まずDisc:1には74年UKツアーより4月30日バーミンガム、タウン・ホールでのライブをサウンドボードにて1時間弱にわたり収録。ボード音源ながら、一部音切れする箇所もあり、マスターの保存状態と経年劣化により近年のステレオ・ライン等には及ばないものの、既流出ソースよりはノイズ等は軽減されており、何より時期的には演奏も内容もベストと云え、翌年の演奏などと比較すると緊張感の差は歴然。ショーはいきなり、まだこの時点では未発表の「The Rotter’s Club」のメインとなる”Your Majesty Is Like a Cream Donut”からスタート。その後はデビュー・アルバムの曲を中心に演奏が続く中、そのほとんどがメドレー形式で組曲のごとく展開し、これぞカンタベリーといえるジャズ・インプロヴィゼーションを主体とした高度な演奏を披露。そしてその合間を縫うように入るR・シンクレアの叙情的なヴォーカルも素晴らしく、小品で構成されたアルバムの曲を組み替え複雑なアレンジでプレイ。また終盤”Rifferama”におけるP・ミラーとD・スチュワートのインタープレイを中心にした疾走感溢れるアレンジも必聴。そしてDisc:2にはバンド最晩年期となる1975年4月28日ロンドン公演の模様を、当時としてはまずまずのオーディエンス・レコーディングにて収録。こちらはリリースしたばかりのセカンド・メインのセットとなっている中、オープニングが一部カットされていたり、途中音切れもあるものの、例のアルファベットの歌もあり、アルバムに近い構成で。そして後半各自のインプロが入りドローン状態になり、オルガン・ソロ、ヴォーカル、エレピ・ソロとなってフェイド・アウト。そして”The Yes No Interlude”で フェイド・インし、途で"Tenemos Roads" のリズムになり、その後はメドレーで切れ目無しにプレイ。音質はモノラル気味で低音が弱く、フィードバック・ノイズが入るところもあるものの、変幻自在なリズム・セクションに歪んだオルガン、繊細なギターが一丸となり、これぞカンタベリーと云える展開に。こちらはトータル40分弱ながら、カンタベリー/ジャズ/プログレ・ファンなら必聴の2パフォーマンス。