本作に吹き込まれているのは「1982年12月6日ハマースミス・パレス公演」。その絶品オーディエンス録音です。本作の旨みは、何と言ってもフル収録にあるわけですが、それを伝えるサウンドも実に素晴らしい。はっきりと空間感覚も感じる。しかし、その空気感がクリアに透き通っており、そのド真ん中を貫く芯のディテールを些かも隠さない。しかも、マスター鮮度も極上。実のところ、このマスターを提供してくださったのは『TIFFANY'S 1983』と同じ海外の研究家。膨大な音源知識に裏打ちされたマスター選択は間違いなく過去最高で、レーザー光線のように鮮やかな演奏音とヴォーカルが微塵も歪まない。まるでキニー録音の大元マスターかのような(あくまでも喩えで、実際には違いますが)瑞々しい美しさをほこっているのです。
そんな美のオーディエンス・サウンドで描かれるのは、世界制覇に燃える“PRE-WAR Tour”のフルショウ。ボーイ(8曲+α)
・Out of Control(★)/Twilight(★)/A Day Without Me/An Cat Dubh/Into the Heart/The Cry-The Electric Co./I Will Follow/The Ocean アイリッシュ・オクトーバー(5曲)・I Threw A Brick Through A Window/I Fall Down/October/Gloria/Fire その他(5曲)・WAR(闘):Surrender/Sunday Bloody Sunday/New Year's Day・シングル:A Celebration/11 O'clock Tick Tock※注:「★」印は別ヴァージョンでは聴けない曲。……と、このようになっています。別バージョンではWESTWOOD ONE放送版よりも「11 O'clock Tick Tock」「The Ocean」が増量されたわけですが、位置的にはアンコール・ラストの2曲でした。それに対し、オーディエンスの本作で増えたのは冒頭2曲「Out of Control」「Twilight」。『BOY』の比重が高く、初期カラーの濃厚なフルショウの姿が浮かび上がるのです。ライヴアルバムの名盤が素晴らしければ素晴らしいほど、その現場をリアル体験したくなるのがマニア人情というものです。本作は単にフルショウの完全形を教えてくれるだけでなく、そんなマニア心も満たしてくれる秘宝アルバムなのです。研究家厳選のマスターは内容的にもサウンド的にも通常リリースが相応しい。
Hammersmith Palais, London, UK 6th December 1982 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND (74:32)
1. Out of Control★ 2. Twilight★ 3. Surrender 4. I Threw a Brick Through a Window 5. A Day Without Me 6. An Cat Dubh 7. Into the Heart 8. Sunday Bloody Sunday 9. The Cry / The Electric Co.10. I Fall Down 11. October 12. New Year’s Day 13. Gloria 14. I Will Follow 15. Fire
16. A Celebration 17. 11 O’Clock Tick Tock 18. The Ocean