
世界のサバス・マニアから“不可避の1本”・“失われた5年間の四部作”と称される名映像が登場です。いきなり“失われた”と言われても混乱されるだけでしょうが、これは1作ごとにメンバーがコロコロ変わった時代のこと。スタジオ・アルバムで言うところの『BORN AGAIN』から『THE ETERNAL IDOL』時代(1983年-1987年の5年間)のことです。それまでのオジー・オズボーン時代&ロニー・ジェイムズ・ディオ時代、さらにはその後のコージー・パウエル時代以降は、フルのサウンドボード・アルバムもプロショットも存在しますが、この“失われた5年間”には、フル・サウンドボードさえなく、映像に至ってはオーディエンス・ショットがかろうじて残されているに過ぎないのです。その“失われた5年”の映像、良い機会ですので整理してみましょう。
●イアン・ギラン時代=『MONTREAL 1983』・1983年8月21日ヘルシンキ公演(4曲のみ)・1983年10月21日モントリール公演(カナダ)●グレン・ヒューズ時代=『GLENN’S 2ND GIG』・1986年3月22日デトロイト公演(アメリカ)●レイ・ギラン時代=『RAY’S 3RD GIG』・1986年4月1日モントリオール公演(カナダ)
●トニー・マーティン時代(コージー以前)=【本作】・1987年11月22日エッセン公演(西ドイツ)
……以上、4作。“HEADLESS CROSS TOUR”からはプロショット『HEADLESS IN RUSSIA DEFINITIVE EDITON』を始めとして傑作映像がいくつもありますが、こと“1983年-1987年”には、各時代を代表するフル映像は1本ずつしかない。本作は、その最後の1ピースとなる映像。これこそが“失われた5年間の四部作”と呼ばれる所以なのです。そんな貴重極まりない本作のクオリティは、実にヴィンテージなオーディエンス・ショット。こう書くと「曲も判別できない轟音グシャグシャ映像」を想像されるかもしれませんが、そうではありません。さすがにサウンドは「まるでサウンドボード」とは呼べませんし、ブレーメン公演の歴史的大傑作ライヴアルバム『SAKUNTALA』があるために「ツアーNo.1」とも言えない。しかし、“頂点”とは言えないというだけの次元であり、当時としては素晴らしくクリアなサウンドなのです。そして、そのサウンド以上に強力なのが光景。撮影ポジションは、ステージ右寄り(トニー・アイオミ寄り)の2階席で、遮蔽物一切なしのアングルでステージ全景をビシッと押さえきっている。しかも、ホームビデオが普及しつつあった“1987年”の時代に似つかわしくないアングルが素晴らしい。光景がやや斜めなので迷いどころですが、(恐らく三脚を使っていると思われる)手ブレの一切ない安定感が圧倒的に見やすいのです。そのクオリティで描かれるのが、サバス史上でもド級のレア度を誇る“THE ETERNAL IDOL TOUR 1987”の本生。何よりも、このツアーだけの「Born To Lose」「Glory Ride」が激レアなわけですが、それに止まらず定番曲でも貫くリオズム隊のニュアンスが珍しい。ベースにはフレディ・マーキュリーのソロ作『MR. BAD GUY』にも参加したジョー・バート、ドラムにはTHE CRASHのテリー・チャイムスが担当しており、そのストレートで奇をてらわないビートは“THE ETERNAL IDOL TOUR 1987”だけのもの。正直な話、「オリジナルを知らないね?」と言いたくなるシンプルさでもあるのですが、だからこそ浮き立つレア感から猛烈なヒストリカルな匂いが立ち上る。そして、それ以上に強烈なのがトニー・マーティン。彼の音楽家としての本領は自分がメロディを書いた『HEADLESS CROSS』以降にあるわけですが、こと“発声”に関しては、このツアー以上に素晴らしいものはない。まだ“キャット”と名乗っていた若々しい声は、レイ・ギランに匹敵するほど綺麗にハイが伸び、ロニーの難曲だろうが難なくこなす。ブレーメン公演のプレス2CD『SAKUNTALA』こそがマーティンのキャリア・ハイであることに揺るぎはありませんが、本作はその3日前にあたり、肉薄する極上の歌声を聴かせてくれるのです。兎にも角にも、単なる“貴重”という次元を超え、後にも先にも1本しかない“THE ETERNAL IDOL TOUR”のフル映像。これまでは宣伝用写真でしかお目にかかれなかった“白マフラーのマーティン”が動き、「Born To Lose」「Glory Ride」を絶品に歌い上げる1枚です。イアン時代の『MONTREAL 1983』・グレン時代の『GLENN’S 2ND GIG』・レイ時代の『RAY’S 3RD GIG』と共に、“失われた5年間の四部作”の最後の1ピースとなる歴史的映像傑作。その最良・最高版。
Live at Pink Palace, Essen, Germany 22nd November 1987 (85:23)
1. Supertzar 2. Neon Knights 3. Children Of The Sea 4. Die Young 5. Drum Solo 6. Iron Man 7. War Pigs 8. Born To Lose 9. Black Sabbath 10. Glory Ride 11. Heaven And Hell 12. Children Of The Grave 13. The Shining 14. Paranoid
Tony Iommi - Guitar Tony Martin - Vocal Jo Burt - Bass Terry Chimes - Drums Geoff Nicholls - Keyboards
COLOUR NTSC Approx.85min.