待望の再リリースが大好評を博しているローリング・ストーンズのバビロン・ツアー来日公演シリーズですが、今回はその幕開けとなった東京ドーム初日がこれまた待望の復活を遂げます!前回が大阪と東京ドーム二日目だったのに、今度は初日…ということは!と気づいたマニアの方、鋭い。そう、今回も2014年のリリース時の順番に倣って再リリースが行われているのです。だからこそ、今回が東京ドーム初日の名盤であった「TOKYO 1998 1ST NIGHT」の再発が実現するのは必然かと。前回の二公演を再リリースする際に申しましたように、1998年の来日公演は録音機材がまだ東京ドーム特有のエコーに苛まれがちだった最後の時期だと言えます。中でもこの日は来日初日ということもあってテーパー間での良ポジの確保が難しかったか、リアタイ・リリース群は正にドームのエコーに包まれた録音状態が目立つものばかりでした。8年前にリリースされた「TOKYO 1998 1ST NIGHT」(以下“既発盤”と称します)は前回再リリースを果たしたばかりな「TOKYO 1998 2ND NIGHT」と同様、ミック・ジャガーの「2 NIGHTS IN DOME」に「FOXY NIGHTS」、ストーンズの「DOME ON WHEELS」そして「FUKUOKA 1995 2ND NIGHT」といった名作群の元になったテーパーによるもの。ですがこちらの音源はドーム二日目と比べると少し距離感のある音像。ここでも98年東京ドーム初日のジレンマは健在だった訳ですが、それでもリアタイでリリースされたアイテムと比べれば遥かに聞きやすい音質だったのは明らか。それが功を奏して2014年のリリース時、これもまたアッという間にSold Outとなった名盤です。この日のリアタイ・リリース群にあったような周囲の騒がしさがほとんど気にならない点も本音源の魅力かと思われますが、一番の問題はBステージに移った時の音の遠さ、さらに音量レベルの低さではないでしょうか。今回も音源のブラッシュアップを担当したGraf Zeppelinがもっとも注視した点がここ。そうした音量の浮き沈みというのは1990年から2000年代半ばまでのDATオーディエンスにはよく見られた現象で、それを調整するだけでも格段に聞きやすくなるのです。こうした問題をメインとして今回も緻密なアジャストを敢行してくれました。よって今回も8年前のオリジナル・リリースの持ち味を損なうことなく、それでいて最新テクノロジーを活かしたバージョンアップを果たしたのです。そもそも1998年当時のリアタイ・リリース群は入手困難もいいところ。なおさら今回の再リリースは単なる再発に終わらず、98年来日公演を聞けたことのないマニアにとって救世主的な存在となること間違いなし。何よりそれらリアタイ・アイテムとは比較にならない聞きやすさにて、懐かしの来日公演を再現してみせてくれる。そして何と言ってもバビロン・モードのローリング・ストーンズが日本に降臨した記念すべき日です。ミックを始めとしたストーンズの面々は気合十分で東京ドームのステージに挑んでいる様子が過去のアイテムよりもはっきり伝わってくる。中でもミックのはりきりぶりはいかにも彼らしいところで、新曲「Flip The Switch」などは東京ドーム二日目の熱演を予見させるほど。一切の曲紹介なしで「Bitch」が始まるのも初日らしい緊張感が伝わってくる場面ですし、演奏の方もスピード感に溢れている。それどころか、この勢いは次の「Saint Of Me」でも収まらず、演奏の後半が単に盛り上がるだけでなく、いつもより走り気味で終えるのも初日らしいところ。この日のネット投票ナンバーは「Under My Thumb」でして、遂に本曲が日本で披露されたことに感涙にむせた人が多かった(この時居合わせた私もそうでした)かと思われます。しかし、いま改めて聞いてみると日本における二度目の披露となった「OSAKA 1998 2ND NIGHT」バージョンに比べるとまとまりやキレには及ばず、むしろ演奏が途中で怪しくなってしまう場面すらみられるのがこれまた初日らしい。おまけにキース・コーナーもそれまでのツアーとは趣向を大きく変えた選曲となっていて、生で「Wanna Hold You」を聞ける日が来るとは…とこれまた感涙にむせたのでした。この日居合わせた観客がもっとも固唾を飲んで見守ったであろう場面が日本のショー初見山となったBステージ。アリーナ前方以外の観客との距離感を縮めるべく導入された画期的なステージセットであったと同時に、最低限のメンバー、なおかつ「Little Queenie」に「The Last Time」といったキラーチューン連発の展開にノックアウトされたものです。このように初来日や二度目の来日公演よりも、ある意味「レアな」レパートリーが繰り広げられても盛り上がったのがこの年のいいところで、なおさら今回の再リリースにてこのパートの問題がアジャストされたのには大きな意味があるのです。そして過去二回の来日公演とは比べ物にならない盛り上がりを雄弁に物語ってくれたのがライブ終盤「You Can't Always Get What You Want」で、本音源でも周囲の合唱ぶりを嫌味のないバランスで捉えてくれている。かく言う私もこの時の「今までの来日とは違う!」といった盛り上がりぶりを実感できた場面ですので、むしろ聞いていて微笑ましく感じられる…何よりも今はこんな風に大合唱することがはばかられるご時世です、実に眩しい光景ですらある。(リマスター・メモ)REMASTERED BY GRAF ZEPPELIN 低域と高域を若干調整。出だしマイクバリバリノイズを除去(トラック1 1:05、 1:07-08付近右ch) B stage遠目で音量低いところを若干音量を調整してます。
Live at Tokyo Dome, Tokyo, Japan 12th March 1998 PERFECT SOUND *UPGRADE Disc 1 (58:25) 1. Introduction 2. Satisfaction 3. Let's Spend The Night Together 4. Flip The Switch 5. Gimme Shelter 6. Angie 7. Bitch 8. Saint Of Me 9. Out Of Control 10. Under My Thumb 11. Miss You
Disc 2 (76:23) 1. Band Introductions 2. You Don't Have To Mean It 3. Wanna Hold You 4. Little Queenie 5. The Last Time 6. Like A Rolling Stone 7. Sympathy For The Devil 8. Tumbling Dice 9. Honky Tonk Women 10. Start Me Up 11. Jumping Jack Flash 12. You Can't Always Get What You Want
13. Brown Sugar