来ました!遂にポール最新ツアーからの極上オーディエンスCDリリースが!これまでも非常にクオリティの高いオーディエンス録音の最速リリースが続いていましたが、今回はお眼鏡にかなったというだけのことはありド迫力の音圧&音像。録音を敢行してくれたテーパーのポジションと会場の出音の相性がライブ開始直後から良かったのでしょう。それだけで最高のクオリティ。これが抑え気味なアンサンブルとなる「Nineteen Hundred and Eighty-Five」などはいよいよサウンドボードチックな密度の濃い音像。その素晴らしい録音状態の中でも特筆すべきは、ポールが弾くベースラインを明瞭かつふくよかな音質で捉えてくれているということ。2022年のステージの記録であれば平均点の高いオーディエンス録音がゴロゴロするのは当たり前。そんな中でこれほどまで彼の弾くベースの音をイイ感じで捉えてくれている音源というのはそうそうないのでは。「Can't Buy Me Love」や「Got to Get You into My Life」、あるいはアンコールの「Birthday」といった曲での弾むようなベースラインを聞いていると、本当にこの人は生涯現役でいる気が満々なのだな…と感動させられることでしょう。とはいえ「Getting Better」ではポールがフライング気味に歌い出してしまうという微笑ましい場面はご愛敬。現時点での最新アルバムである「McCARTNEY III」からは「Women And Wives」がツアー開始当初はレパートリーに加えられていたものの、元々ライブ映えするとは言い難い曲調だった上、ただでさえ新曲に冷淡なアメリカのオーディエンスの反応を受け(苦笑)サウンドチェック用レパートリーに降格してしまいます。 ところが今回リリースされる6月8日のボストンはフェンウェイ・パークでの二日目の公演からは「Jet」が今年のレパートリーとして初登場。しかも従来のようなライブ序盤という位置ではなく「Fuh You」の次というライブ中盤での演奏が新鮮かつ効果的。というのも序盤ですとポールの喉がエンジン全開とならない内に歌わなければならないせいで、日によっては今のポールが歌うのに厳しそうな風に映ったこともありました。それが今回はセット中盤での披露ということから彼もイイ感じに歌えている。ところがそれだけではありません、2018年以降のツアーで帯同しているホーン隊が演奏に加わってくれたおかげで、それこそ1976年のウイングスを彷彿とさせるようなライブバージョンとなっているのだから聞き逃せない。実に見事なステージ映えぶりであり、是非これからも演奏し続けてほしいと願わずにいられません。そしてライブ全体を通してポールが絶好調な様子が伝わってくるのも嬉しいところで、「Dance Tonight」を終えたところで彼がドラムのエイブに語り掛けるという、近年では珍しい場面がまた微笑ましい。何より驚かされるのが「Maybe I'm Amazed」。最近どころか何年も前からポールにとって「ライブ前半の関門」と化した感のあるレパートリーですが、ツアー開始から一か月以上が経過したこともあり、ここ最近では見られなかったくらい攻めた歌い方、つまり声が出ていることに驚きを禁じえません。これを書いている時点で遂に80歳を迎えたポールです、もちろん曲によっては苦しそうな場面もある。にしてもライブ全体からすると圧倒的に調子がよく、それはUXBRIDGEレーベルからリリースされたツアー序盤の音源と聞き比べてもらえば歴然としている。これが「Maybe I'm~」では顕著になっていて、ポールの場合は二日連続公演というスケジュールがむしろ功を奏しているように思えるほど。そして今回のツアーで話題の演出となっている「I've Got a Feeling」のバーチャル・デュエットの演出もすっかりなじんできたことが解ります。何しろ音がいいので、80歳を迎えても(この時点ではまだ79でしたが)攻めの姿勢を忘れることのないポールのライブに対する姿勢に感動させられることしきり。リリースに際しては、公開された際のミスで「You Never Give Me Your Money」前後の曲順が実際と違った状態となっていましたが、そこはもちろんアジャスト。開始から一か月以上が経過し、既に世界中のファンの間で評判を呼んでいるツアーからエンジン全開ぶりを素晴らしい音質で捉えてくれたオーディエンス・アルバムが遂にリリース Fenway Park, Boston, MA, USA 8th June 2022 ULTIMATE SOUND
Disc 1 (59:42) 1. Intro 2. Can't Buy Me Love 3. Junior's Farm 4. Letting Go 5. Got to Get You into My Life 6. Come on to Me 7. Let Me Roll It 8. Getting Better 9. Let 'Em In 10. My Valentine 11. Nineteen Hundred and Eighty-Five 12. Maybe I'm Amazed 13. We can work it out 14. In Spite of All the Danger
Disc 2 (47:12) 1. MC 2. Love Me Do 3. Dance Tonight 4. Blackbird 5. Here Today 6. Queenie Eye 7. Lady Madonna 8. Fuh You 9. Jet 10. Being for the Benefit of Mr. Kite 11. Something 12. Ob-La-Di, Ob-La-Da
Disc 3 (52:45) 1. MC 2. You Never Give Me Your Money 3. She Came in Through the Bathroom Window 4. Get Back 5. Band on the Run 6. Let It Be 7. Live and Let Die 8. Hey Jude 9. I've Got a Feeling 10. Birthday 11. Helter Skelter 12. Golden Slumbers 13. Carry That Weight 14. The End