本作に封じられているのは「1980年2月26日ダブリン公演」。そのFMサウンドボード録音です。この日は本編解説のスケジュールによるところの「英国#1」の10公演目であり、CBSアイルランドから出た1stシングル『Another Day』の発売当日。つまり、メジャー・レーベル“アイランド・レコード”と契約する約3ヶ月前という極初期のステージでした。このショウはアイルランドのラジオ局“RTE Radio 2”で放送。そのFMサウンドボードはコアなコレクター間で愛され、『BOY』のリマスター盤にも「Cartoon World」が採用されました。本作は、そんなサウンドボードの完全版です。もちろん、単にフルショウ収録なだけではなく、サウンド面でも最高峰。別CDと同じ海外のU2研究家が厳選したベスト・マスターなのです。さすがに完全オフィシャル級の別CDには及ばず、いかにも発掘らしいサウンドボードではありますが、マスター鮮度は抜群。ダビング痕やヨレ、ノイズの類もほとんどない。音の良さに惚れ惚れするタイプとは言えないまでも、ストレスの種もまったくないビシッと美しいサウンドボードなのです。そんなヴィンテージ・サウンドボードから流れ出るのは、「超」が付くレア曲の猛ラッシュ。別CDと比較でセットを整理しておきましょう。ボーイ(7曲)・Stories For Boys/Another Time, Another Place/Shadows And Tall Trees(★)/A Day Without Me(★)/Twilight/Out of Control/The Electric Co. その他(10曲)・シングル:Boy-Girl/Another Day(★)/Silver Lining(11 O'Clock Tick Tockの原曲)/Trevor(★:Touchの原曲)・未発表の初期曲:Speed Of Life(★)/Life On A Distant Planet(★)/Pete The Chop(★)/The Dream Is Over(★)/Cartoon World(★)/Jack In The Box(★)※注:「★」印は別CDでは聴けない曲。……と、このようになっています。ボーナス・タイトルは本編の補完度を示す為に比較するのが慣例なのですが、実は本作に関してはあまり意味がない。何しろ、演奏される17曲中で被っている曲が6曲しかない。しかも「11 O'Clock Tick Tock」や「Touch」は「Silver Lining」「Trevor」といった原曲段階ですし、他にも未発表に終わった初期曲もたっぷり6曲も演奏されている。しかも、そんなセットを綴る演奏も超レア。アンサンブルもまだまだ発展途上ですし、何と言ってもボノの歌声! 当時の彼はまだ19歳で、その声には青臭さも滲み、懸命に抑揚と表情を付けようとするあまりやり過ぎてしまうところも微笑ましい。聴けるだけでありがたいレベルの超貴重なパフォーマンスをサウンドボードで楽しめる……まさに秘宝中の秘宝なのです。別CDは『BOY』のライヴ篇としてオフィシャル作品と並ぶ存在でしたが、本作はまさに成長の過程。今まさに卵の殻を破り、外の空気を吸ったばかりのU2なのです。そんな極初期のフルショウを約1時間に渡って機微まで鮮やかなサウンドボードで味わえる秘宝盤。National Stadium, Dublin, Ireland 26th February 1980 SBD (61:59) 01. DJ Intro / Silver Lining 02. Speed Of Life 03. Life On A Distant Planet 04. Stories For Boys 05. Trevor 06. Another Time, Another Place 07. Another Day 08. Pete The Chop 09. The Dream Is Over 10. Cartoon World 11. Jack In The Box 12. Shadows And Tall Trees 13. A Day Without Me 14. Twilight 15. Boy-Girl 16. Out Of Control / DJ Outro encore :
17. The Electric Co. / DJ Outro (taken from different source, not on original broadcast, and is rare) FM Broadcast Recording