衝撃のアルバムデビューを目前にしつつ、希代のスーパーバンドとして注目を集めていた1974年のBAD COMPANY。その黎明の時代を代表する伝説ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1974年5月18日 ロンドン公演」。チャールトン・アスレティックFCの本拠地で開催されたフェス“SUMMER OF 74”に出演した際の超極上オーディエンス録音です。このフェスはTHE WHOをヘッドライナーに据えて開催された1日限りのイベントで約5万人を動員。彼らの他にHUMBLE PIEやルー・リード、LINDISFARNE、マギー・ベル、MONTROSEといった面々が参加しました(ちなみにTHE WHOのステージは公式DVD『THIRTY YEARS OF MAXIMUM R&B LIVE』で4曲だけ観られます)。そんな中でBAD COMPANYはまだ見ぬ大物として出演。大きな注目を集めたのです。その状況をイメージするためにも、ここで当時のスケジュールを紐解いてみましょう。・2月23日ー3月9日:欧州(3公演)←※NEWCASTLE 1974
・4月7日ー5月18日:英国#1(11公演)←★本編★・6月8日:ベーブリンゲン公演《6月26日『BAD COMPANY』発売》・6月26日:ランドーバー公演・7月13日ー9月13日:北米(29公演)←★ボートラ《9月『STRAIGHT SHOOTER』製作》・11月28日ー12月19日:英国#2(17公演)これが1974年のBAD COMPANY。本作の“SUMMER OF 74”出演は「英国#1」のラストにあたるコンサート。まさにアルバム・デビュー直前だった事がご理解頂けるでしょう。そして、そんなショウで記録された本作は、かつて「バドカンの初ステージ」として知られてきた名録音でもある。実際には初ステージではなく、当店の『NEWCASTLE 1974』を筆頭にもっと古い記録も発掘されたわけですが、貴重なアルバム・デビュー前の記録には違いないのです。さらに素晴らしいのは、その貴重度を吹っ飛ばすほどのクオリティ。これがもう、とんでもない超・極上サウンド。とにかく芯が骨太・肉厚で距離感がまったくない。これは恐らく会場が要因でしょう。現場となった“ザ・ヴァレイ・スタジアム”は大きく開いたオープン・スペース。音を反射する天井がなく、PAが吐く出音を反響ゼロでダイレクトに拾っているのです。もちろん、PAから遠ければスカスカにもなるのでしょうが、本作にその心配はなし。各楽器のセパレート感も絶大なら70年代には拾いにくかったベースさえも克明に感じ取れる。フェスらしい喧騒を吸い込んでいなかったら、とてもオーディエンスとは信じがたい極太サウンドなのです。しかも、本作はその最高峰を更新するもの。サウンド自体は従来から超極上で知られてきましたが、この録音最大のウィーク・ポイントはピッチ。一様にズレているなら既発群も対処したのでしょうが、ランダムで狂っていたのです。そこで本作は正確・緻密な修正に挑戦。過去最高の精度で整える事に成功しました。そして、さらに美味しいのがボーナス的に収録されている2曲。そもそも、この録音は伝統的に「1974年9月9日ボストン公演(従来は10月9日とされていました)」のオーディエンス録音が追加されている。本作も伝統に則って収録していますが、こちらのサウンドも過去最高峰。ピッチだけでなく、左右のステレオ感も整えて音楽作品としての「格」を可能な限り高めました。そんなレジェンド・サウンドで描かれるのは、レジェンドそのもののショウ。前述の通り、彼らのデビュー前と言えば、サウンドボード・アルバム『NEWCASTLE 1974』が象徴として君臨しておりますので、ここで比較しながら整理しておきましょう。バッド・カンパニー(6曲)・Rock Steady/Ready for Love/Bad Company/Movin' On/Can't Get Enough/Don't Let Me Down(*)その他(5曲)・フリー:Easy on My Soul/The Stealer(*)・その他:Palace of the King(★)/Little Miss Fortune/Deal With the Preacher ※注:「*」印はボーナスのボストン公演。「★」印はサウンドボード・アルバム『NEWCASTLE 1974』で聴けない曲。……と、このようになっています。おおよそは『NEWCASTLE 1974』に準じておりますが、目玉はオープニングで披露されるフレディ・キングのカバー「Palace of the King」。1974年にしか演奏されていないだけでなく、記録自体が指折り数えられる程度という激レア曲。それをサウンドボードばりの超極太サウンドで味わえるのです。他にも「Don't Let Me Down」やシングルB面曲だった「Little Miss Fortune」「Easy on My Soul」も初期ならでは。特に「Easy on My Soul」はイントロのピアノこそオリジナルの『HEARTBREAKER』を彷彿とさせますが、すぐに軽快なリズムに変化。シングル『Movin' On』収録バージョンに準じたBAD COMPANYらしいアレンジで披露されます。デビュー作『BAD COMPANY』は発売と同時に大ヒット。全米1位を獲得し、彼らは時代の寵児へと躍り出たのはご存知の通りです。本作は、その前夜。新バンドならではの熱気だけではなく「何か凄い事が起きる」という予感も振りまくステージ。そんな女神の微笑みパワーまでも真空パックした歴史的ドキュメント・アルバムなのです。その現場を史上最高峰サウンドで2022年に伝えてくれる1枚。デビュー作リリース前に参加した「1974年5月18日 SUMMER OF 74」の超極上オーディエンス録音。オープン・スペースのスタジアムだけあって、とにかく反響ゼロで芯も骨太・肉厚なら距離感もまったくない。フェスらしい喧騒を吸い込んでいなかったら、とてもオーディエンスとは信じがたい極太サウンドです。しかも、細心マスタリングで過去最高峰の安定感も実現。貴重なフレディ・キングのカバー「Palace of the King」やシングルB面曲「Little Miss Fortune」「Easy on My Soul」も極上サウンドで楽しめます。
Charlton Athletic Football Ground, London, UK 18th May 1974 TRULY PERFECT SOUND (57:09)
1. Intro 2. Palace of the King 3. Little Miss Fortune 4. Rock Steady 5. Ready for Love 6. Easy on My Soul 7. Bad Company 8. Deal With the Preacher 9. Band Introduction 10. Movin' On 11. Can't Get Enough The Music Hall, Boston, MA, USA 10th September1974
12. Don't Let Me Down 13. The Stealer