1972年第一回目の北米ツアーより、ツアー2日目のフロリダはハリウッド公演を、現存する2種の音源を組み合わせることによりほぼ完全収録を実現しています。この公演は未ブートですが、コレクター界にはアンコールのSet The Controls For The Heart Of The Sun以外のメインセットを全て高音質オーディエンス録音で収録した「Recorder 1」が、そして「狂気」後半(Us And Them 以降)とOne Of These Daysを除くショウ後半、そしてこれでしか聴けないアンコール「Set The Controls For The Heart Of The Sun」を収録した不完全版「Recorder 2」が現存しています(音質は「Recorder 1」が優れています。)。そこで本盤は、音質の優れている上にメインセットをほぼ完全収録している「Recorder 1」に、欠損箇所のEchoesイントロとアウトロのMC、そしてSet The Controls For The Heart Of The Sunを繋げることで、初の全曲収録・最長版を実現しました。勿論、両音源ともにピッチも正確に補正。音の良い「Recorder 1」は有名でしたが、「Recorder 2」は珍しく、おそらくほとんどの方がこの日のSet The Controls For The Heart Of The Sunを初めて聴かれるのではないでしょうか。「Recorder 2」は「Recorder 1」に比べるとクリアーさに欠け、地味な音像ですが、音質は決して悪くなく、音の鮮度も定位(今回独自に位相を修正)・コンディションも非常に良いので、安心して聞き入ることができます。メインの「Recorder 1」は1st Genと称されるステージ直近での録音を思わせるステレオ・テイクを使用。音質は非常に優れており、演奏そのものは右寄りですが、柔らかいアナログサウンドは雰囲気は抜群で、演奏の細部までしっかりと聴き取ることのできる名録音です。Speak To Me は最初の10秒ほどの収録でBreatheはカットインで収録されています。(2:22でテープのキュル音が聞こえます。)この日の演奏は冒頭での機材トラブルもあり、加えて北米ツアー序盤ということもあり、演奏が乗り切れてない印象を受ける、内容的にあまり良くない印象です。Breatheスタートでギルモアのギターが明らかに不調で、直ぐに引っ込んでしまい、以降は曲途中まで3人だけの演奏になります(その分ライトが健闘します。)以降は立て直しますが、なんとなく締まらない内容のコンサートになってしまっています。1月から3月まで英国・日本ツアーで見せた名演に程遠い演奏ですが、しかし、これで翌日のコロンビアで、あれだけ凄いライヴを行うのですから、バンドと言うものは分からないものです。しかし、記録としては一級品であり、ファンには間違いなく「マスト」な音源であり、その最良・最長版として、この機会に、是非、コレクションに加えて頂ければと思います。
Live at Sportatorium, Hollywood, Florida, USA 15th April 1972 TRULY AMAZING SOUND
Disc 1(45:54) The Dark Side Of The Moon 1. Speak To Me 2. Breathe 3. On The Run 4. Time 5. Breathe (Reprise) 6. The Great Gig In The Sky 7. Money 8. Us And Them 9. Any Colour You Like 10. Brain Damage 11. Eclipse
Disc 2(57:15) 1. One Of These Days 2. Careful With That Axe, Eugene 3. Echoes 4. Set The Controls For The Heart Of The Sun