1998年2月20日に国営衛星放送にて放送された1時間15分に及ぶ、国内最長のリッチー・ブラックモア特集番組を超高画質映像で初DVD化。番組タイトルは「リッチー・ブラックモア・ストーリー~ロック伝説の肖像~」。提供者はその驚異的画質にディープなファンも驚いた、同時期のテレビ放送番組「キッス LIVE HISTORY ~奇蹟の復活スペシャル~」のビデオマスターの所有者です。キッス同様に、当時の録画映像としては、最上級の画質・音質で、今回も貴重な特番を楽しむことができます。全編に渡って登場するリッチーのインタビュー映像は、ダークでミステリアスなムードを出すためか、リッチーのライティングは片光線でやや暗めの処理がされており、日本のインタビューには珍しく雰囲気のあるものとなっております。このような映像は質の悪い録画ビデオでは、彼の表情が掴みづらかったりするのですが、本盤は、赤・青・黒の発色も大変綺麗にでており、ストレスなく画面に見入ることが出来ます。冒頭からパープル、レインボー時代のカッコ良いギターソロシーンとギター・クラッシュ3連発に、ファンは大いに興奮させられるでしょう。まさに「掴み良し」の素晴らしいオープニングです。続くBlack Nightでは「マシンヘッド・ライブ」でお馴染みの1972年3月1日のコペンハーゲン白黒映像前半・後半に、中間に「Come Hell Or High Wate」の1993年11月9日のバーミンガム公演の映像を挟み込むという荒技編集に「こんなのわざわざ作って放送しちゃうなんて凄いな~」と、当時の製作担当者の意気込み・センスに圧倒されます。続いてはリッチーのバイオグラフィ・パート。内容はリッチーの謎に包まれた出生の時期からスタート。10代のセッション時代、そしてドイツでの活動時期を経て、ジョン・ロードらの誘いでパープルを結成、次第にハードロック色を打ち出すことで、商業的成功を掴んでいく様子をお馴染みの映像と、1997年東京で収録されたインタビューを交えて語られます。ライヴ映像素材はお決まりのモノばかりですが、製作者のミュージシャンへの愛情が伝わってくる見事な抜粋・編集がなされており、テンポの良い内容ながら、「聴かせるところは聴かす」という音楽ソフトの最重要な部分もある程度しっかりと守られており、楽しく画面に見入ることができます。ギラン→カヴァーデイルのボーカリストチェンジに関してのリッチーのインタビューでは「イアン・ギランと仕事をするのは難しかった。お互い無遠慮だし、熊が向かい合っているようなもので、生き方も相容れなかった。1972年ごろ、彼がいつもの声の調子を崩して、僕はそれがプロとして許せなかった。ロジャー・グローバーはロックを愛していなかった。」「カヴァーデイルは声が気に入ったからオーディションをした。そして彼を「改造」したんだ。オーディションの時の彼は太っててひげ面にメガネをかけてた。ロックぽくなかったから、メガネを取り、髭を剃らせ、ダイエットをさせたのさ。」等と言いたい放題。カリフォルニア・ジャムでのアンプ爆発の顛末も彼の言葉での説明されると状況が判ってながらも非常に興味深いものです。ここまでが前半の30分。次はレインボー時代。フィーチャーされているのは、お馴染み1976年ヒューストンの映像を使用した「Tour Documentary」。相変わらずライヴ音声はイマイチですが、流石に国営放送ということもあり、画質のクオリティかなり良好です。ロニー脱退期を思い出してのリッチーのインタビューがまた面白く「フランスにいたとき、シンガーがいなかった。グラハムの評判を聞いて、オーディションした。数曲歌ったけど変な歌手だった。ブルースに全然興味が無いんだ。ロジャー・グローバーが言うんだ「素晴らしい声以外、良いところはなにもない!」」。直後に流れるAll Night LongのPVはインタビュー効果もありかなぜか可笑しくなってしまいます。以降はプロモと82年のサンアントニオ公式ライヴをミックスしながらジョー・リン時代のレインボーを楽しませてくれます。次は1984年のパープル再結成パート。ジョーの途中加入はエピソード上無視されていますが、「Perfect Strangers」からのプロモ2曲と、1993年バーミンガム、そしてリッチー以外のパープルのメンバーのインタビューで構成されています。ジョン・ロードの最後の「あの男に頼る人生じゃダメだ」という言葉はなかなか重みがあります。1995年再結成レインボーは時間の都合なのか完全にすっ飛ばしており、最後の15分はBlackmore's Nightオンリー。キャンディスが登場するインタビューは部分的に「Beat File」と重なるシーンもありますが、リッチーのソロインタビューはやはりここでしか見れない貴重なもの。「スタジオでハードロックをやるとむかついた。スタジオでハードロックをやるのは退屈なだけで楽しくなかった。レインボーのレコーディングをしていて「これは変だ」と思った。好きでもない曲をレコーディングして、レコーディングしない曲を楽しんでる。」「個人的には、この10年から15年、創造性を促すレコードが少ないと思う。昔の焼き直しってバンドが多いよ。66年から75年ぐらいまでは良い物は売れた。ジェスロ・タルみたいに良ければ売れたんだ。」というリッチー自身の言葉に、時代を生きたミュージシャンの心の葛藤を感じます。直後のジョン・ロードの弾くラグタイム風Smoke On The Waterはナイスなインサート。(寂しい気持ちになります。)ラストの締めはやっぱりこの曲のSmoke On The Water!74年カリジャム→82年テキサス→93年バーミンガム→74年カリジャム→82年テキサスという凄い編集が成されており、Smoke On The Waterの歴史を観れる一見の価値あるものとなっております。今更ではありますが、この曲の74年カリジャムのギターソロはプレイ、カメラアングルとも非常に印象的ですね。75分という時間の長さを感じさせない、非常に高品質なリッチー特番。こういった番組を手間暇かけて、国営テレビで放送できたところは、まだまだ洋楽が、その力強さをキープしていた90年代らしいエピソードと言えるかもしれません。多くのリッチー・ファンがビデオ録画して楽しんだはずの、まさにワン&オンリーのプログラム「リッチー・ブラックモア・ストーリー~ロック伝説の肖像~」を、どうぞ最高画質でお楽しみ下さい。オリジナル・メニュー付き。
Broadcast Date: 10th February 1998 (74:54)
1. Introduction DEEP PURPLE 2. Black Night (Copenhagen, Denmark 1st March 1972 & Birmingham, UK 9th November 1993) 3. Interview with Ritchie 4. Guitar Solo (Lazy) (Copenhagen, Denmark 1st March 1972) 5. Interview with Ritchie 6. Hush(BGM) 7. Interview with Ritchie
8. Concerto For Group And Orchestra (London, UK 24th September 1969) 9. Interview with Ritchie 10. Highway Star (Copenhagen, Denmark 1st March 1972) 11. Child In Time (BGM) & Interview 12. Burn/Guitar Solo (California Jam 6th April 1974)
13. Interview with Ritchie 14. Guitar Crash RAINBOW 15. Tour Documentary 1976 Intro 16. Interview with Ritchie 17. A Light In The Black/Interview/Man On The Silver Mountain (Houston, Texas 10th July 1976) 18. LA Connection (PV) 19. Long Live Rock 'n' Roll (PV)
20. Guitar Crash(Houston, Texas 10th July 1976) 21. Interview with Ritchie 22. All Night Long (PV) 23. Since You Been Gone (PV) 24. Miss Mistreated(San Antonio, Texas 18th August 1982) 25. I Surrender (PV) 26. Long Live Rock 'n' Roll (San Antonio, Texas 18th August 1982)
27. Guitar Crash (San Antonio, Texas 18th August 1982) DEEP PURPLE(REUNION) 28. Interview with Ritchie 29. Perfect Strangers (PV) 30. Knockin' At Your Back Door (PV) 31. Highway Star (Birmingham, UK 9th November 1993) 32. Interview with Ian Paice/Jon Lord
33. Guitar Solo (Child In Time) (Birmingham, UK 9th November 1993) 34. Interview with Ian Paice/Roger Glover/Ian Gillan/Jon Lord 35. Guitar Solo (The Battle Rages On) (Birmingham, UK 9th November 1993)
BLACKMORE'S NIGHT 36. Renaissance Fair (PV) 37. Interview with Ritchie 38. Interview with Ritchie & Candice 39. Shadow Of The Moon (PV) 40. Interview with Ritchie 41. Jon Lord plays Smoke On The Water on ragtime piano
42. Smoke On The Water (California Jam 6th April 1974 & San Antonio, TX, USA 18th August 1982, Birmingham, UK 9th November 1993)
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.75min.