
「MOB RULES」のリリース後、'82年2月中旬からスタートしたアメリカツアーでは、4月24日のシアトル公演、5月12日のダラス公演、5月13日のサンアントニオ公演の3会場で公式レコーディングが行われ、後にバンド最初の公式ライヴアルバム「LIVE EVIL」としてリリースされました。そのうちダラス公演においては映像の撮影も同時に行われており、海外マニアの間では数種類の16mmフィルム・リールが確認されています(一説にはライヴアルバムのPR素材として撮影されたと言われます)。これらのフィルムに収められたフッテージは元々サイレントでしたが、ファンの間ではこれらの映像に「LIVE EVIL」から同日のダラス公演の音声を重ねたものが知られています。しかしそれらの多くは映像と音声がズレていて、ライヴの雰囲気を"知る"事はできても、"楽しむ"事はできませんでした。今回は海外から、何とこのフィルム映像と音声を完璧にシンクロさせた驚きの上級素材が登場! 貴重な映像と優れたサウンドの調和は、1曲目の「The Mob Rules」からファンを驚かせる事間違いなし。年代を感じさせる色調も、フィルムらしい味わい深い質感を湛えています(画面下に表示されたタイム・カウンターも、関係者流出といったアングラなムードを感じさせます)。続く「N.I.B.」や「Children Of The Sea」もアイオミのプレイとヴィニーのドラムに音声がバッチリとかみ合い、自然な印象で観る事が出来ます(ロニーの歌とメロイック・サインが見事に一致している「N.I.B.」は必見です)。ステージから引いた構図での「Voodoo」は、ロニーのアクションを参考に音を当てはめたと思われますが、その場面と音を一致させた海外マニアの知識と実行力には、驚きを通り越して呆れてしまうほどです。本映像のハイライトは「War Pigs」と「Heaven And Hell」でしょう。「War Pigs」ではカメラマンがオーディエンスに分け入って、ステージを前列から見上げるような臨場感溢れるショットで収めています。要所で見せるロニーへのズームも的確で、迫力ある画面には思わず見入ってしまいます。そして「Heaven And Hell」はロニーがMCを行う冒頭部分から収録。イントロにおけるロニーと観客のコール・アンド・レスポンスの様子が判る場面などは、まさに映像ならではの見所。熱心なSABBATHマニアでさえ「実際にはこのように行われたのか」と唸らされる事でしょう。「Iron Man」でのロニーの歌唱や、アイオミのギターソロでのフッテージも、フィルムに最初から音声が付いていたとしか思えない程のはまり方です。このフィルム映像は確認されている全編で25分ほどが存在しますが、それらは全てサイレント。さらに場面ごとに分散していて、本来はひとつの曲としてまとまってはいません。これら(場所によっては数秒単位の)断片的な映像だけから曲を判断し、狂い無く音声を当てはめていくシンクロ作業がいかに凄い事か、マニアの方ほどお判りになるのではないでしょうか。何も考えず単純に映像へ音を被せる事は簡単ですが、そこには"価値"はありません。しかし映像の中身を正確に判定し、入念な作業を経て同日の音声で蘇らせた本映像には、公式級(いやそれ以上!)の価値と意義が存在します。本作は全編でわずか13分に過ぎないとは言え、その13分を生み出すために費やされた時間と手間隙は全く計り知れません。本当にBLACK SABBATHが好きでなければ、このレベルでの映像と音声のシンクロは絶対に成し得ないのです。本作こそまさに「SABBATHマニアが同好のマニアに贈る」究極のライヴ映像と言えるでしょう。
Live at Dallas Convention Center Arena, Dallas, Texas, USA 12th May 1982 PRO-SHOT
1. The Mob Rules 2. N.I.B. 3. Children Of The Sea 4. Voodoo 5. War Pigs 6. Drum Solo 7. Heaven And Hell 8. Iron Man 9. Guitar Solo
Tony Iommi - Guitars Ronnie James Dio - Vocals Geezer Butler – Bass Vinny Appice - Drums Geoff Nicholls - Keyboards
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.13min.