を捉えたオーディエンス録音のクオリティが抜群。「DALLAS 1995~」と比べてもまったく引けを取らないオンな音像の迫力が素晴らしい。中でもリアムのボーカルの近さが絶品で先に挙げたリアタイ・アイテム群とはまるで比較にならないほどのレベル。マニアはもちろん、初心者でも安心して楽しめるクオリティであることを保証いたします。これほどまでの極上録音、なおかつリアムの声が近いということから際立つのが、この時期のギグにしては珍しいほど彼の口数が少ないということ。かといってリアムの調子が悪いということは(まったく!)なく、むしろ絶好調で全曲をきっちり、やすやすと歌い上げてくれている。皮肉なことに、その声の伸び具合から推測すると彼の飲酒量がいつもより少なかったが故の口数の少なさだったのでは。飲酒量が少ないということは歌唱面ではプラスに働くわけで、ここでの彼の絶好調な歌いっぷりからも伺えます。そもそもライブの雰囲気が2月の「DALLAS 1995 DAT MASTER」とはまるで異なっており、そこで見られたような挑戦的な態度がすっかり鳴りを潜めている。むしろそれまでの経験で鍛えられたのか、実に堂々とした調子でステージに挑んでいる風に聞こえるほど。それがツアー終盤ともなればなおさらアメリカに物おじしなくなったのでしょう。この頃になると本ツアーで披露された新曲「Headshrinker」が一旦セットリストから落とされてしまった点は惜しまれますが、1994年とは明らかに雰囲気の違う、堂々たる演奏ぶりが随所で輝きを放っている。このツアーで披露されたもう一つの新曲「(It's Good) To Be Free」もツアー序盤のバンクーバーなどと比べると、ノエルのギターを始めとしてよりどっしりとした力強さを増している。そうした頼もしい演奏をバックに、この時期ならではの伸びやかな歌声が冴えわたるリアム。王者の風格の芽生えとも呼べるような演奏ぶりは「DALLAS 1995~」と聞き比べるとなおさら楽しめるはず。演奏も音質も抜群な95年3月アイテムの新たなスタンダード! First Avenue, Minneapolis, MN, USA 24th March 1995 TRULY PERFECT SOUND (63:21)
1. Rock 'N' Roll Star 2. Columbia 3. Fade Away 4. Digsy's Dinner 5. Shakermaker 6. Live Forever 7. Up In The Sky 8. Slide Away 9. To Be Free 10. Cigarettes & Alcohol 11. Married With Children 12. Supersonic 13. I Am The Walrus
Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - lead guitar, vocals Paul Arthurs - rhythm guitar Paul McGuigan - bass Tony McCarroll - drums