THE WHOにとって1969年は特別な年となった。前年秋からレコーディングを始めたアルバム『TOMMY』を発表し、ロックとオペラを融合させたコンセプト・アルバムはアーティストとして更なる高みに登る評価を得る事になる。このアルバムは現在でもTHE WHOの代表作であるのみならず、様々なカバーを生むロックの名盤として現在でも名高い。このアルバムをテーマとした映画化、オーケストラ化、ミュージカル化、またTHE WHO自身による再現ライブなども行なわれ、アルバム収録曲は現在でもTHE WHOのライブにおける重要な位置を占めている。『TOMMY』がリリースされたのは1969年5月であるが、レコーディングの合間を縫って1969年1月からツアーに出ており、1969年4月後半のステージでは既に未発表であった『TOMMY』の楽曲を披露している。しかしこの時点では、ステージにそぐわないと考えられた数曲が割愛された形でのセットリストであったが、その後はほぼ全曲をステージで再現することになる。1969年という年はTHE WHOにとってのみならず、ロックにとっても特別な年であった。歴史的なウッドストック・フェスティバル、ワイト島フェスティバルなど、後年まで語り継がれる重要なイベントが行なわれた年でもあり、神の配材か偶然にも『TOMMY』をリリースした直後のTHE WHOと時代が交錯し、いずれのステージにもTHE WHOはパフォーマンスを行なっている。そステージの中心となったのは、もちろん『TOMMY』であった。このような特別な時代に特別なアルバムを携えて望んだTHE WHOの1969年ツアーは、1月から5月までを丹念に英国内を周回。その後アメリカと英国を往復し、全125公演と年間のほとんどをツアーで過ごすのであった。こうして長く充実した1969年は12月19日のニューキャッスルで一旦終了する。本作は、その千秋楽一公演前、1969年12月14日ロンドン・コロシアム公演を映像で収録したものである。余談になるが、このロンドン・コロシアム公演はツアー最終日前日かつ、あのライヴ・アット・リーズの2か月前に当たる。1969年のロンドン・コロシアム公演は、これまで編年ドキュメンタリーなどで部分的に知られていた映像であり、長らく全編の登場が待ち望まれていた映像であった。ドキュメンタリー『アメージング・ジャーニー』のボーナスディスクとして全編は登場したが、音声が過剰に加工処理されており聴きにくかったこと、そして何より元フィルムに起因する、延々ほぼ真っ暗な映像という、非常に視聴しづらいものであった。本作は『アメージング・ジャーニー』とは別のマスターを、音声を正しくマスタリングし直し、映像をデジタル的に限界までゲインを上げ、視聴しやすいようデジタル・リマスター作業が施されている。ややフィルム・グレイン(粒子)が目立つものの、この鮮明な映像によって、ようやく作品として成立する映像になったといえる。また、編年ドキュメンタリーに含まれていた断片の別ソースも漏れなく収録している。1969年12月14日ロンドン・コロシアム公演を、画質、音質、共に従来の映像を凌駕する高品質で収録した2枚組DVDが本作である。
DISC ONE
-DIGITAL REMASTER-
01. Heaven and Hell 02. I Can't Explain 03. Fortune Teller 04. Tattoo 05. Young Man Blues 06. A Quick One While He's Away 07. Happy Jack 08. I'm a Boy 09. I'm Free 10. Tommy's Holiday Camp 11. See Me, Feel Me 12. Summertime Blues 13. Shakin All Over 14. My Generation
DISC TWO
01. Overture 02. It's a Boy 03. 1921 04. Amazing Journey 05. Christmas 06. Acid Queen 07. Pinball Wizard 08. Do You Think It's Alright 09. Fiddle About 10. Tommy Can You Hear Me? 11. There's a Doctor 12. Go to the Mirror 13. Smash the Mirror 14. Miracle Cure 15. Sally Simpson
16. I'm Free 17. Tommy's Holiday Camp 18. We're Not Gonna Take It 19. See Me, Feel Me
-ALTERNATE SOURCE-
20. Young Man Blues 21. Happy Jack 22. I'm Free