ミック・ジャガー1988年のライブ活動は来日が実現したこともあって日本公演に注目が集まりがちで、アイテムに関しても圧倒的に日本公演ものが占めるという状況は現在も変わりません。次に行われたオーストラリア・ツアーは日本公演から半年のインターバルを開けていたこともあって構成が大幅に練り直され、特にセットリストのマニアックさ加減では日本公演を軽く凌ぐ興味深い構成に生まれ変わっていたのです。幸いにもこのツアーからは「DEEP DOWN UNDER」という素晴らしいテレビ・スペシャルが作られましたが、撮影用にセッティングされたホテル・ギグとの混成ということからオーストラリア・ツアーで聞かれた珍しいレパートリーがことごとくカットされてしまう結果となってしまいました。それ以上にオーストラリア・ツアーのオーディエンス録音というのが希少で、その昔「CAN'T YOU HEAR ME ROCKIN'?」というミック88年のライブ音源の寄せ集めCDでレア曲のオーディエンス録音がかろうじてCD化されていた程度。むしろ本ツアーは現在に至るまでベールに包まれていたと言っていいかもしれません。そうした中9月27日のシドニー公演がネット上で公開されたのです。あいにくとライブ終盤を録り損ねた不完全収録としてトレーダー間に以前から出回っていた音源だったのですが、今回はオーストラリアンテーパー「Way From Oz」自身が録音したマスターが初めて公開されるという大変に意義のある発掘となりました。音質は典型的なカセット・ウォークマン的なクオリティな上、「Ruby Tuesday」などライブ序盤でテープのヨレが散見されたことからリリースとなってしまったのですが、それでも十分に聞きこめるクオリティな上、内容があまりにも貴重。ミックのソロバンドらしいタイトな演奏の切れ味がマッチした「Can't You Hear Me Knocking」、セカンド・ソロアルバムのタイトル曲ながらオーストラリアにてレパートリーに加えられた「Primitive Cool」はメロディの良さがライブ映えしています。これまたソロバンドのタイトな演奏が新鮮な「One Hit」、さらにはこの日からセットリストに組み込まれた「Rip This Joint」のハイテンションな演奏も実にこのバンドらしい。残念ながらこの曲の途中で録音が終わってしまうのですが、本ツアーではこの曲でサイモン・フィリップスのドラム・ソロが組み込まれていたことが分かるのも面白い。こうしてライブ全体を聞いてみると、いよいよ日本公演とは別物な構成であったことを思い知らされるでしょう。これほど貴重な内容で音質もアナログチックで十分に聞きやすい。こうなるとストーンズ・ナンバー連発だったライブ終盤の欠損などマニアには録るに足らない問題に映ってしまうのでは。それほどまで聞きどころの多い内容なのです。おまけにオーストラリア・ツアーのプロモーションを兼ねて7月に同地で放送されたリハーサルから初期ストーンズのレパートリーであった「I’m A King Bee」の断片とオーストラリア到着時のインタビュー(かなり真剣に受け答えしています)まで収録。これぞマニアが聞きたかった貴重音源ではないでしょうか。Sydney Entertainment Centre, Sydney, Australia 27th September 1988 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(NEW SOURCE) Disc 1 (58:57) 1. Intro / Throwaway 2. Just Another Night 3. Lonely At The Top 4. Honky Tonk Women 5. Miss You 6. Tumbling Dice 7. Radio Control 8. Ruby Tuesday
9. Can't You Hear Me Knocking 10. Harlem Shuffle 11. Lucky In Love 12. Primitive Cool 13. War Baby Disc 2 (45:28) 1. You Can't Always Get What You Want 2. Band Introductions 3. One Hit Too The Body 4. Foxy Lady 5. Party Doll 6. Wild Colonial Boy 7. Bitch 8. Rip This Joint Bonus Tracks
9. I'm A King Bee Ch 9 News 12th July 1988 10. Mick Jagger Interview By Richard Wilkins Ch 9 MTV Australia 17th September 1988 Mick Jagger - Vocals, Guitar, Harmonica Joe Satriani - Guitar Jimmy Rip - Guitar Doug Wimbish - Bass Simon Philips - Drums Susie Davis - Keyboards, Backing Vocals Phil Ashley - Keyboards Bernard Fowler - Backing Vocals Carol Kenyon - Backing Vocals Jenny Douglas - Backing Vocals Valerie Scott - Backing Vocals