ジェフ・ワトソンのソロアルバムから発展し、あのMOTHERS ARMYの母体ともなった泡沫のスーパー・ユニットLONE RANGER。幻とも言われた来日公演を極上体験できるオリジナル録音が全世界初公開です!そんな本作に吹き込まれているのは「1992年9月15日:名古屋ボトムライン公演」。その超絶級オーディエンス録音です。本作をご紹介するのは、まず「LONE RANGER」の正体から始めなければなりません。この名前はジェフがNIGHT RANGER解散後にリリースした1stソロアルバム『LONE RANGER』から取った新バンドでした。ただし、中身はまったく違う。ソロアルバムはいわゆるギター・インスト物でしたが、その後に組んだバンドはヴォーカル入り。デヴィッド・グレン・アイズレー(元GIUFFRIA)をフロントに据え、ベースにはボブ・デイズリー、ドラムにはカーマイン・アピスというスゴ腕だらけのスーパー・バンドだったのです。もうお気づきかと思いますが、このラインナップは「シンガー違いのMOTHERS ARMY」そのもの。つまり、このLONE RANGERにジョー・リン・ターナーが合流し、改名したのが「MOTHERS ARMY」というわけなのです。【超有名人軍団+幻シンガーによる激レアライヴ】話が先に進みすぎました。本作の主役は「MOTHERS ARMY」ではなく、あくまで「LONE RANGER」。ジョーが加入する前に実現した来日公演のライヴアルバムです。ただし、歌っているのはデヴィッド・グレン・アイズレーではない。実は、結成したてのLONE RANGERは、さっそく来日公演も決定したのですが、実際に指導する前になって今イチ乗り気でなかったアイズレーが脱退。新シンガーにウィリー・セルツァーを迎えて来日したのです。「ウィリー……誰?」と思われるでしょうが、それも無理はない。ウィリー・セルツァーにはほとんどキャリアらしいキャリアがない。かつてエリック・マーティンが在籍していた「415」なるバンドにエリックの後任として加入したことはあるのですが、残念ながら録音はなし。LONE RANGER後も目立った活動がなく、公式作品としては『MOTHERS ARMY』のバックヴォーカルにクレジットされているだけなのです。ここで「なんだ、ド素人か」と侮るなかれ。実は、本作の陰の主人公は、このウィリー。実は、めっちゃくちゃ巧い幻の名シンガーなのです! その歌声を喩えるなら「ソウルフルなサミー・ヘイガー」といったところでしょうか。声質も節回しもサミーに似ており、間の取り方、スキャット遣いも彷彿とさせる。サミーほどハイトーンで押しまくるわけではないのですが、その一方でソウルシンガーばりに細かく震えるようなヴィヴラートまで使いこなす歌唱力はサミー以上かも知れない。もちろん、サミーは喩えであってウィリーはモノマネ師ではない。気だるいスキャットではロバート・プラントっぽくもあり、穏やかなフレーズは喩える人が浮かばないほどセクシー。ジョー・リン・ターナーの個人的なファンだと前置きしつつ、それでもなお「MOTHERS ARMYはウィリーの方が良かったんじゃないか?」と思わずにいられないほど見事なヴォーカリゼーションなのです。
【ウィリー・セルツァー版MOTHERS ARMYとなるフルショウ】そんな感慨が浮かぶのも、ライヴ自体が「ウィリー版MOTHERS ARMY」だからに他なりません。その意味をご説明するためにも、ここでセットリストも整理しておきましょう。新曲(8曲)・マザーズ・アーミー:Darkside/Second Nature/Save Me/One Way Love/Voice Of Reason/Memorial Day/Dreamtime・アラウンド・ザ・サン:Around the Sun その他(7曲)・NIGHT RANGER:Goodbye/Don't Tell Me You Love Me・ローン・レンジャー:Osaka Rocker/Picnic Island/Hi-Yo Silver・その他:I Don't Know(オジー・オズボーン)/Hot Legs(ロッド・スチュワート)……と、このようになっています。なんとNIGHT RANGERからはたった2曲だけで、ショウの半分以上が『MOTHERS ARMY』や2ndソロ『AROUND THE SUN』からの新曲。もちろん、両作ともリリースどころか制作されてもおらず、観客は一切聴いた事がないナンバーだらけなのです。ところが、本作の観客は1曲1曲を熱心に聴き入り、熱い反応を返している。そして、それが不思議ではないほど見事な演奏でもある。だから「MOTHERS ARMYはウィリーの方が良かったんじゃないか?」と思ってしまうのです。ただまあ、さすがに新曲一辺倒とはしなかった。ファンへのお楽しみとしてNIGHT RANGERの他にカバー「I Don't Know」「Hot Legs」も披露しています。特に面白いのは「I Don't Know」でしょう。ジェフとしてはボブのために選んだのでしょうが、実はカーマインも元オジー・バンド。当店ではカーマイン時代OZZY OSBOURNEのライヴアルバムもご紹介してきましたが、あの素晴らしいリズムワークが見事に甦っている。そして、ここでもウィリーが凄い。ノッペリしたオジーとはまるで違って大小様々な幅のヴィヴラートやドスで装飾しまくった「I Don't Know」。そのゴージャスな歌いっぷりは、曲そのものをまるで別物に進化させているのです。【公式サウンドボード級の超絶サウンド】あまりの素晴らしさにすっかり書き損じていましたが、そんなショウを伝えるサウンドも超絶! 最近、当店ではオリジナルの名古屋録音を多数ご紹介していますが、本作はその最新弾。しかも、名古屋コレクションでも最高傑作となる1本なのです。その芯が極太で距離感などまるでなく、ヘッドフォンで耳を澄ませてもホール鳴りが感じ取れないほどタイト。それほどド密着でありながらビビらない安定感も抜群ときたもんだ。30年前の録音ではあるのですが、まるで西日本最強テーパー氏の最新録音かのようです(あくまで喩え。実際には別人の作です)。とにかく凄い。凄すぎる。バンド自体が激レアなだけでなく全員が達人であり、しかもお遊びではない本気モードの演奏が爆発している。そこに他では聴けない幻の名唱が乗り、そのすべてが超絶サウンドで描かれるのです。「オフィシャル作品と並べてコレクションして欲しい」と書きかけましたが、止めます。これはもう、正真正銘のオフィシャル作『MOTHERS ARMY』より凄いと言い切りたいです。これほどのノドを持ちながら、ウィリー・セルツァーは今頃どこで何をしているのだろう……。才能だけでは成功できない現実さえ思い知らされるアンダーグラウンドだからこその超名盤。MOTHERS ARMYの母体バンドによる超極上ライヴアルバム。「1992年9月15日:名古屋ボトムライン公演」の超絶級オーディエンス録音。ジョー・リン・ターナー加入前ですが、代わりに歌うウィリー・セルツァーが激ウマ。「ソウルシンガーばりのヴィヴラートまで駆使するサミー・ヘイガー」といった感じのシンガーで、デビュー作『MOTHERS ARMY』用の新曲やNIGHT RANGERの名曲、オジーの「I Don't Know」等を披露。ワトソン/カーマイン/デイズリーも鉄壁ですし、公式サウンドボード級の音質も超絶。公式/非公式の別を超えた音楽史の秘宝アルバムです。幻のライヴを極上サウンドで疑似体験できる。。。これぞブートレッグ!!!Live at THE BOTTOM LINE, Nagoya, Japan 15th September 1992 TRULY PERFECT SOUND(from OriginalMasters)
Disc 1 (43:54) 1. Intro 2. Darkside 3. Second Nature 4. Save Me 5. Osaka Rocka 6. One Way Love 7. Voice Of Reason 8. Around the Sun 9. Picnic Island 10. Goodbye 11. I Don't Know
Disc 2 (44:27) 1. Memorial Day 2. Hi-Yo Silver 3. Drum Solo 4. Dreamtime 5. (You Can Still) Rock in America intro. 6. Don't Tell Me You Love Me 7. Hot Legs Jeff Watson - Guitar Carmine Appice - Drums Bob Daisley - Bass Willy Seltzer - Vocals (Excellent singer, fantastic performance!!!!)