Canandaigua 1994 (以下2CD)は、トレヴァー・ラビン時代のフルショウを極上ステレオ・サウンドボードで聴ける“オフィシャル代わり”盤。DVDもこれまた“オフィシャル代わり”になり得るフル・プロショットをお贈りします。本作は「1994年9月20日サンチャゴ公演」のテレビ放送。放送前の大元マスターをそのままデジタル化したものと言われ、“TALK TOUR 1994”の代表映像と知られるマルチカメラ・プロショットです。そのクオリティは、まさにオフィシャル級。実際、そのまま公式化してもおかしくないほどの鮮度と画質は驚異的で、ツアーはおろか“90125 YES”3つのツアーを見渡しても最高傑作たる1本なのです。ただし「完全にオフィシャル作品っぽいか?」というと、やや違う。現地放送のデータがないので分かりませんが、生放送だったのか、放送の大元だからか、非常に生々しい。例えば、開演時。編集された放送や公式作品なら早々に演奏に突入するところですが、本作では暗転からメンバーの登場までが長め。まさに今、メンバーがステージに向かっているという感じの“間”がリアルタイム感になっているのです。さらに「生演奏」に最重視したミックスも生放送っぽい。1曲目こそ歓声もていねいにミックスされていますが、ショウが進むにつれ、演奏中の歓声がなく「生演奏」だけになる。映像では曲中も観客が大いに盛り上がっているのに、その声が聞こえないのはやや不自然にも感じますが、その分、楽音の機微と美しさが溢れ出す。編集映像なら楽音と熱狂のバランスも熟考の上で演出できますが、本作ではとにかく「生演奏」の妨げになりそうな要素が排除される。この辺が生放送っぽさになっているのです。このように、現場の臨場感にはやや不適な本作ですが、演奏の臨場感は満点。その仕上がりが殊更に嬉しいのも、本作で描かれているコンサートそのものがあまりにも素晴らしいから。“TALK TOUR 1994”の最終公演地は日本でしたが、南米はその直前にあたる。それだけに演奏はこれ以上ないほどにこなれており、“90125 YES”の最終到達点に間違いない。バンマスでもあった才人トレヴァー・ラビンの目指した完成度の高いロック世界が全開で、キャッチーでありながらフレーズ1つ、コーラス1つに至るまで計算されたアンサンブルが見事。しかも、場数を踏んだことで精緻ではあっても危うさ皆無で安定感バツグンに披露されていくのです。さらには、ツアー序盤だった本編プレス2CDでは聴けない「Perpetual Change」やジミ・ヘンドリックスのカバー「Purple Haze」のオマケまで付いています。ついぞオフィシャルで真価を残せなかったラビン時代のYES。しかし、その真実の姿は「YES史のひとつの頂点」と呼ぶに相応しい。高度で楽しく、それでいて美しいロックに溢れていた。そんな“TALK TOUR 1994”の序盤を極上ステレオ・サウンドボードで聴ける2CDに対し、ツアー終盤を特級マルチカメラ・プロショットで目撃できる本作。
Live at Centro Cultural Estacion Mapocho, Santiago, Chile 20th September 1994 PRO-SHOT
1. Intro 2. Perpetual Change 3. The Calling 4. I Am Waiting 5. Rhythm Of Love 6. Hearts 7. Real Love 8. Tony Kaye Piano Solo 9. Changes 10. Heart Of The Sunrise 11. Make It Easy 12. Owner Of A Lonely Heart 13. Rabin Piano Solo 14. And You And I 15. I've Seen All Good People
16. Walls 17. Endless Dream 18. Roundabout 19. Purple Haze
Jon Anderson - Vocal Trevor Rabin - Guitars Chris Squire - Bass Tony Kaye - Keyboards Alan White - Drums
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 147min.