早くも五年の歳月が経過した豪華アーティスト集結フェスティバル「DESERT TRIP」。結局2016年一回の開催で終わってしまいましたが、そこで繰り広げられたパフォーマンスは未だに色褪せていない。どのアーティストも一週目と二週目でそれぞれに趣向を変えたセットリストが話題となったのですが、そんな中でも大きな話題を呼んだのがローリング・ストーンズ。特に一週目ではビートルズの「Come Together」をカバーしてみせたことが世界中のマニアをアッと言わせたものでした。2016年ですのでリアタイでも素晴らしいクオリティのオーディエンス録音が出回り、それらをカップリングした「DESERT TRIP 2016 WEEKEND 1」が大人気を博していたのも今となっては懐かしい。そうした中でIEM音源ことイヤモニ音源が存在し、ロジャー・ウォーターズのステージに関しては名盤「DESERT TRIP 2016 WEEKEND 1: FRONT OF HOUSE MIX」がリリースされています。ところがストーンズのステージに関しても実はイヤモニ音源が存在しており、それが2018年になって「GOT TO BE A JOKER」というタイトルでひっそりとリリースされていました。ところが一筋縄でいかなかったのは、同タイトルがアナログレコードだけでリリースされたということ。ちょうどピンク・フロイド1975年ツアーの「CALIFORNIA SOUNDBOARD」と似たような流通経路を辿ったと言えるでしょう。おまけにイベントから二年後のリリースだったということで思いのほか注目を浴びなかったのも事実。あれから四年が経った今なお元のイヤモニ音源が現れないことから推測するに、それを録音したテーパー自身がこのLPを作ったのかもしれません。おまけにレコード一枚という時間という収録時間の制約もあり、当日のステージを完全収録するには至っておらず、そこで聞かれたのは「Honky Tonk Women」までというもの。とはいえイヤモニ録音の状態はなかなかに素晴らしく、冒頭「Start Me Up」だけはギターよりベースやキーボードのバランスが大きいという、この手の録音にありがちなバランスなのですが、幸いなことに「You Got Me Rocking」からはキースとロニーもグッと大きく鳴るストーンズらしいバランスへと進化。これはもう普通にステレオサウンドボード録音として楽しめてしまう優良音源。となれば日本でもほとんど出回らなかったLPでしか聞けない貴重イヤモニ録音を埋もれさせておくにはもったいない。そのLPから細心の注意を払ってのリリースが実現いたします。先に触れたような不完全収録である点は惜しまれるのですが、それでもこの日の目玉となった演奏が素晴らしい音質で聞けるのはポイントが高い。まず久しぶりのライブレパートリー復活となった「Mixed Emotions」。キースとロニーのギターが要な曲ですので、それをこの見事なステレオ・セパレーションで楽しめるのは格別。さらにはチャーリーの唯一無比なドラミング。本当に久しぶりの演奏ですので、さすがに1989年当時の切れ味を求めるのは酷というものですが、こうしてクリアーな音源で聞いてみると悪くない。それ以上に大きな話題となったのがビートルズの「Come Together」。演奏の方はストーンズらしい雰囲気を漂わせていたものの、ミックの方はプロンプターを見ながら歌ったせいもあって歌詞をどこかしら間違えており、全体を通して正しく歌い切れたパートがなかったという(苦笑)。その危うい歌いっぷりもクリアーに楽しめてしまうのでした。最初に触れたように「Honky Tonk Women」までの収録です。かといって残りのパートをすべてAudで補うと二枚組の内、六割がそれで占められてしまう中途半端な構成となってしまう。そこは潔くイヤモニ音源をメインとした一枚ものにまとめ、さらにライブ後半部分だけを「DESERT TRIP 2016 WEEKEND 1」の「Scooter123」ソースによるAudで補いました。当時話題になったように、このオーディエンス録音の音質が良く、スピーカーから鳴らしている分だとイヤモニからAudに切り替わった違和感を覚えないのでは。そして最後にはボーナスを兼ねてチャーリー存命時最後の公式パフォーマンスとなってしまった2020年のステイホーム・イベントでの「You Can't Always Get What You Want」を収録。リモート・パフォーマンスだったことからチャーリーがエアードラムをやけにニコニコしながらやっていたのが今となっては切ない。当然これもサウンドボードですので、近年ストーンズのレア・ライブ音源が一枚にまとめられた内容だとも言えるでしょう。今となっては懐かしさすら覚える2016年イベントでの「Mixed Emotions」と「Come Together」をステレオサウンドボード感覚で楽しめる隠れた貴重音源が初CD化!「Got Be A Joker」は LPオンリーで、日本には入って来ませんでした。今回、レコード落としでの初CD化。素晴らしいイヤモニ録音で、普通にStereo SBDに聞こえます。Got To Be A Joker Remastered Edition Empire Polo Club, Indio, California, USA 7th October 2016 ULTIMATE SOUND(IEM+AUD) (78:55) 1. Intro. 2. Start Me Up 3. You Got Me Rocking 4. Out Of Control 5. Ride 'Em On Down 6. Mixed Emotions 7. Wild Horses 8. It's Only Rock 'n Roll 9. Come Together 10. Tumbling Dice 11. Honky Tonk Women 12. Gimme Shelter 13. Brown Sugar 14. Jumping Jack Flash 15. Satisfaction Bonus Track 16. You Can't Always Get What You Want ONE WORLD TOGETHER AT HOME (April 2020) Benefit Performance in aid of Global Citizen World Health Organization to celebrate COVID-19 workers エアドラムで参加ですが、2020年唯一にして、チャーリーの最後の公式パフォーマンス