ミネアポリスから遡ること二週間前、ニューヨークのライブハウス、アカデミーでのギグを収録しています。こちらもまたDATを用いたオーディエンス録音なのですが、距離感のある音像でトニーのドラムがドコドコ鳴り渡るドンシャリ音質。それでもDATで録音されたことが功を奏し音質自体は十分にクリアー。演奏の方もミネアポリスに負けず劣らず絶好調であり、ギャラガー兄弟は二人ともニューヨークでのギグを楽しんでいる様子がクリアーな音質ゆえリアルに伝わってきます。もちろんリアムの声も絶好調。そして何よりもこの時期の象徴である「Headshrinker」がセットリストに残されている。言うなれば目玉と言っても過言ではない同曲ですが、好評発売中の名盤「DALLAS 1995 DAT MASTER」で聞かれた同曲の激しさにも劣らない爆裂感でスタート。この激しさこそリアタイ演奏ならではだ…と聞き惚れていると演奏がブレイクした後でリアムが歌に戻るタイミングを見失ってしまい、歌パートにちょっとした隙間が空いてしまう。このミスでリアムが腐ってしまったのか、最後は彼が攻めきれずに終わってしまった。このハプニングが後にツアー終盤で演奏されなくなるきっかけだと推測したくなる場面ですが、それと同時にツアーのレア・レパートリーで起きたハプニングをクリアーな音質で捉えてくれているという点で非常に貴重な音源だとも言えるでしょう。また「(It’s Good) To Be Free」や「Supersonic」などではイントロでそれぞれにノエルが余裕を持ったフレーズやパターンで演奏を始めており、そこはツアー終盤らしい自信の現れではないでしょうか。それにリアムはまだまだやんちゃ期の真っただ中であった。「Supersonic」を始める前で客席にいた女性を指して「お前、ナイスだな」などとチャラいところを見せているのが何とも微笑ましい。先の「(It’s Good) To Be Free」に「Headshrinker」といった重厚な新曲が加えられたこと、さらに前年の激しいツアーの経験がモノを言った貫禄と進化を感じさせる過度期ですが、それでもまだまだ若さで一気に突っ走るような勢いでギグをこなしていたことが解る貴重音源でもあります。さすがにミネアポリスのような迫力の音像には及ばないものの、それでもDATオーディエンスならではのクリアーさで十分に楽しませてくれる優良音源。「Headshrinker」のハプニングだけでもマニアならニヤリとしてしまうこと間違いなし!
The Academy, New York, NY, USA 8th March 1995 (77:22)
1. Rock 'N' Roll Star 2. Columbia 3. Fade Away 4. Shakermaker 5. Digsy's Dinner 6. Live Forever 7. Headshrinker 8. Up In The Sky 9. Bring It On Down 10. Slide Away 11. (It's Good) To Be Free 12. Cigarettes & Alcohol 13. Married With Children 14. Supersonic 15. I Am The Walrus
Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - lead guitar, vocals Paul Arthurs - rhythm guitar Paul McGuigan - bass Tony McCarroll - drums