アラン・ホワイトの死を乗り越え、ライヴ活動を再開させたYES。来日公演も発表となった彼らの最新ステージをフル体験できる極上ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「2022年6月21日ロンドン公演」。伝統の名会場“ロイヤル・アルバート・ホール(以後、RAH)”で記録された極上オーディエンス録音です。元々、彼らは『リレイヤー』再現をテーマとした“THE ALBUM SERIES Tour”を予定していましたが、新型コロナ・パンデミックで延期に次ぐ延期。そうこうしている間に2022年を迎えてしまい、『危機』完全再現をテーマにした50周年ツアーを先行する事になりました。その一方で、ジョン・アンダーソンも独自に『危機』50周年ツアーを発表。袂を別っている両者が同じテーマでぶつかり合うことにもなっています。そんな状況を整理するためにも、まずは現在までに公表されているスケジュールをおさらいしておきましょう。2022年*4月6日ー16日:北米#1(5公演)《5月26日アラン・ホワイト死去》“『危機』50周年ツアー”・6月13日ー29日:英国(11公演)←★ココ★*7月7日ー8月6日:北米#2(13公演)・9月5日ー9日:日本(4公演)2023年“『リレイヤー』再現ツアー”・5月7日ー6月7日:欧州(24公演)※注:「・」印はYESの公演。「*」印はジョン・アンダーソンの公演。これが現在までに公表されているYES/ジョン・アンダーソンのスケジュール。「英国/日本」レッグがYES側の『危機』50周年ツアーで、「北米#2」がジョン側の50周年ツアーです。国が被らないので直接対決ではありませんが、ほぼ同時に両者がツアーする状況が見て取れます。また、2023年にはYESの「欧州」レッグも予定されていますが、こちらはテーマが別。延期が続いている『リレイヤー』再現の“THE ALBUM SERIES Tour”となる予定です。その中で本作のRAH公演は、「英国」レッグの6公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを真空パックした本作は、伝統会場RAHならではの音響が心に染みる美録音。サウンドボードと間違えるようなタイプではないのですが、それが欠点ではなく思いっきり長所。重厚できめ細やかなホール鳴りがとことん美しく、厚みやダイナミズムに留まらず、荘厳さまで生み出している。それがYESのシンフォニック・ロックにぴったりフィットし、美しいメロディとハーモニーが天から降り注いでくるのです。あまりの美しさに鳴りの話ばかりしてしまいましたが、もちろんボケボケだったり、遠さを感じたら本末転倒。しかし、本作はそうではない。パッと聴いた感じでは厚めの鳴りにディテールが曇るかとも思うのですが、その鳴りの中で芯の輪郭はくっきりと切り立っている。そして、その芯の濃密なためにスカスカ感が皆無で距離にならないのです。YESは常にオーディエンス録音が似合うバンドではありますが、ここまでのマッチングはそうそうない。もしかしたら、RAHはYESミュージックにとって聖地なのかも知れません。そんなファットな美音で描かれるのは、注目の『危機』50周年ツアーの全景。ショウの構成をご説明するためにも、ここで内容を整理しておきましょう。第一部・サード・アルバム:Yours Is No Disgrace/Clap・ザ・クエスト:The Ice Bridge/Dare To Know・その他:No Opportunity Necessary, No Experience Needed/Heart Of The Sunrise/Wonderous Stories/On The Silent Wings Of Freedom/Does It Really Happen? 第二部・危機:Close To The Edge/And You And I/Siberian Khatru アンコール・Roundabout/Starship Trooper ……と、このようになっています。ショウは二部構成となっており、「第一部=通常スタイル」+「第二部=『危機』の完全再現」+「アンコール2曲」。最大の聴きどころは『危機』の完全再現になるわけですが、第一部も侮れない。とにかく幅広く、バラエティ豊か。軸となるアルバムは設定されておらず、2ndアルバムの「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」から去年リリースされた『THE QUEST』の新曲に至るまで、次に何が飛び出すか分からないほど豪快に時代を行き来する。後半がシンプルな「危機+ド定番2曲」ということもあり、前後半でムードがガラッと変化。まるで別コンサートかのように強烈なコントラストが楽しめるのです。アランの訃報が飛び込んできたために、これまで今ひとつ喜べなかった来日公演の知らせ。あれから1ヶ月が経ち、少し落ち着きを取り戻してきたからこそ、改めて期待も込み上げてきたのではないでしょうか。本作は、そんな「今」にぴったりのフル・ライヴアルバムです。単に来日の予習としてだけでなく、再び前を向いてYESミュージックと対峙するために必要な1本。「2022年6月21日ロイヤル・アルバート・ホール公演」の極上オーディエンス録音。伝統会場RAHならではの音響が心に染みる美録音で、重厚できめ細やかなホール鳴りがとことん美しく、厚みやダイナミズムに留まらず、荘厳さまで生み出している。それがYESのシンフォニック・ロックにぴったりフィットし、美しいメロディとハーモニーが天から降り注いでくる。『THE QUEST』の新曲や『危機』50周年を記念する完全再現も美味しいフルショウを極上体験できます。Royal Albert Hall, London, UK 21st June 2022 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(76:36) 1. Tracy from Trading Boundaries Intro 2. Roger Dean 3. Turn of the Century (Alan White tribute) 4. Firebird 5. On The Silent Wings Of Freedom 6. Yours Is No Disgrace 7. MC
8. No Opportunity Necessary, No Experience Needed 9. Does It Really Happen? 10. Band Introductions 11. Clap 12. Intro 13. Wonderous Stories 14. MC 15. The Ice Bridge 16. Dare To Know 17. MC 18. Heart Of The Sunrise
Disc 2(68:38) 1. Close To The Edge 2. And You And I 3. Siberian Khatru 4. MC 5. Roundabout 6. Starship Trooper Steve Howe - guitars, vocals Geoff Downes - keyboards, vocals Billy Sherwood - bass, vocals Jon Davison - lead vocals, acoustic guitar, percussion Jay Schellen - drums, percussion