一見ほとんどの公演のサウンドボードが発掘されたように思えるローリング・ストーンズ1981年のアメリカ・ツアーですが、実は未だにそれらが発掘されないままの日というのも確実に存在しています。その典型がLA・スポーツ・アリーナの二日目。PAアウトのサウンドボードが存在する初日と違い、この日は未だにサウンドボードの類が一切発掘されていません。代わりに昔からこの日の模様を伝えてくれていたのがステレオ・オーディエンス録音。かなりギスギスした音質で、どちらかと言えば荒れくれ録音の範疇に加えられるべき音源ではあるのですが、それがこの日のワイルドな演奏ぶりとうまくマッチしており、マニアにはそれなりに好まれていた音源でもあったという。それを物語るように、本音源は今から20年以上前に「NEVER TOO OLD TO ROCK & ROLL」(以降“既発盤”と称します)というタイトルでリリースされていました。それと同じ音源のファースト・ジェネレーション・コピーが最近になってネット上に現れました。とはいっても基本歪みが随所で生じる録音状態な上、オープニング「Under My Thumb」がフェードイン、「Beast Of Burden」と「Satisfaction」のイントロが若干切れて始まるところなども既発盤と変わらず。それと比べてギスギスと質感が少し緩和されている点が今回のバージョンかと。裏を返せば既発盤もカセット・トレードの時代にあってかなりジェネレーションの低いバージョンを使用していたのだと推測されます。それより不可解なのは、今回のバージョンではこの日演奏されなかった「Street Fighting Man」がLA初日のサウンドボードからライブ終盤にインサートされているということ。これは余計なお世話でした。むしろ特筆すべきは既発盤でおざなりにされていたCD一枚目のラスト二曲、「Waiting On A Friend」と「Let It Bleed」で生じていた極端なピッチの上昇が今回はきっちりアジャストされ、俄然聞きやすくなっていることかもしれません。そして全体を通して際立っているのは、ミックを中心としたストーンズの極めてワイルドな演奏ぶり。ハンプトンに映画「LET’S SPEND THE NIGHT TOGETHER」といったツアー中盤以降に収録が行われたオフィシャル・リリース群と比べるとまるで別のバンドのよう。特にミックは凄まじいまでにハイテンションであり、正に絶叫という表現がピッタリ当てはまるほどキレッキレな歌いっぷり。それに加えてライブ終盤ではLA初日に続いてボビー・キーズが「Brown Sugar」以降に参加というサプライズもある。そして既発盤も今となっては20年以上前のリリースであり、この日のワイルドすぎるストーンズを聞いたことがないマニアも少なくないのでは。81年ツアー序盤ならではのハイパー・パフォーマンスをさらに印象付けるような質感(ライブ終盤になると歪みマシマシですがその分、迫力も凄まじい)で捉えられたオーディエンス・アルバムです。Los Angeles Memorial Coliseum, Los Angeles, CA, USA 11th October 1981 TRULY AMAZING SOUND
Disc 1 (58:15) 1 Under My Thumb 2 When The Whip Comes Down 3 Let's Spend The Night Together 4 Shattered 5 Neighbors 6 Black Limousine 7 Just My Imagination 8 Twenty Flight Rock 9 Let Me Go 10 Time Is On My Side 11 Beast Of Burden 12 Waiting On A Friend 13 Let It Bleed
Disc 2 (67:13) 1. You Can't Always Get What You Want 2. Little T & A 3. Tumbling Dice 4. She's So Cold 5. All Down The Line 6. Band Introduction 7. Hang Fire 8. Star Star 9. Miss You 10. Start Me Up 11. Honky Tonk Woman 12. Brown Sugar 13. Jumping Jack Flash
14. Street Fighting Man(SBD 10/9) 15. Satisfaction