2022年2月9日、イアン・マクドナルド死去。癌との闘病の末、75歳で永眠しました。今この瞬間も数々のミュージシャンがイアンの偉業を讃え、世界中のファンが哀悼を捧げています。そんな今週に相応しい、黄金時代の象徴作品が登場です。イアンはKING CRIMSONやMcDONALD AND GILES、FOREIGNERと多彩なキャリアを辿ったわけですが、大ヒットの絶頂時代と言えばFOREIGNER。それも『DOUBLE VISION』時代にトドメを刺すでしょう。本作は、その象徴ライヴアルバムと貴重映像のセット。「1978年12月1日フィラデルフィア公演」の極上ステレオ・サウンドボード録音をメインに、「1978年7月22日フレズノ公演」のオーディエンス・ショットをボーナス付属した2枚組です。1978年と言えば、2つのツアー“FIRST ALBUM Tour”/“DOUBLE VISION Tour”が交錯しており、公式ライヴアルバム『LIVE AT THE RAINBOW '78』の発掘も記憶に新しいところ。その辺を整理するためにも、まずは当時のスケジュールからショウのポジションを確かめてみましょう。・2月3日ー7日:北米#1(4公演)《3月『DOUBLE VISION』完成》・3月18日:CALIFORNIA JAM II出演・3月30日ー4月5日:初来日(4公演)・4月11日ー16日:豪州(4公演)・4月20日ー27日:欧州(5公演)←※公式LIVE AT THE RAINBOW・4月30日:マンハッタン公演・5月24日ー6月17日:北米#2a(11公演)《6月20日『DOUBLE VISION』発売》・6月30日ー12月3日:北米#2b(59公演)←★ココ★【DISC 1:フィラデルフィア公演の極上フル・サウンドボード】これが1978年のFOREIGNER。4月までが“FIRST ALBUM Tour”で、5月からが“DOUBLE VISION Tour”でした。公式作『LIVE AT THE RAINBOW '78』はギリギリで前者だったわけですが。本作の2公演はどちらも後者。特にメインのフィラデルフィア公演はツアーが本格化した「北米#2b」の57公演目にあたるコンサートでした。DISC 1は、そんなショウで記録されたサウンドボード録音。かつてMasterportレーベルから発掘されたマスターでして、そのクオリティはまさに極上。曲間になると大歓声が突然沸き上がるものの、基本的にはミックス卓直結系。荒っぽいまでの生ミックスながら丸出しの芯が脳みそに直接流し込まれる。その強烈な生々しさ故に「完全オフィシャル級!」とは言いがたいものの、サウンド・クオリティ自体は『LIVE AT THE RAINBOW '78』にも負けていない。6人の1音1音が見事にセパレートして味わえる快感は、むしろ「オフィシャル超え!」と言いたくなる凄まじさです。そんな超ダイレクト・サウンドで描かれるのは、最初の絶頂を迎えたフルショウ。セットも『LIVE AT THE RAINBOW '78』とは似て非なるものですので、比較して整理しておきましょう。栄光の旅立ち(8曲)・Long, Long Way From Home/I Need You/Cold As Ice/The Damage Is Done/At War With The World/Starrider/Feels Like The First Time/Headknocker ダブル・ヴィジョン(3曲)・Double Vision/Spellbinder(★)/Hot Blooded
※注:「★」印は公式『LIVE AT THE RAINBOW '78』で聴けない曲。【DISC 2:フレズノ公演の衝撃8ミリ・フィルム】そんなサウンドボード・アルバムに続くのは、同じ「北米#2b」の11公演目で撮影されたオーディエンス・ショット。「フレズノ」「AUDショット」でピンと来る方もいらっしゃるでしょう。そう、この映像は2020年に一世を風靡した8ミリ・フィルム映像シリーズのFOREIGNER編なのです。まだビデオカメラが普及していない70年代は8ミリ・フィルムで客製撮影されていたわけですが、このフレズノ映像シリーズは、その常識を覆すクオリティが衝撃でした。「1カット=十数秒」でも当たり前の8ミリ撮影にも関わらず、1カットが5分近くに及ぶこともあり、丸1曲を通しで見られるカットも多用。しかも、不足分も静止画などで補完されており、曲の断片ではなくキチンと音楽として楽しめるのです。これだけでも常識外ですが、それだけではない。何しろ、絶景。ステージ右寄りの斜めアングルなのですが、視点が妙に高くステージ上のメンバーとほぼ同じ視線の高さ。そのため、遮蔽物が一切なく、ステージだけが視界を占領するのです。恐らくはそれなりに遠い席から撮影されていると思われますが、それを感じさせないのが果敢なズーム。ルー・グラムの後半心が画面いっぱいになるほどに迫る。そのドアップのまま見どころを追うカメラワークなのですが、前述したように客席から撮影する事自体が想定外の時代であり、カメラを隠す様子もなく、三脚を使用した安定感も素晴らしいのです。さらにさらにトドメとなるのが音声。当時はすでにオーディエンス録音は一般化していたわけですが、絶景に被せられたサウンドはこれまた70年代の常識を遙かに超える超極上サウンド。芯の力強さ、ディテールの細やかさ、そして何より距離感をまったく感じないダイレクト感……。デジタル全盛の現代基準でも「まるでサウンドボード」と呼びたい極上サウンドなのです。オフィシャル以上の生々しさで迫る極上ステレオ・サウンドボードと、70年代オーディエンスの常識を覆すヒストリカル映像。オリジナル・メンバーの真価を噛みしめるのに、これ以上はない大傑作セットです。栄光の真っ直中にいたイアン・マクドナルドに出逢える2枚組。「1978年12月1日フィラデルフィア公演」の極上ステレオ・サウンドボード録音をメインに、「1978年7月22日フレズノ公演」のオーディエンス・ショットをボーナス付属した2枚組。フィラデルフィアのSBD音源は芯も丸出しの生々しいミックスが魅力で、オリジナル・メンバー6人の1音1音が見事にセパレートして流し込まれる。一方フレズノのAUDショットは超絶景の8ミリ撮影でサウンドも極上。「70年代8ミリ映像」の常識を覆すような衝撃映像。オリジナル・メンバーの真価を噛みしめるのに、これ以上はない大傑作セットです。The Spectrum, Philadelphia, PA, USA 1st December 1978 STEREO SBD
Disc 1(72:26) The Spectrum, Philadelphia, PA, USA 1st December 1978 1. Long Long Way From Home 2. I Need You 3. Cold As Ice 4. The Damage Is Done 5. At War With The World 6. Starrider 7. Double Vision 8. Spellbinder 9. Feels Like the First Time 10. Hot Blooded
11. Headknocker STEREO SOUNDBOARD RECORDING
Disc 2(29:37) Selland Arena, Fresno, CA, USA 22nd July 1978 1. Intro 2. Long, Long Way From Home 3. I Need You 4. Spellbinder 5. Woman Oh Woman 6. Hot Blooded 7. Cold as Ice 8. Starrider 9. Double Vision COLOUR NTSC Approx.30min.
Lou Gramm - lead vocals Mick Jones - lead guitar Ian McDonald - guitars, keyboards, vocals Al Greenwood - keyboards Ed Gagliardi - bass, vocals Dennis Elliott - drums