伝説のテーパー、マイク・ミラードの音源を公開してくれているJEMSチームに新たな展開がありました。彼が遺した録音コンサートのリストに記載がありながら、マスターを紛失してしまったと思しき音源に関してミラードの周辺の人物を当たってみたところ、彼のマスターからコピーされたファーストジェネレーション・テープが10公演分も発掘されたというのです。彼らはミラード・マスターのすべてを把握していると思われていただけに、さらに新発見が10公演も追加されたとは世界中のマニアにとって嬉しい驚きというもの。こうして見つかった新たな音源の第一弾として公開されたのがジョー・ウォルシュ1981年のLAフォーラム。イーグルスに加入する前からアーティストとしてのステイタスを築いており、彼らが活動停止した後にリリースされたアルバム『愛すべきならず者』もチャートのトップ20に食い込むという絶好調な時期に実現したLAフォーラム公演をミラードが録音してくれました。実際この時のツアーはアルバムの原題「THERE GOES THE NEIGHBORHOOD」から取った「NEIGHBORHOOD TOUR」として行われたのですが、そこは観客を楽しませようというサービス精神の強い彼らしく、ニューアルバムからのレパートリーは二曲にとどめ、セットリスト全体は見事なまでにジョー・ウォルシュ・グレイテストヒッツと化した構成がお見事。その甲斐もあって会場は大変に盛り上がっており、その分ミラードの周りも観客のお喋りを少なからず拾ってしまっています。この点に関してはホームの会場であるフォーラムながら苛立ちを覚えたのではないでしょうか。また今回の1st gen.コピーは残念ながらテープに劣化がみられ、若干ながら右チャンネルを中心に音のムラが生じてしまった。この点を除けば今回も見事なミラード・クオリティであり、なおかつ安定のLAフォーラム録音。自身のキャリアを振り返るような分かりやすいセットリストに加え、ラス・カンケルやジョー・ヴィターレといったウォルシュとは付き合いの長いミュージシャンによる鉄壁のバックに支えられて彼は歌もギターも気持ち良さそうに聞かせます。それでいて1981年という時代の流れもしっかり見据えているのが彼らしいところで、ジェームス・ギャング時代の「The Bomber」、さらには70年代アメリカン・ロック界のお家芸ソングといっても過言ではない「Rocky Mountain Way」も意外なほどコンパクトにまとめて演奏してみせる。そうした中、むしろ80年にリリースされて自身最大のヒットとなった「All Night Long」が一番の盛り上がりを見せているところに当時の彼の現役ぶりが感じられます。おまけにミラード録音ですので観客とのコール・アンド・レスポンスも絶妙なバランス。よって先に触れたテープの劣化など聞いていて問題にならなくなるレベルですし、いかにもウォルシュらしいゴキゲンなロックンロール・ショーを極上音質で捉えてくれた彼のオーディエンス・アルバムの定番がここに誕生しました。そして最後はビートルズの「Get Back」で締めくくり! The Forum, Inglewood, CA, USA 18th July 1981 PREFECT SOUND
Disc 1 (48:10) 1. Intro 2. Meadows 3. Over And Over 4. In The City 5. A Life Of Illusion 6. Lady On The Rock 7. The Bomber 8. Dreams 9. Theme From Boat Weirdos
Disc 2 (54:17) 1. Funk #49 2. Turn To Stone 3. You Never Know 4. Life's Been Good 5. Rocky Mountain Way 6. All Night Long 7. Get Back Joe Walsh - Guitar, Vocal George Perry - Bass, Vocal Russ Kunkel - Drums, Percussion Joe Vitale - Drums, Percussion Jay Ferguson - Keyboards