盟友ピート・ウェイやローレンス・アーチャーと再建を果たし、日本にも戻ってきた1992年のUFO。その現場がリアルに甦るオリジナル録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1992年6月18日:名古屋ボトムライン公演」。その極上オーディエンス録音です。1992年の来日と言えば公式ライヴアルバム『LIGHTS OUT IN TOKYO』も残されたわけですが、もちろん本作は完全な別公演。良い機会でもありますので、当時の来日スケジュールを振り返ってショウのポジションを確かめておきましょう。 ・6月16日:大阪モーダホール・6月18日:名古屋ボトムライン ←★本作★・6月19日:クラブチッタ川崎・6月20日:クラブチッタ川崎 ←※公式LIGHTS OUT IN TOKYO 以上、全4公演。オフィシャルは最終日で「TOKYO」と題しつつ実は川崎というよくある話だったのに対し、本作の名古屋公演は2公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで真空パックした本作は、「極上」を画に描いたようなオーディエンス録音。何よりも素晴らしいのはド密着で力強い芯と超鮮明なディテール。本当に直近の公式ライヴがあるので「まるでサウンドボード」とは言いづらいのですが、普段だったら全力で言っているところ。その公式盤と比べても鋭いエッジは一歩譲るものの、手応えも鮮明さも負けていません。その要因はもちろん録音家のテクニックにあるわけですが、さらに会場も関係あるでしょう。何しろ、名古屋ボトムラインはスタンディングでも750名というライヴハウス。その密室感がリアルに感じ取れるのです。そして、その密室感がサウンドボードとはひと味違っていて最高に美味。密着しているのにほんのりとした空間感覚も感じさせ、演奏や歌声に得も言われぬ艶と伸びを与えている。フィル・モグのウェット・ヴォイスはさらに湿度を増していますし、ピートのグルーヴも黒飴の如き旨みを湛えている。さらに素晴らしいのがローレンスのギター。モグ&ライノットという2人のフィルに認められたギターのトーンが実に美しく、甘みや切なさが増しているのです。そんな極上の密室サウンドで描かれるのは、公式ライヴ盤とは似て非なるフルショウ。さすがに1992年のセットを暗記されている方も少ないでしょうし、ここで比較しながら整理しておきましょう。70年代クラシックス(8曲)・現象:Doctor Doctor/Rock Bottom・フォース・イット:Shoot Shoot・新たなる殺意:Too Hot to Handle/Love to Love/Lights Out・宇宙征服:Cherry/Only You Can Rock Me 80年代以降(6曲)・ヘヴィ・メタル・エクスペリエンス:Mystery Train(★)・暴発寸前!:Running Up the Highway/Borderline/She's the One/Back Door Man/One of Those Nights ※注:「★」印は公式盤『LIGHTS OUT IN TOKYO』で聴けない曲。……と、このようになっています。実のところ、70年代クラシックスも新作『HIGH STAKES & DANGEROUS MEN(暴発寸前!)』も公式ライヴと同じ。違うのはラストだけで『LIGHTS OUT IN TOKYO』の「C'mon Everybody」に対し、名古屋では「Mystery Train」が演奏されている。『NO PLACE TO RUN』からのレパートリー……と言うよりは、むしろスタンダード・ナンバーのカバーとしてアンコールに採用されたわけです。華やかな時代に追従するようなアトミック・トミーM時代から一転、盟友ピートと欧州ブルースロックへ回帰していたローレンス・アーチャー時代のUFO。思えば、その後のマイケル・シェンカー復帰やMOGG/WAY、さらには現代ヴィニー・ムーア時代へと続く道の第一歩でもありました。そんな刹那を極上サウンドで密室体験できてしまう秘宝のオリジナル・マスター「1992年6月18日:名古屋ボトムライン公演」の極上オーディエンス録音。本作だけのオリジナル録音で、何よりも素晴らしいのはド密着で力強い芯と超鮮明なディテール。録音家の技術はもちろんのこと、ライヴハウスの密室感が素晴らしく、バンドが目の前に感じられる。しかも、その密室感がサウンドボードとはひと味違って最高に美味で、演奏や歌声に得も言われぬ艶と伸びを与えている。公式盤『LIGHTS OUT IN TOKYO』では聴けなかった「Mystery Train」美味しい秘宝ライヴアルバムです。The Bottom Line, Nagoya, Japan 18th June 1992 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1 (49:01) 1. Intro 2. Running Up the Highway 3. Borderline 4. Too Hot to Handle 5. She's the One 6. Cherry 7. Back Door Man 8. One of Those Nights 9. Love to Love Disc 2 (40:24) 1. Only You Can Rock Me 2. Lights Out 3. Doctor Doctor 4. Rock Bottom 5. Shoot Shoot 6. Mystery Train Phil Mogg - lead vocals Laurence Archer - guitar, backing vocals Pete Way - bass Clive Edwards- drums Jem Davis - keyboards