
ブレイズ・ベイリー時代のフル収録サウンドボード/プロショットは5本。本作は、その中でも“特別な1本”。ブレイズMAIDENのラスト・コンサートをマルチカメラで収録したフル・プロショットです。ブレイズMAIDENのラストとは、“VIRTUAL XI WORLD TOUR 1998”の最終公演「1998年12月12日ブエノスアイレス公演」のこと。このライヴは、当時テレビ放送され、長らくブレイズ時代の定番のひとつとして知られてきました。本作は、そんな定番プロショットのベスト・バージョンで、近年になって出回ったマスターを使用。もちろん、90年代の南米放送だけに「オフィシャル級」とは呼べませんが、ノイズまみれ劣化まみれだった既発とは次元の違う映像美をたっぷりと楽しめます。そのクオリティで描かれるブレイズ最終公演は、とにかく熱い。とんでもなく熱い。ブレイズが在籍した1995年—1998年というのは、ヘヴィメタルの歴史的大逆境時代でした。かのロブ・ハルフォードでさえ「メタルは死んだ」と言って別の音楽へ走り、ラーズ・ウルリッヒも「ロックリカでもいいかもね」と戯れ言を吐いていた時代。それこそ、ニューウェーヴ旋風が吹き荒れたデビュー前さえも超える大逆風の真っ直中だったのです。そんな中で“ヘヴィメタルであること”を守り続けていたのがIRON MAIDENであり、フロントに立つブレイズでした。本作に詰まったライヴには、そんな信念が燃えているのです。今から振り返ると、ブルース・ディッキンソン時代の曲をギリギリで歌うブレイズの姿が揶揄されがちですが、逆を返せば“ギリギリにも関わらず果敢に攻める情熱”でもある。肉体的に無理なメロディであっても客に放り投げず、フェイクに逃げず、グッとマイクを握りこんで戦い続ける闘志。これは、かつて私たちがゲイリー・バーデンに感じたものでもありますが、ブレイズは他人の曲でやってのけた。しかも、彼の熱闘には悲壮感がない。“歌わされてる感”も“がんばってる俺”もなく、ただひたすら全イニングの全力投球で観客を楽しませることしか考えてない。IRON MAIDENに復帰直後のディッキンソンは「ブレイズは凄いよ。他人の曲を大量に、それも毎晩全力で歌うなんて俺には無理だ」と語っていましたが、これは同業者としての本音でしょう。その闘志、泥臭いまでの“努力と根性”がなぜか爽やかに感じられる。そんなフルショウが画面いっぱいに広がるのです。その上、本作は南米というのも大きい。前述したメタル大逆境時代にあって南米は、日本と共にメタルバンドの命脈となって支え続けた。多くのバンドに自信を取り戻させた南米の熱狂は本作にも渦巻いており、それを目の当たりにした熱演。ブレイズも、あまりの熱さがよほど嬉しかったのか、ハンディ・カメラで客席を撮影する姿も見られる。炎の漢ブレイズの全力投球を、全力で打ち返す大観衆。歴史的大逆境の中でも、ヘヴィメタルは輝いていた。本作こそ、その確かな証拠。「世界的に売れるかどうかなんて問題じゃない。誰に知られる必要もない。俺たちが分かってればいい」……そんな想いがステージを挟んで交錯する幸福な光景なのです。ディッキンソン復帰への動きが始まるのはツアー終了後であり、この時点ではスティーヴ・ハリスもブレイズも、まさか最終公演になるとは思っていなかったでしょう。「今夜でツアーが終わるんだ。また会おうぜ」と語るブレイズは、満足げにニヤッと笑う。惜しみながらもツアーをやり遂げた自信と喜びに満ちて本作は終了します。その後、急転直下の大異動で6人編成IRON MAIDENが誕生。そして、シーンの王座どころか“ヘヴィメタル”そのものさえ蘇らせてしまいました。確かに、その歴史的偉業はブレイズでは無理だったでしょう。しかし、ディッキンソンが脱退した1993年に「解散も考えた」というスティーヴ・ハリスを思い止まらせ、メタル大逆境の5年間を生き長らえさせたのは、ブレイズです。その魅力・功績は歌唱力で計れるものではない。“ライヴの熱さ”。その最大の輝きを目と耳で実感させてくれる最終公演プロショットです。
Live at Velez Sarsfield Stadium, Buenos Aires, Argentina 12th December 1998 PRO-SHOT (1:51:49)
1. Dance Of The Knights 2. Futureal 3. The Angel And The Gambler 4. Man On The Edge 5. Lightning Strikes Twice 6. Heaven Can Wait 7. The Clansman 8. When Two Worlds Collide 9. 2 Minutes To Midnight 10. Sign Of The Cross 11. Afraid To Shoot Strangers 12. Hallowed Be Thy Name 13. The Evil That Men Do
14. Fear Of The Dark 15. Iron Maiden 16. The Number Of The Beast 17. The Trooper 18. Sanctuary
Blaze Bayley - Vocal Steve Harris - Bass Dave Murray - Guitar Janick Gers – Guitar Nicko McBrain - Drums
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.112min.