本作が撮影されたのは「1980年9月14日セントポール公演」。2CDの5日前であり、ショウとしては3公演前にあたるコンサートでした。そのショウを記録した本作は、極めて美しいオーディエンス・ショットです。本作最大のポイントは、オーディエンス撮影の黎明期とは思えない絶品の映像美。ビデオカメラの普及まではまだ間があり、本作は8ミリフィルムによるもの。そのため、ショウの16曲が細切れに撮影されており、25分間でショウをダイジェストするタイプの映像なのです。しかし、その美しさは絶品。2005年に突如登場したのですが、会場前方の10列目付近から見つめるステージは遮蔽物ゼロ。すぐ目の前にいるメンバーだけが画面を占領する超絶景。もっとも近いシーンではフレディやブライアンの上半身が画面いっぱいになる近さなのです。しかも、安定感が凄い。何かの許可を得ていたのか、オーディエンス撮影が一般的でない時代の大らかさなのか、三脚を使っているとしか思えないビシッとした視点が凄い。フィルムならではのヴィンテージな色合いではあるものの、カメラワークそのものはプロショットとなんら変わらないのです。更に加えて、音声も異常。撮影者が別機材で録音したオーディエンス録音をシンクロさせているのですが、これがまた距離感ゼロの凄まじさ。観客の息吹も吸い込まれているのでサウンドボードと間違えたりはしませんが、そのクリアさはそんじょそこらの放送さえ蹴散らす。この音声だけでも、もしフルで残っていたらCD化確実なのです。その映像美で残されたショウがまた素晴らしい。ヒゲを蓄え始めたフレディはキレのあるアクションと伸びに伸びる歌声を披露し、ド迫力のパーカッション・ソロで見せるロジャーも気迫たっぷり。前述の通り、ダイジェストなのでフルショウをうかがい知ることはできませんが、数秒単位の映像美から吹き出すエネルギーは圧倒的。まさに全盛と呼ぶに相応しいショウが繰り広げられるのです。特に嬉しいのは「Mustapha」。この曲の映像は極めて珍しく、しかも本作では1曲フルで収録されている。撮影者が知っていてカメラを回していたかは分かりませんが、そのレア・シーンを超ハイクオリティで体験できるのです。残されているだけでも奇跡的にも関わらず、それどころではないクオリティと気品に充ち満ちた映像作品。全盛期のQUEENを客席から、それも特等席から見つめるとはこういうこと。本編プレス2CDの“向こう側”を覗き見させてくれるだけでなく、二度と不可能な夢の体験を教えてくれるヒストリカルな大傑作映像。
Live at Civic Centre, St. Paul, MN, USA 14th September 1980
1. Let Me Entertain You 2. Play The Game 3. Mustapha 4. Death On Two Legs 5. Killer Queen 6. I'm In Love With My Car 7. Love Of My Life 8. Keep Yourself Alive 9. Get Down Make Love
10. You're My Best Friend 11. Save Me 12. Now I'm Here 13. Guitar Solo 14. Crazy Little Thing Called Love 15. Bohemian Rhapsody 16. Tie Your Mother Down
COLOUR NTSC Approx.24min.