ZEPライブ音源の定番は再発のリクエストが絶えません。その最たる例が一か月ほど前に実現した一連の大阪929アイテムのリリースでしょう。思えば二回実現したZEPの来日公演はどちらの年代でも決定的な音源が存在する。71年が先の大阪だとすれば、72年は10月2日の武道館初日。正にスタンダードという言葉がぴったりと当てはまる、これぞ別格のクオリティと呼ぶに相応しいオーディエンス録音。それはまるで1972年に現在のデジタル・レコーダーを持ち込んで録音したのではないかと思えるほど。鮮度やクリアネスも抜群で、各メンバーが発した楽器の音色、前年とはガラリとサウンドを変えた新たなZEPのサウンドに固唾を飲んで聴き入る客席の空気感までも封じ込めてしまったのではと思える名録音中の名録音…それが武道館初日でしょう。掛け値なしに72年来日公演におけるベスト・レコーディングだけに、これまでも数えきれないほどのアイテムが生み出されてきたものです。「DANCING DAYS」、「NO USE GRECO」、「BUDOKAN OCT 2, 1972」そして「LED ZEPPELIN IS MY BROTHER」といった具合です。どれも元は同じオーディエンス録音、しかも大半がマスターからの収録となっていたことからどれもハイレベルな音質が魅力なアイテムとして、マニアならずとも聴ける定番タイトルが連発されていたものです。安心の72年武道館初日…そういっても過言ではない名録音も最近はどうしたことかレイテスト・リリースが途絶えてしまい、そのせいで71年のエターナル・アイテムたる929と比べ、一般的に見過ごされたかのような状況に近付いてしまったのです。「エディ」、「ブルーベリー・ヒル」そして929などと並ぶZEPライブの定番音源やタイトルの位置から後退しつつあった。もはや不遇と言っても過言ではない、そんな状況に一石を投じるべく当店がリリースしたのが「BUDOKAN 1972 1ST NIGHT」だったのです。そこでも過去の名盤に負けじとオリジナル・マスターからの収録はもちろん、さらに2016年ならではのマスタリング技術を駆使して作り上げたリマスター・バージョンとのカップリングというコンセプトがマニアから大いに評価されて早期のSold Outを記録してしまったのは記憶に新しいところ。リマスターと言っても、いたずらに音全体のイメージを釣り上げて派手な仕上がりに仕立てた時代錯誤的な処理とはまったく違いました。原音が持つクリアネスや鮮度を絶対的に尊重しつつ、その上で音像のオンな度合などをアップさせた仕上がり。その解釈がまたマニアから高く評価されました。内容的に目新しい部分がなくとも、元の音源の素晴らしさからSold Outとなってしまった。よって早くも再発の声が上がっていたことに応え、再リリースが実現となるのです。今回の再リリースに当たっては、前回の四枚組バージョンをそのまま出し直すのではなく、基本中の基本たるオリジナル音源(前回でDisc-1とDisc-2に相当)のみを収録した二枚組バージョンでの再発となります。大本の録音の素晴らしさ、それは「ZEPライブ音源の殿堂」というものがあれば間違いなく入れる素晴らしいもの。それにディスク枚数を減らしたことで、この名音源をより多くの人に触れてもらいたいという願いもあります。本当に驚くほどの録音クオリティは今もまったく色褪せていない。だからこそ、原音の良さをこれからも多くのZEPファンに知ってもらいたい!そして驚きの高音質だからこそ楽しめる、ZEPライブ・サウンドにおける大きな過度期の始まり。確かにプラントの声はキレが悪く、ライブの序盤はそれが顕著。それでもまだ声質自体が若い!「The Song Remains The Same」は本来こうした声とメロディで歌われていたのだ…という点が意外なほど新鮮に聴こえるもの。大抵のマニアは73年以降のライブ・バージョンに触れられることの方が多いはずで、ライブ初演となったココデの初々しい雰囲気に驚かされることでしょう。さらに前回リリース時と違う視点でZEPに注目してみれば、前年にはコペンハーゲンで一度だけしか演奏されなかった「Misty Mountain Hop」がこの日からレギュラー・ナンバーとして演奏されるようになったことが興味深い。当時完成したばかりだったアルバム「HOUSES OF HOLY」ではそれまで以上にジョンジーのキーボード・プレイが大きくフィーチャーされ、それまでのイメージやサウンドを大きく変えることに貢献しました。そのサウンドを予見していたのがこの曲だと言えるのではないでしょうか。こうして「Misty Mountain~」がライブにおけるレギュラー・レパートリー導入が決まったことも、ZEPのライブ・サウンドの変化の象徴のように思えるのです。こうして武道館初日から始まったZEPの新章を最高の音質で封じ込めた名音源…やっぱり1972年武道館初日と言えばこの最高のオーディエンス録音ですよね!
Live at Budokan, Tokyo, Japan 2nd October 1972 TRULY PERFECT SOUND(*UPGRADE)
Disc 1 (73:37) 1. Introduction 2. Rock And Roll 3. Over The Hills And Far Away 4. Black Dog 5. Misty Mountain Hop 6. Since I've Been Loving You 7. Dancing Days 8. Bron-Yr-Aur Stomp 9. The Song Remains The Same 10. The Rain Song 11. Dazed And Confused (incl. The Crunge)
Disc 2 (52:23) 1. Stairway To Heaven 2. Whole Lotta Love 3. Heartbreaker 4. Immigrant Song 5. Communication Breakdown