ミラード・マスターの最新作は何とびっくり、イアン・マクレガン1981年のソロ・ステージを捉えた音源でした。フェイセズ解散後はローリング・ストーンズのサポートを中心として裏方ミュージシャンに回った感のある彼ですが、81年を迎えるとセカンド・ソロアルバム「BUMP IN THE NIGHT」をリリース。それを受けてアルバムをプロモートするためのツアーを行った…という事実はよほどのマニアでなければ知らなかったかと思われますし、この年の夏からはストーンズのツアーでのサポートという大仕事が控えていた。それだけに自身のバンドを従えてツアーを行ったのは極めて短い時期だったのです。この貴重なツアーを何とミラードが録音してくれていたとは。ストーンズやフェイセズを録音してくれていたミラードからすればマクレガンのショーに向かうのも当然といえ、結果として極めて貴重な彼の単独ステージが素晴らしい音質で記録されることになりました。とはいえフロントマンでないバンドメンバーのこじんまりとしたギグです、小さな会場でのライブといえどミラードもいつもほど前方のポジションにまでは向かわなかったのでしょう。よって若干ながら距離感を覚える音像なのですが、それでもクオリティ的には録音状態なのがお見事。この点はやはり小さな会場でのギグということが功を奏したかと。そんな貴重なステージは「BUMP IN THE NIGHT」のレコーディング参加メンバーが務めており、中でもドラマーは1970年代前半のビーチ・ボーイズに正規メンバーとして加入し、その後ラトルズでジョージ・ハリスン役を務めたリッキー・ファターが叩いているというのもマニアには聞き逃せないポイント。そもそも自身がメインでのライブという経験が極めて少ないマクレガンですので、オープニングから懸命に歌っている感じが何とも微笑ましい。例えば彼のファースト・アルバム「TROUBLEMAKER」収録曲だった「Little Troublemaker」などはアコースティックなアレンジだったものをステージ用にバンドでエレクトリックに演奏しており、そのアーリー・エイティーズなパワーポップ感がとてもいい。もっともマクレガン自身が一人でフロントマンやシンガーをこなすには厳しいと感じていたと思われ、中盤は「BUMP IN THE NIGHT」のレコーディングにも参加していたオーストラリアの女性シンガー、レネ・ゲイヤーにマイクを譲ったR&Bショーへと様変わり。ここではローリング・ストーンズのデビュー曲でもある「Come On」を彼女が歌ってくれており、このパートも非常に楽しめる構成となっています。そしてライブ後半はマクレガンが再びフロントに立ってギグを終えているのですが、最新アルバムからの「La De La」がとてもステージ映えしており、幻と言っていいマクレガンのソロ・ギグをミラードが捉えてくれていたことに驚きを禁じえません。正にロック・マニア感涙の新発掘ミラード音源!Perkins Palace, Pasadena, CA, USA 27th March 1981 PERFECT SOUND (55:38) 1. Alligator 2. If It's Lovin' You Want 3. Little Troublemaker 4. Truly ★2:20周辺のおかしなところは元からです。(テープ不良) 5. Judy Judy Judy 6. Baby It's You (Renee Geyer vocal) 7. Everything Good Is Bad (Renee Geyer vocal) 8. Come On (Renee Geyer vocal) 9. You Don't Have Nothing (Renee Geyer vocal) 10. That's Alright Mama (Johnny Lee Schell vocal) 11. Casualty 12. Little Girl 13. La De La
Ian McLagan: vocal, organ, piano, guitars Johnny Lee Schell: guitars, vocal Ricky Fataar: drums, piano, bass, percussion, vocal Ray Ohara: bass Renee Geyer: vocal (guest)