1975年の来日ライブに関しては、全マイルス・ファンが認める2月1日大阪の昼夜公演を収めた名作オフィシャル「Agharta」と「Pangea」、さらにはそれ以上の内容とクオリティーと云われる1月22日初日となる東京新宿厚生年金会館公演などの音源が存在する中、演奏クオリティーはベスト!と称される最終日前日であり、東京公演3日目となる2月7日、新宿厚生年金会館でのライブを、過去最高と云えるベスト・クオリティー、オーディエンス・レコーディングにてコンプリート収録。まず特筆すべきは、ネット等でも流通し話題となった完全マスター・テープの発掘により、今回これまでカットされていた中間部も全て収録されており、さらに当時のカセット・マスターからのダイレクトCD化ゆえ、音の鮮度や音圧、さらに臨場感も文句なしで過去流通とは一線を画すクオリティーにてここに。そしてこの日の演奏が本ツアーで最高と云われるのは、「Agharta」や「Pangea」がライブ・レコーディングを意識した、やや抑え気味の演奏だったのは真逆で、この夜は何にも囚われないフリー・フォームかつ、柔軟な構成で展開されているため。まずオープニングの”Prelude”からしてしてテンポは通常より速く、ソロの順番も違い、続く”Maiysha”も同様でこちらはさらに冒頭は全く別のアレンジ。そして今回初めて陽の目を見たのは”Zimbabwe”終了後に再度バンドはチューニングと音合わせをしているパートで、その流れから再びチューン・アップし、”Turnaroundphrase”に突入するあたりは鳥肌もの。さらに最後に再び登場する”Prelude”はアル・フォスターの長尺なドラム・ソロもきっちりと収められており、この時点でマイルスはすでにステージを降り、ホテルに向かう車中だったというのは有名な話。とにかく狂乱の75年ジャパン・ツアーの中でも、最もフレキシヴィルだったと云われる公演をカンペキなクオリティーで収録したファン必聴のトータル1時間40分。